【アイスリボン】8.9 横浜武道館<全試合レポート>P’sParty躍動!トトロさつきがトライアングル奪取!藤田あかねが次期挑戦権獲得!すずは山下に散るも蛍光灯デスマッチに満足感

アイスリボン15周年記念大会
アイスリボン横浜武道館大会
2021年8月9日(月・祝)横浜武道館
14時00分開場/15時00分開始
観衆:715人

◆第1試合 6人タッグマッチ20分1本勝負
チェリー&宮城もち&○真白優希(9分39秒 特盛クラッチ)青木いつ希&石川奈青×&咲蘭

アイスリボン初進出の横浜武道館大会のオープニングは、ベテランと若手混合による6人タッグ。中でも注目は7月24日後楽園大会で両者が一歩も引かないままに引分けに終わった石川vs真白の直接対決だ。試合は憧れのレスラーであるいつ希とのタッグに気合十分の咲蘭が先発に出ると、真白にいきなりスクールボーイを連発。さらにいつ希と石川も加わって真白に連続串刺し攻撃を仕掛けるが、真白のピンチにチェリー、もちが加勢に入る。インサイドワークに長けた2人のアシストで息を吹き返した真白が終盤、石川にとどめを刺そうとするもちにタッチを要求。リングに入った真白は石川にドロップキックの連打を決め、さらにエルボー合戦で打ち勝つと、もちのリバーススプラッシュのアシストを受けてのホワイトボディアタック。

いつ希が咲蘭との合体攻撃などで石川をアシストし、試合は石川と真白の丸め込みの応酬となるが、最後は特盛クラッチをがっちり決めた真白がカウント3を奪取。デビュー1周年のメモリアルマッチを自らの勝利で飾った。

◆第2試合 P’sParty提供試合&朝陽復帰戦8人タッグマッチ20分1本勝負
×朝陽&杏ちゃむ&Yappy&塚田しずく(6分15秒 キド・クラッチ)進垣リナ○&向後桃&バニー及川&海樹リコ

P’sParty提供試合として行われた8人タッグで、アイスリボンのスタッフとして働きながらレスラー復帰に向けて練習を続けてきた朝陽が昨年9月5日横浜リボン以来、11ヵ月ぶりに復帰を果たした。いきなり敵、味方全員からの連続串刺し攻撃で、手荒い復帰の祝福を受けた朝陽だが、跳躍力のあるフライング・ボディシザース、ミサイルキック、さらにノーザンライト・スープレックスを決めるなど、はつらつとした朝陽らしい軽快な動きは以前と変わらず。試合はピースパの面々が激しく入れ替わるめまぐるしい展開となり、最後は朝陽が進垣のキドクラッチにフォール負けを喫したが、今後に期待を持たせる朝陽の好ファイトが光った。

◆第3試合 タッグマッチ20分1本勝負
星ハム子&×星いぶき(10分40秒 片エビ固め)アジャコング&NATSUMI○
※アジャコングの裏拳から

アジャを実親のハム子以上に慕ういぶきにとって、アジャの愛弟子としてデビューしたNATSUMIに対しては敵対心が芽生えた。「NATSUMIを倒してアジャ様を取り返す!」と対戦を要求したいぶき。一方、これに巻き込まれた形のハム子だがIW19王者に返り咲いての武道館のリングだけに、こちらも気合は十分。親子スターとして必勝を期しての一戦となった。序盤からハム子との連係も活かしながら、NATSUMIへの集中攻撃を仕掛けていったいぶき。アジャに対しても強烈な逆水平チョップを何発も叩き込んでいった。一方のNATSUMIも親子スターの攻めに耐えながら、跳躍力のあるドロップキック、ダイビングボディアタックを決めるなど健闘。最後はNATSUMIがいぶきのダイビングボディプレスをかわしたところにアジャがリングイン。起き上がったいぶきに一斗缶攻撃、裏拳を決め、NATSUMIにカバーに入るように指示。がっちりと丸め込んだNATSUMIがカウント3を奪い、デビュー後、初勝利をモノにした。


