【コマンド・ボリショイ選手、KAZUKI選手インタビュー】PURE-J女子プロレス旗揚げ戦で、七色に輝く虹を見せる

<サブミッション・回収マッチ>

――ボリショイさんは、旗揚げ戦で小波選手と戦います。

ボリショイ:実は「コマンド・ボリショイ」としては、今年で25周年になりました。私がコマンド・ボリショイをやったころはサブミッション主体のスタイルだったんですけど、今はサブミッションを使っている選手がだいぶ減ってきて、もう一回原点に返ってサブミッションをやってみようと思ったときに、対戦相手がいなかったんです。知らない間に淘汰されていたんですね。サブミッションをやっているのが自分だけだとつまらないから、若い選手にもっともっと私に挑んでほしいと思い、キャリア25年未満の選手で、観客が25人以上いれば、私からギブアップをとれば10万円をあげると「コマンドボリショイ賞金首」って企画をやってたんですけど、なんと小波ちゃんにギブアップをとられまして(笑) 相手は子供だと思っていたのに、意外と私強くない、と……。今まで小波選手に二回くらい勝っていたけど、並々ならぬ勢いで過去の敗戦を根に持っていたみたいです。ギブアップをとられて企画終了でもいいんだけど、後楽園のシングルに向けて、私も本腰を入れてさらに鍛えなおさなければと思って、小波に「10万円を賭けるのでもう一回挑戦してこないか、勝ったら10万円が倍になって返ってくるよ、だからあなたも10万円賭けなさい」って提案しました。これ、会社のお金じゃなくて、私のポケットマネーなんですよ(笑)

――お小遣いの回収マッチ(笑)

ボリショイ:目の前にお金をぶら下げたことで、目の色を変えて矢子も(ライディーン)鋼もかかってきたんです。たとえ10万円をちらつかせてもいい。若い選手があきらめずに、必死になって、キャリアのことを忘れてベテランに向かってきてくれるというのがうれしいし、この分野が進化してゆく力にもなります。私も、7.26に負けた瞬間から、小波選手とリベンジするための戦いが始まりました。8.11までには、さらに私は進化していると思います。

――新しいボリショイさんが25年目にして見られるのは楽しみです。技と技の合間にサブミッションを挟む選手は多いですが、がっちり使ってくる選手となると、確かに少なくなった気がします。

ボリショイ:実際、PURE-Jのなかでもあまりいないので。

――PURE-Jは体を生かしたパワー系の選手が多いですね。

<JWPの歴史、ドリーム女子の実験、PURE-Jの未来>

――団体経営者としては、今回の旗揚げ戦で、各々の名前を冠したシングルマッチを通して、みんなに選手一人ひとりの成長を感じてもらいたい、ということですね。

ボリショイ:七つのカラーを見せたいですね。この集団がPURE-Jですよ、とアピールしたい。そして「PURE-J無差別級王者」という新しいベルトが新設されます。ベルトは海外で制作中なので、当日は間に合わないと思いますが、そのベルトをPURE-Jの七人と、予定ではあと五人集めて12人で争います。決勝トーナメントの出場を賭けたミニリーグを開催して、それぞれP・U・R・Eの4ブロックに分ける予定です。8.11の大会では、トーナメントに出ることが決まっている希月、アレックス・リー、安納サオリ、万喜なつみによる、リーグ参加者のお披露目タッグマッチもあります。

――このベルトの勝者が、PURE-Jの新たなエース候補になるわけですね。

ボリショイ:旗揚げの日はあくまで旗揚げメインで、ここから始まる物語は8.20からの本興行を見ていただけたらと思います。リーグ戦は本興行からスタートします。

――本興行の新ベルトに向けては、みんなにチャンスがある。

ボリショイ:まだ構想の段階ですけど、P・U・R・Eというのは、それぞれのファイティングスタイルに特化したリーグにしたいです。Pはパワー系、Uはユーティリティ系選手、Rはラッシュのスピード、Eはエキサイティングの打撃系といった感じで分けて、その中で最高得点の人が決勝トーナメントを争い、優勝者が、総合的で「PURE」な「J」の称号を得るという感じにしたいです。

――まさに色分け。選手の色が出やすいと思います。

ボリショイ:無差別級なので、ただ若い・ベテランだけじゃなくて、スタイルの点でもオープンクラスで見ていただけるようにしたいんです。

――新たな戦いが始まるから、みんなもやる気になりますよね。

ボリショイ:やる気しかありません。

――ここまで到達するにあたっての準備期間、心の葛藤などはありましたか?

