【DDTプロレスリング高木三四郎 大社長インタビュー②】DDTの未来像・W-1経営の違い・DDTに必要なレスラーとは?
【3】DDTにはどんなレスラーが必要?
DDTにはどんなレスラーが必要だと思いますか?
〔高木〕 やはりプロレスはクリエイティブワークなので、自分で物事を考えて、自分で新しいものを想像できる人かと思います。乗っかってるだけの人は、実社会でも先が見えてしまうし、自分で道を切り開くことのできるような人が必要だと思います。僕、丸投げするんですよ。あとよろしくって丸投げして。それでも抱えられないとできないじゃないですか。
でも、任せられている感があるから一発やってみようとって思いますよね。たまに感じることですがメジャー系の一部の選手に考えを停止しているように見える瞬間があります。自発的にやればいいのに、もっと言えばいいのに、抑えられているか止められているのか分からないけど、これがチャンスなのに、ボールがあるのに、なぜキャッチしないのかと思う瞬間があります。団体の方針とか、考えるよりも与えられたものを受け止めることに慣れた人が多くなっているのかと思いますね。
〔高木〕 メジャーとかインディーとか、そういうの関係なく、どこの世界でも目に付く現象かなと思います。メジャーの方々の中でも、すごいなあと、ひらめきを持つ人が多いですし、インディー系でもすごいと思える人も多いです。僕らは、丸投げされてそれでどれだけ自分で返すことができるかという人材を求めています。それがイコール即戦力だと思うので。
よくありがちな、「師匠の技は見て盗め」、みたいなところがあるじゃないですか。あれも考えもので、そんなことをしていたら育つものも育たないですよと思う反面、一から十まで全部教えました、じゃあそれで完璧にできるかというと、そうもならないのがプロレスの難しいところ。そのあたりが内面でうまくミックスされて、丸投げされた事項でも解決できる人間が理想と思います。
そういえば最近メジャー・インディーって言葉を使わなくなっているなあと。DDTさんはすでにテレビもやってるし、どこがメジャーでどこがインディーかの境目がなくて、年間興行とか収益とかでは、メジャーとインディーがある意味逆転したり、違ったりするところがあるのでは。この言葉自体、意味がなくなってきている気がします。
〔高木〕 プロレス界の人はとにかく序列を作りたがるじゃないですか。「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」といいますけど、プロレス界は逆で、人の上に人を作りたがるし、人の下に人を作りたがるんですよ。序列を作ったほうが「面白い」じゃないけど、序列を作ったほうが「見やすい」というか、それこそ長州(力)さんが「俺はお前のかませ犬じゃないんだよ」と言って下剋上したときには盛り上がったじゃないですか。ああいうものがあるわけです。
そもそもガンバレプロレスの大家健なんかは、「底辺中の底辺から」、みんな底辺だと思ってるわけですよ。「プロレスをメジャースポーツにしよう」、「お前が言うな!」みたいなところから始まってますし。
〔高木〕 大仁田さんなんかはすごく尊敬している方だけど「俺はインディーじゃー」とか言ってるけど、あんな知名度のあるインディーなんてないわけです。だけど、そういっていた方が、日本人って判官贔屓があるので、もともと全日本プロレスでメジャー出身じゃないですか、そもそも「11PM」出てそこそこ有名じゃないですか、そんな人が「俺が五万円で事務所を始めて~」なんて何を言っているんだって思うけど、そう見えていたほうが面白いし、そう見せていた方が面白い。だから大仁田さんはすごいって思います。
この20年間、30年間のプロレス史において最高のアイデアマンであり、最高のプロデューサーなんですよ。なぜならば「ノーロープ有刺鉄線」って形式を考えたのも大仁田さんだし、「ノーロープ有刺鉄線電流爆破」って試合形式を考えたのも大仁田さん。そのうえ、最近は「電流爆破バット」。
もう今やミサイル飛んで来ます(笑)
〔高木〕 ああいうの、誰もやらないじゃないですか。誰もやらないことをやる、っていうのが大事なんですよ。プロレスって誰が一番得するかというと、パイオニアなんですよ。元祖。ストロングスタイルって最初に言った人がストロングスタイルなんですよ。97年に旗揚げしたころはエンタメなんて概念はなかったったんですよ。それを僕らがいち早く始めたから、今残ったんです。
ふわふわした感じで「僕らはプロレス頑張ってます、一生懸命やってます」、ってやったら残ってないですよ。一言で表せるワードを見つけたから残っているんです。その一言で表せるワードを、一番最初に言えた人が強いんです。二番目三番目の人は、一番にはかなわないですよ。だから大仁田さんがすべてのパイオニア。デスマッチってムーブメントを作ったのも大仁田さんだし。デスマッチってメジャーでやらないじゃないですか。
そういうことですよ。僕らのDDTはそれを「エンタメ型」、WWEがやっていたことを日本流にアレンジして作りあげたのがDDTだと思ってます。もっと言うと、路上プロレスはDDTしかできないしDDTしかやらないことなんですよ。「路上プロレス」と「エンタメ」のプロレスを作り上げたから強いんですよ。
こないだもホームセンターで壁に穴開けて(笑)あれは最高に面白かったです。
〔高木〕 メジャーだインディーだというのが最近境目がないといわれていますが、都合いいときはインディーと言った方がいいし、メジャーって言った方がいい時もある。そのあたりはお客さんが考えることだし、それによって成り立っているところもある。DDTは決して「僕らはもうメジャーですよ」なんて絶対言いません(笑)
実際テレビも開始してますしビックマッチも連続で成功させているので、業界内では高い位置にいると言えるポジションだと思います。
〔高木〕 世間一般のエンターテイメントのジャンル、スポーツとかからしてみたら、まだまだのところにいると思うので。ステータスを、価値を上げていかないとダメだと思います。
プロレスファンの代表として、ぜひその価値を上げていただければと思います。
(インタビュアー 山口 義徳)