『プ女子百景』著者・広く。さんインタビュー「プロレス観戦は己との対話」

<「プ女子」という言葉の力>

――イラストは、ひとつ書くのにどのくらいの時間がかかりますか?

広く。:下書きしてペン入れをするまでは一時間くらいですけど、資料を探すのが意外と大変なんです。

――技の入りから、手の入り具合とか。

広く。:その技を象徴する写真を、どこかから探していかないといけません。嘘は書けませんから。本の巻末にも、索引と参考資料一覧をつけています。執筆時の資料として、週プロも全部まとめてあります。

――原稿は大変でしたか?

広く。:編集さんに取り立てられましたね。「先生、まだできてないですよ」「塗るまで待ってください」って(笑)

――漫画家と編集者の戦いですね(笑)

広く。:最後の方は週一くらいのペースで(笑) 家が近いんですよ。深夜のファミレスで打ち合わせして、「すいません、すいません」って謝って(笑)

――出版社もスケジュールがありますからね。

広く。:最初の『プ女子百景』はブログのストックがあったんですが、2月に出た『プ女子百景 風林火山』は240話書き下ろしなので、いやー大変でした。

――『プ女子百景』で、プロレス業界の枠が広がった感じがします。女性が入りやすい流れを作っていらっしゃいます。ところで、タイトルにもなっている「プ女子」という言葉、どうですか? 今はプ女子ブームに近づいていると思うんですけど……。

広く。:近づいているというか……2015年くらいに出てきましたね。テレビに取り上げられた時期があって、ポジティブな意見もネガティブな意見も出てきました。レッテルを貼るなという声もありました。

――同じ「スー女」(相撲ファンの女子)という言葉も出てきました。

広く。:編集さんが相撲ファンで、彼女に言わせると「スー女」は誰が言い始めたかわからない(笑) 「プ女子」という概念も、ようやく落ち着いた感じがありますよね。

――プ女子という言葉が生まれたことによって、女性がプロレスに興味を持ってくれたのは大きいと思います。人口の半分は女性だから、多くの人に見てもらえるというのは団体としてもいいことです。

広く。:「プ女子」の響きが可愛らしいですね。言葉があると、女性の居場所が生まれる。見に行ってもいいんだ、コミュニティがあるんだというのを認知するきっかけにはなりましたね。女性ファンというのがいるんだということが、プロレス業界でも顕在化された。

――プロレスでは女性ファンが本当に増えました。特に新日本プロレス。

広く。:働く女性は好きなものに惜しみなく愛とお金を注ぎ込みますから(笑)

――女性がプロレスを見に来る時代になってよかった。昔は男の人ばっかりで、ケンカしたりエキサイトする人が多かったんですけど、今は安心して見れるようになりました。女性の方が見に来れるような会場になったんだなと。それの一つの表れが、『プ女子百景』ではないかと思います。

 

<プロレス観戦は、己との対話>

――最後に伝えておきたいことはありますか?

広く。:TwitterなどのSNSで、試合の感想やいい写真が、あっという間に、しかも大量に上がってくるんです。それを見て「やっぱり見に行けばよかった!」とか思ったりするんですけど、そんなのは気にせずに、見たいと思った試合を自分のペースで見たらいいと思います!

――惑わされない!

広く。:「この試合を見てないのは損するぞ!」とか「これは見ておくべき!」とか「今話題の!」とか、いろんな人の意見が大量に入ってきて、見に行けないと焦るかもしれないけど、私がずっと思っているのは、基本的にプロレスを見るというのは己との対話、プロレスと私の一対一の対話ですから。

――プロレス観戦は、己との対話……。

広く。:私も、10年くらいどこにもアウトプットせずひたすら見ていました。情報や人の意見はジャンジャン入ってくるけど、気にせず己の欲するものを素直に見て楽しめばいい、と思います!

 

■著者プロフィール
広く。(ひろく)
鳥取県東部出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。2010年から女子中学生らがプロレスごっこをする技図鑑のイラストを中心としたブログ『プ女子百景《プロレス女子図鑑》』(http://ameblo.jp/landwhale/)を運営。新日本プロレス公式モバイルサイトにて連載中の『新日本学園・女子イラスト部』の一員としても活躍中。内藤哲也選手(新日本プロレス所属)の熱狂的なファンでもある。
※小学館集英社プロダクションホームページより

※プ女子百景

※プ女子百景 風林火山

山口 義徳(プロレスTODAY総監督)
『プロレスTODAY』総監督。
その素顔は運営会社(株)リアルクロス代表取締役社長。
プロレスTODAYの企画・進行・管理を行い、会場ではカメラマンも兼務。
またプロレスとビジネスの融合を行い、会場でのクライアントとのタイアップも実施。

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