【編集長コラム】「闘う人生劇場・安田忠夫の所持金30円!?」

ゴールデン・ウィークといえば、福岡で開催される新日本プロレスの「レスリングどんたく」。今年はコロナ禍で残念ながら中止となったが、福岡ドームでも開催され、プロレス暦にもすっかり定着している。

1994年の「WRESTLING DONTAKU  IN FUKUOKA DOME」大会で繰り広げられたアントニオ猪木VSグレート・ムタの「カリスマ対決」など、大会場でのビッグマッチの醍醐味を味合わせてくれる。

さまざまな名場面が思い出されるが、忘れられない思い出もある。

ある年の大会翌日のこと。福岡空港で搭乗時刻まで、みんなでお茶を飲むことになった。試合を振り返っている時に、安田忠夫の口から「30円しか持ってない」という衝撃発言が飛び出した。

「30円!?」

笑ってはいけないのだが、その場にいた全員が、しばしポカンとした後、抑えた笑いが起こった。

100円と言われれば、あまり哀れな感じはしない。また、0円つまり「一銭も持っていない」と言われたら、財布を忘れたのかも知れないと思うだろう。

「30円」というのが何とも微妙で、大きな体を少し丸め照れくさそうにモジモジする安田の姿が、今でも鮮明に蘇ってくる。

ギャンブル好きな安田が無駄遣いしないよう、猪木氏は現金を渡さないようにしていたという。前日に150円もらった安田はジュースを120円で買い、残りが30円となった・・・とまことしやかにささやかれた。

以来、安田と会うたびに「今日の所持金はいくらなのだろうか」と頭に浮かぶようになってしまった。

先日、久しぶりに再会した安田に思い切って聞いてみた。「今日の所持金はいくら?」。

「それを俺に聞く?」と苦笑いしつつもポケットの小銭を確かめた安田は、ちょっと誇らしげに「今日は258円!」と胸を張った。

2004年を最後に試合から遠ざかった後は、パチンコ店、ケンドー・カシンのお兄さんの養豚場、太陽光発電パネルの営業、レンタルルームの掃除、カンボジアのカジノ、ロシアンパブの呼び込み、タイのカラオケ店、警備会社など何度も職を変え、各国各地を転々としている。

「長続きしないんで・・・でも、どんな仕事でも楽しんでやれるんだ」と前向きそのもの。環境になじむ柔軟性を持ち合わせており、現在はユーチューバーとしても活躍している。

波乱万丈な人生だったが「まあ、今は食うに困らないし、周りにギャンブル好きが多いから、もう居心地が良くてね」と微笑を浮かべる。

安田の金銭的な苦労はギャンブルに起因する。一時はジェロム・レ・バンナ戦で使用したグローブなども全部、売ってしのいだという。

「これからも、ギャンブルは続けるの?」と聞いたところ「俺からギャンブルを取ったら何も残らないじゃない」と豪快に笑い飛ばした。

リング復帰については「練習もしてないし難しいけど、一試合だけのスポット参戦ならできるかも」と、色気もチラリ。どこかのリングで安田忠夫の「闘う人生劇場」を見られるかも知れない。

その時の所持金は一体いくらなのだろうか。

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