ボリショイ:「JWPを続けるのか、どうするのか」ということは、悩みました。ここにいても今いる選手たちは未来を見ていけるのかとか、ここにはもう未来はないんじゃないかとか、選手が今以上に伸びていけるかということは、ずっと悩んでいました。ひょんなことから旅立とうと思って、旅立ったはいいけど名前も何もない状態から始まりました。

――ファンミーティングもたくさんやっていましたね。

ボリショイ:本当にありがたかった。皆さんが温かく、いい時も悪い時もファンの人たちと一緒に、「こんな問題があるけどどうしましょう」とか、みんなで一緒に泣いて笑ってしてくれるのでありがたい。

――PURE-Jはファンの方がサポートしてくれています。過去にとらわれず新たな企画を作って、JWPの魂を引き継ぎながら新生させたいですね。新しいことを考えるうえで、企画会議などもあるのでしょうか?

ボリショイ:企画会議もやるけど、常日頃の会話が一番大事ですね。会議をして顔を突き合わせても出てこないけど、思いついたときにはサクサクと企画が進みます。

――アイデアを持ってる人は誰でしょう?

ボリショイ:基本的に……うーん……(苦笑)

――ライディーンさん?

ボリショイ:ないですね。

――勝さんは?

ボリショイ:勝は自分なりの考え方を持っているので、聞けばどんどん言ってくれます。

――選手は興行全体という見方より、自分がこうしたいという視点が多い?

ボリショイ:それはそれで、どんどん言ってくれた方がプロデュースしやすいです。この子はこういうのが好きなんだ、普段はこういうことを考えているんだということを意識したカードを組むと、メディアでも発言しやすいです。本人と話し合ってカードを組んでいます。

――今のPURE-Jなら新しいことがチャレンジできますね。ファンの人も拒否反応がないでしょう。

ボリショイ:ドリーム女子プロレスでもいろんな実験をしてきました。私はずっと長い間JWPを背負ってきたけど、重荷に感じるとか降ろしたいとか思ったことはなく、それが当たり前でした。4月2日でJWPを降ろすことになり、いざ降ろした時に、なんとも言えない感覚になった。自由だなと思って、この自由な気持ちをリング上で出したいと思って、ドリーム女子プロレスではハチャメチャな企画をやりました。「試合順はファンの人が決めてください」ということもやりましたね。団体だと(固定的な序列で考えて)、この人はベテランだから、この人は元チャンピオンだから、セミ・メインで、この人は新人だから第一試合、と決めてしまうんですけど、そうじゃなくて、今お客さんが一番何を見にきているのかを優先して、同じ5000円払って来てくれた人が見たいもの、メインディッシュを最後に持っていってみようと考えました。みんなが見たいと思っている選手が、団体の発想だと第一試合になってしまうことがありますけど、そうじゃなくて、みんなが見たいと思っているもの、皆さんが好きな試合を最後に見せましょうと、ファン投票で試合順を決めたりしました。そうすると、入場式が終わるまで主催者も順番がわからない(笑)

――大変ですね(笑)

ボリショイ:そういうバタバタを緩和するためにも、一緒にやってくれるオープニングアクトを入れました。オープニングアクトに出るアーティストは目標や夢に向かって頑張っていて、少しでも披露できる場所を探している人たち。彼らにリング上で、ダンスや歌など好きなものを披露してもらって、その時間を五分間とってもらっている間に、プロレス側は急いで最終準備をして試合をするんです。オープニングアクトでもいい出会いがたくさんあったので、PURE-Jでも続けたいと思っています。

――異業種や、企業のコラボがうまい団体が生き残っている印象があります。社会貢献活動を含め、企業とのコラボが伸びると、団体として大きくなりますね。

 

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