【編集長コラム】「高木三四郎大社長のコロナ対策」

新型コロナウィルス感染拡大問題は、プロレス界にも多大な影響を与えている。大会、イベントの中止や延期が相次ぐ非常事態に陥っている。

問題終息の時期も見えず、各団体は対応に苦慮しているが「ピンチはチャンス」とばかり、さまざまなアイデアを生み出しているのが、DDTそしてNOAHの高木三四郎「大社長」だ。

「プロレスはリングの上だけに非ず!」と、これまでもキャンプ場や遊園地、本屋、工場など様々な場所で路上プロレスを開催するなど、新鮮で画期的な試みを次々と成功させてきた高木大社長。サムライTV「バトル☆メン」で、ご一緒させてもらった際には、控室で「こんなことも、あんなことも、できると思うんです」と、次々と秘策を披露してくれた。

生放送の番組中にも「デリプロ」ことデリバリープロレスを提案。ファンの家にレスラーやレフェリーを派遣し、目の前でファイトを展開する。事前に希望するレスラーのタイプ、マッチョやイケメンなどを聞いてデリバリーするが、万が一「これはちょっと違う」となれば「一度はチェンジもOKです」と、すでに構想はできあがっている。

他にも「リモプロ(リモートプロレス)」を立案。大人数で集まれないとなれば、多人数をつなげる「ビデオ会議アプリ」を利用し、会場にはいないファンに「試合の音」を伝え、リング上のレスラーには「ファンの歓声、拍手、ヤジ」を届ける。双方向のやり取りが可能とあって、ファンにとってもレスラーにしても、自分がいる場所が、まるで「後楽園ホール」になるというわけだ。

持ち前の柔軟なプロレス頭をフル稼働させる高木大社長。まだまだ続きそうな「興行自粛」を逆手に取って「新型プロレス」を仕掛ける。「ピンチはチャンス」「風車の理論」で、何とか切り抜けてくれそうだ。

また、石川修司は全日本プロレスTVの試合以外のコンテンツを新たに作ろうと、自身のメールアドレスを公開し、広くアイデアを募集している。その積極性には生き残りをかけた本気度が伝わって来る。

マーケティング(市場調査)とマーチャンダイジング(商品企画)は二つでひとつ。どちらが欠けてもビジネスにはならない。各団体でそれぞれ男女比、年齢、趣向などファン層が違うので、それらを分析し、ファンのニーズに沿ったものを提供することが肝要になって来る。

コロナ禍により、試合を観戦できないので残念ながら離れてしまうファンもいるハズ。しかしそれをいかに食い止め、また昔のファンを呼び戻せるか、あるいは新たな展開によりプロレスに興味を持ってくれる新規ファンの獲得なるか。各団体にとって、これはもうサバイバルだ。

新規「女性ファン」獲得には、ジェイク・リーのようなイケメンを売りにしても良いし、野村卓矢や兵頭彰のようにかわいいのに試合は激しいというギャップをアピールするのもありだろう。

HARASHIMAは花や自然に詳しいのを活かして何かコーナーを作り、トマト大好きな清宮海斗のおすすめトマトの紹介、吉岡世紀の薬剤師ならではのお薬相談というのも一つの手だ。

おしゃれ番長・河上隆一がコーディネートしてくれたり、10日に一度の散髪を欠かさないT-Hawkの理容院潜入レポート、コーヒー好きの諏訪魔のカフェ紹介、征矢学と画面上でGET WILDをデュエットできるなど、他にも知られざる趣味や特技を披露し、その方面からの興味を引くのも有効ではないか。

一本の矢は折れるが、三本の矢は折れない。戦国武将・毛利元就の結束の重要性を説いた逸話だが、今こそ選手、ファン、関係者が、三本の矢となって知恵を出し合い、この難局を乗り切るしかない。

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