【新日本 大張社長インタビュー】<第3弾>プロレス協会や新日本プロレスの可能性・経営哲学について言及!「業界で政府との窓口は作りつつある」「hidden gemとCRMを整備」「利益を上げることは手段」

【経営哲学(ビジネス観点で大事にしている事)】

--大張社長が個人として、ビジネス観点で大事にしている経営哲学的なものがあれば教えていただきたいなと思います。

大張社長 いい質問だな…ずっと残るやつですね。

--(笑)そうですね。うちのインタビューはロングインタビューで、ずっと載せれるようなものを目指してますので。

大張社長 まず、これは実体験もそうだし、海外でしこたま学んだ経営学でもそうなんですけど。一番大事なのは、“Integrity”って言葉なんですけど、日本語で言うとですね、“誠実さ”です。反対の言葉は私利私欲なんです。つまり、この新日本プロレスに捧げられるかということが問われる。自分自身からも含めて360度から問われると思うんです。どこにいても。だから、トップがやっているのが自分の私利私欲のための言動なら、組織はもうパラパラ、粉々になると思うんですよね。特にプロレスには過去、分裂の歴史がありますよね。

--ありますね。

大張社長 過去の分裂の歴史全てが“誠実さ”の欠如によって引き起こされたとは思わないですが、そうならないためにも一番大事にしたい言葉です。どの会社を経営するのも多分そう、トップに立つ人は誠実さを持ってなきゃいけない。言葉遊びじゃなく、一緒になって戦ってくれるお客さんや仲間がいて、その人たちを裏切るような行為はしないし、社員や選手を大事にして、そして何よりも新日本プロレスっていうのをあと50年、100年続くように全てを捧げるっていうことだと思いますね。

--いやあ、すごくいい言葉だと思いますね。僕もこういうのすごく好きです。自分も経営者で独立して今の事業をさせて頂いてますが、やっぱり誠実さってすごく大事ですよね。

大張社長 大事です。トップに立つと上や横から忠告してくれる人が減るので、その孤独の中で特に肝に銘じておくべき言葉です。

--見てますよね周りがね。

 

【経営者としてプロレスビジネスの面白さ】

--そして経営者として今までのお話の中でもですね、もうすごいプロレス愛にあふれるようなお話を伺ってますけれども、経営者としてプロレスビジネスっていうのが大変なことも多かったと思うんですけれども、改めてプロレスビジネスの面白さっていう点を教えていただきたいなと思います。

大張社長 先ほどの経営哲学と重なる部分があるかもしれません。私は「利益を上げることは手段」だと思ってるんです。これは長年かかってたどり着きました。13年前にアメリカ留学から帰ってきて、企業のゴールは企業価値を上げること、持続的に成長する利益だと。完全に妄信してました。前の会社で上司に噛みついたことすらありました。CSRの目的とは何かを議論していた時に、私は全ての企業活動は利益のためだと噛み付いたことあるんですよ。でも、今はこれが間違っていたと思っています。利益は手段だと思います。会社の存在意義、社会的な存在意義を果たす。強化する、続けるための手段、と思うようになったんですね、数年前から。プロレスにはとてつもなく大きな存在意義と果たすべき使命があるじゃないですか。特に、今はコロナの影響に耐えて立ち上がるため、さかのぼれば70年も前、日本が戦後復興してくる時に伴走してきたのは、街頭テレビ、力道山先生、プロレス。苦しい時こそ。その存在意義が問われて。そして、何でしょう、またその先まで伸びてくものだと思うので、私は特にプロレスというビジネスにとって、利益は手段だという信念を強めています。でも、利益はすごく大事なんです。利益をちゃんと稼ぎながら、このプロレスが果たす意義を、今こそより強めて広げて続けていくことに全力を挙げていく。これが、プロレスビジネスの面白さだと思います。お客様から、社会から欲せられているもの。プロレスはね、今こそ求められてるんですよ。真価の発揮時です。だから、それを体現するプロレスラーって、本当にかっこいいんですよ。