試合後、大の字のいぶきに対して、アジャは「俺はずっとここにいる、俺は誰の者でもない。俺は俺。でもお前は今日負けた。NATSUMIに初勝利をプレゼントしちゃったことに変わりはない。あとはここからどうやり返すかはお前次第だし、NATSUMI、次は自力で勝てやーっ!」といぶき、そしてNATSUMIに奮起を促した。

【安納サオリ挨拶】


第3試合終了後、欠場中の安納がリングに上がり、「みなさんこんにちは、絶対不屈彼女、安納サオリでーす!長らく欠場していましたが、8月18日、尾崎魔弓35周年記念、正危軍興行にて復帰致します!そして、アイスリボンが大好きな皆さん、おまたせしました。8月28日、アイスリボン後楽園ホール大会にて、アイスリボン参戦復帰いたします!皆さんぜひぜひ遊びに来てください。それじゃこのあとも楽しんじゃってください!安納サオリでした~!」と復帰を報告した。

◆第4試合 トライアングルリボン選手権試合15分1本勝負
[王者]×テクラ(10分20秒 エビ固め)トトロさつき○[挑戦者] ※動くこと雷霆の如し
※第40代王者2度目の防衛に失敗 第41代王者誕生
※もう1人はラム会長[挑戦者]
「テクラがベルトを持ってからトライアングルリボン王座は面白くなくなった。」として王座挑戦を直談判した前王者のラム会長。そして昨年9月20日後楽園大会以来、これが4度目の挑戦となるトトロを挑戦者に迎えてのテクラ2度目のトライアングルリボン王座戦。例によって不敵な笑みを浮かべながらトリッキーな動きで相手を翻弄するテクラが、試合ペースを握るが、流れを変えようと会長が小回りの利いた動きでテクラの攻めを切り返し、トトロはウエイト差を活かして真正面からパワー全開。個性派ぞろいのトライアングルリボン戦は文字通りの三つ巴戦となった。最初に勝負に出たのは会長。テクラがトトロに蹴りを連打しているところにリング下からスッと上がってきた会長はテクラにエクトプラズム。トトロに狙いを絞った会長だが、丸め込み、さらにレインメイカーをしのぐと、そこにスライムを握ったテクラが飛び込む。これを会長がかわし、テクラがスライムを自分の顔面に浴びることに。

テクラに集中していた会長にトトロがクロスボディで飛び込み場外に吹っ飛ばすと、ダメージ大のテクラにセントーン。さらにヒップドロップを決めたトトロはテクラを抱え上げて動くこと雷霆の如しでカウント3を奪取。デビューから4年半、遂にトトロが悲願のベルト初戴冠を果たした。

◆第5試合 次期ICE×∞挑戦者決定戦時間無制限1本勝負
○藤田あかね(10分05秒 レフリーストップ)尾﨑妹加×

7月24日後楽園大会で行われたリボンタッグ王座決定戦で、試合後、世羅と雪妃がアジュール・レボリューションとして王座挑戦を表明。ここでタッグタイトル戦線から外れた形になったあかねと妹加だが、2人は前向きに今度はシングル王座への挑戦を表明した。そこで実現したのが次期挑戦権を賭けた2人のシングルマッチ。この日のメインを見据えての激しいぶつかり合いがスタートから展開された。パワーファイター同士の一戦だけに、試合は駆け引きなしの真正面からの攻防。あかねが変形キャメルクラッチを決めれば、これに耐えた妹加は決められたまま起き上がり、そのままマットに倒れ込み、逆にあかねにダメージを与えるも、それでもあかねがロックを離さずに締め上げる意地を見せる。あかねをコーナーに乗せ、妹加がマイカバスターを狙えば、これをこらえたあかねが妹加をコーナーに上げてパワーボムを狙う。これをこらえた妹加があかねの離れ際にダイビングラリアットを叩き込む。まさに一進一退の攻防が続く中、エルボー合戦からヘッドバットを決めたあかねが盟友でもあり、現在欠場中のくるみの人でなしドライバーを初公開。ダメージの残る妹加を変形キャメルクラッチからPOMジュースに持ち込んだあかね。妹加はギブアップせずに必死に耐えるも、これ以上は危険と判断したレフェリーが試合を止め、あかねがICE×∞王座戦の切符を手にした。

