【新日本】ザック・セイバーJr.が語る、“史上初”外国人IWGP世界ヘビー級王者によるG1制覇論「俺が新たな歴史を作っていきたいと思っているよ」

その男が腰にベルトを巻く時、プロレス界の序列は再定義される。力でも速さでもなく、無限の関節技とクレバーな戦略でマット界の頂点に君臨する、現IWGP世界ヘビー級王者、ザック・セイバーJr.。英国から来た“サブミッション・マスター”は、今や新日本プロレスの絶対的な支配者として、2連覇のかかる“真夏の最強戦士決定戦”『ヤマダインフラテクノス Presents G1 CLIMAX 35』を迎える。

9年連続9回目の出場。昨年はチャレンジャーとしてこの過酷なリーグ戦を制し、その勢いのまま団体の至宝を手にした。そして今年、ザックは追われる立場のチャンピオンとして、史上初となる「外国人IWGP世界ヘビー級王者のG1制覇」という前人未到の偉業に挑む。

その冷徹なまでの試合運びとは裏腹に、彼の言葉は常に知的で、示唆に富み、そして時に辛辣なユーモアを湛える。絶対王者として臨むG1への新たなマインドセット、興味深いライバルたちへの独自の見解、そして彼が見据える新日本プロレスの世界戦略とは。その孤高の哲学に、深く迫った。

■王者としてのG1。「戦い方を知っている」新たなるチャレンジ

――IWGP世界ヘビー級王者として、そして昨年のG1覇者として、今年の夏を迎えます。まずは、今の率直な意気込みをお聞かせください。

ザック:IWGP世界ヘビー級王者として、どの選手が相手でも、何かを達成したいという思いがある。今年もまた、俺が新たな歴史を作っていきたいと思っているよ。

――ファンも、世界最高のレスラーであるザック選手が王者としてG1に出場することに、大きな期待を寄せています。やはり、チャンピオンとして臨むG1は、昨年までとは気持ちの面で違うものでしょうか?

ザック:ああ、少しな。去年のG1の時、俺はこのベルトを持っていなかった。だから、あの時の優勝への道のりは、本当の意味での“チャレンジ”だった。だが、今年は違う。俺はIWGP世界ヘビー級チャンピオンだ。

――立場が逆転した、と。

ザック:チャンピオンとして、どう戦うべきか。その戦い方は、すでに知っている。どうすれば俺がこのG1で再び勝てるのか、そのための道筋も見えている。だから、マインドとしては、昨年よりもさらに強い俺をリングで見せる、ということ。それ自体が、今年のG1における俺の“チャレンジ”になる。どちらもチャレンジであることには変わりないが、マインドセットが違う、それが今年のG1だ。

■Bブロック、興味深い挑戦者たちへの視線

――ご自身がエントリーされたBブロックについてお聞きします。まず、多くのファンが注目しているKONOSUKE TAKESHITA選手との一戦。彼にはどのような印象をお持ちですか?

ザック:コウノスケ・タケシタか。俺たちは、それぞれ全く違う道のりを歩んできたが、面白いことに、二人とも16歳でプロレスラーとしてデビューしている。

――(笑)。キャリアの出発点に共通点がある、と。

ザック:彼は非常に、非常に興味深く、そして魅力的なレスラーだ。俺は彼が単に一つのスタイルに収まるようなレスラーではないと思っている。もっと多才で、面白い存在だ。だから、彼と俺が戦ったら、一体どんな試合になるのか、俺自身にも分からない。それが、この対戦を俺にとってエキサイティングなものにしている理由でもある。

――ファンならずとも、非常にワクワクするカードです。Bブロックには他にも多くの選手がいますが、TAKESHITA選手以外で気になる選手はいますか?

ザック:(少し間を置いて)エル・ファンタズモだ。

――ファンタズモ選手ですか。

ザック:ああ。日本国内の、のニュージャパンのリングでは、まだ一度もシングルで戦ったことがない。もちろん、俺たちは同じユニットではないが、少しだけ“友達”ではあるからな。

――フレンドリーなライバル関係、ということでしょうか。

ザック:そうだな。だが、リングに上がれば話は別だ。俺は、俺たちのレベルが完全に違うということを、彼に証明するつもりでいる。彼へのリスペクトは確かにある。だが、それとは別に、王者として、そしてレスラーとしての“格の違い”を、はっきりと見せつける必要がある。彼との対戦は、とても楽しみだよ。

■経験が示す価値と、ベテラン勢へのリスペクト

――かつてのパートナーであったタイチ選手が、予選を勝ち上がってG1にエントリーされました。この復活劇については、どう思われますか?

ザック:後楽園ホールでの、石井(智宏)との試合は、信じられないほど良かった。”ベリーエキサイティング”なタイチは、これまで彼の持つポテンシャルの全てを、完全には達成できていなかったと俺は思う。

――まだ、見せていない部分があった、と。

ザック:ああ。だが、今年のG1、特に若いレスラーや新しいエントリー選手が多い中で、彼はその場所を掴み取った。予選を戦い抜いた彼の姿は、若い選手たちにも非常に良い影響を与えたはずだ。実力がありながら、なかなかトップには届かなかった、経験豊富なレスラーの代表として、今年のファンはタイチが決勝まで勝ち進むことを後押しするだろう。俺はそう見ている。

――では、今度は棚橋弘至選手について。「最後のG1」と公言して臨むことについては、いかがですか?

ザック:タナハシか……。まあ、“社長パワー”で、やってくれるんじゃないか?(笑)

――社長パワー、ですか(笑)。

ザック:彼の持つ社長としてのパワーはすごいものがある。だが、それだけじゃない。彼はプロレスの歴史においても非常に重要な人物だ。それは紛れもない事実であり、リスペクトしている。今年の『レスリングどんたく』で対戦した時も、彼の身体からはすごいパワーを感じた。だから、このG1で再び対戦できることも、楽しみにしているよ。

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