--ファンはプロレスから力をいただいてるんで、すごく求めてるものが大きいと思います。

大張社長 一方で、プロレスだからといって、情熱だけで経営したらそれは失敗します。そこに、ちゃんと頭の中で整理されたそのビジネスの鉄則が大事なんです。私は引き出しに例えるんです、タンスの引き出し。例えば、新聞だって何だって意識がなかったら頭に残らないじゃないすか。その意識と引き出しがちゃんと揃えられた状態のところに情報が入ってこないと、生かせないんですよね。今日日経平均が2万円から2万100円になりましたって、数字の羅列じゃないですか。意識が釣り針みたいに機能して、情報を引っ掛けてくる。そして、ラベル付けされた引き出しに入れとくんですよ。だからプロレスに対する愛とかプロレスを見る目とかも大事だけど、それをビジネスに分解して、結局収入ーコストが利益なんで。利益の何倍かで、会社の価値って決まってくるということなので、ちゃんとビジネスの構造に分解して、納めていって引き出していって、ができる人間がマネジメントしないといけない。だから面白さを問われると、そういう自分が今まで育ったバックグラウンド、スポーツ、プロレス、それからグローバルの面、あとIT。20年以上IT業界で生きてきましたし、そういったバックグラウンドを使って、ファン目線だけやプロレス目線だけで見ると見逃しがちな事象をとらえて因数分解して、新しい形のビジネスに組み上げていく点ですかね。選手社員で全力尽くして届くかどうかわからないレベルを目指してやっていますので、簡単ではないんですけどね。

--なるほど。どうもありがとうございます。今まさにコロナ禍で新日本プロレスも窮地に立たされてるときのリーダーシップを発揮するっていう意味では大張社長にかかるプレッシャーや期待値はもう業界全体から非常に高いものだと思います。

大張社長 日本のプロレスは勇気を持って自信も持っていいと思います。大昔に大学で教育学を専攻した私の勝手な説ですけど、学校の義務教育課程の中で必修科目に武道が入ってる国ってそんなにないでしょう。

--確かに言われてみればそうですね。

大張社長 必修科目ですよ。柔道や剣道。平成20年度くらいから選択科目から必修科目に入ったんでしょうかね。それまでも実質やってるんですよ。日本のプロレスが素晴らしいのは、会場に来てる人、テレビ見てる人、みんなそういう教育を受けた方々だということなんです。受身とったり、投げられたり、間合いを取ったり、ご経験ありますよね。

--ハイ、もちろんあります。

大張社長 男性だけでなく、女性でも学校その他で武道を経験したことがある方、多いのではないでしょうか。そういうファンの目に囲まれて育ってきた日本のプロレスは、世界的に見て誇れるレベルになっているのは当然。必ず生き残る、勝ち残ると思います。ちゃんと本質に目を向けてもらえれば。だからリーダーシップ論の前に、既に先人たちが今までやってきた積み重ねは、このプロレス界の財産になってると思います。それを、要は商品はいい、あとは売り方ですよね。商品の売り方を、我々背広を着てる人たちが必死に追求するという分担です。中身は世界最高のレスラー達が命がけでやってくれている。そこには自信を持って、コロナの影響でちょっと膝カックンになったかもしれないですが、もう一回立ち上がったときには前より格段に背が伸びてますよ。今はその仕込み作業の時期です。

--今日のお話を伺って、本当に今の仕込み具合だとかこれからのネクストが、何かすごく期待できるようなお話をいろいろと伺えたので、新日本プロレスさんの期待値がまた上がりました。今日はどうもありがとうございました。

大張社長 はい。ありがとうございました。こちらこそ。

<大張社長 略歴>

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大張 高己(おおばり たかみ)
1974年8月15日生
University of California Irvine: Paul Merage School of Business卒

1997年4月 日本電信電話(株)入社
2018年12月 (株)ブシロード入社 執行役員(現任)
2019年1月  新日本プロレスリング㈱ 経営企画部長(現任)
2019年11月  New Japan Pro-Wrestling of America Inc. CEO(現任)
2020年10月 新日本プロレスリング㈱ 代表取締役社長(現任)

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(インタビュアー:プロレスTODAY総監督 山口義徳)
 
 
 

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