◆第6試合 シングルマッチ30分1本勝負
○高橋奈七永(9分14秒 片エビ固め)春輝つくし×
※ワンセコンドEX

つくしにとって、プロレスラーになるきっかけを作った奈七永との試合は原点を見つめなおす一戦であり、前回のシングル戦から7年7ヵ月ぶりの再戦で、自身の成長をぶつけるにふさわしい一戦でもあった。豊田真奈美のロープ上げでリングインしたつくしは開始と同時にロープワークを活かしたスピーディな動きで立体的な攻撃を矢継ぎ早に仕掛けていく。さらにロープにもたれた奈七永に低空ドロップキックを決め、奈七永を場外に落とすとコーナーに上がり場外プランチャを狙う。しかし、これを嫌った奈七永はつくしがコーナートップに上がった段階で、すっと起き上がり、リング下の反対コーナーまで回り込む。一気呵成に攻め込もうとするつくしの流れをうまく断ち切ってみせた。なおもミサイルキックをヒットさせ、動きを止めないつくしに対して、強烈なタックルを放った奈七永はサーフボード、さらに羽折り固めとじっくりとつくしにダメージを与えていく。さらにカウンターのレッグラリアット、つくしを抱え上げて膝へのフェイスバスターを決めた奈七永はつくしのエルボー連打を受けて立ち、コーナーにラリアットで追い込むと、ワンハンドパワーボム。これをキックアウトしたつくしがコーナーに上がる奈七永に雪崩式フランケン、ダイビングフットスタンプ、そして直伝ラ・マヒストラル。勢いに乗ったつくしはウラカン・ラナを決めるもいずれもカウントは2。ジャパニーズオーシャンを狙ったつくしだが、これをこらえた奈七永がクィンビーボムを決めると、ワンセコンドEXで決め粘るつくしを沈めた。

◆第7試合 FantastICE選手権試合 サマーヘルボード+凶器持ち込みデスマッチ30分1本勝負
[王者]○山下りな(16分34秒 エビ固め)鈴季すず×[挑戦者] ※有刺鉄線チェアの上にスプラッシュマウンテン
※第2代王者初防衛に成功

世羅との壮絶な蛍光灯デスマッチを制して第2代FantastICE王者になった山下。新王者にいの一番に噛みついたのはハードコア七番勝負を終えたばかりのすず。すずを子ども扱いしてきた山下だが、7月24日後楽園大会ですずにフォールを奪われたことで、すずに対する意識にも変化が出た。そして山下が公表したルールはサマーヘルボード+凶器持ち込みデスマッチ。コーナー2カ所に設置されたボードは半分に切った大量の空き缶、虫かご、ひまわりでデコレートされたものと、ワニの浮き輪に有刺鉄線を巻いたもの。さらにパイプ椅子、蛍光灯、ラダーが用意された。開始早々の椅子チャンバラからすずが椅子を持った山下にドロップキックをヒットさせるも、持ち込んだ2つのバケツを手にし、頭からかぶる形で中身をぶちまけた。いつもの大量の鈴に、今回は貝殻がプラスされ、夏仕様。その上に山下を投げようとするが、これをこらえた山下がボディスラムですずを叩きつけると、自分のコーナーに置いていた袋から豚型の蚊取り線香入れ2個を取り出し、それを叩き割ると、その破片にすずをカーフスタンプ、さらに破片ですずの額を切り、早くもすずを流血させる。さらにワニの浮き輪ボードにすずを振ろうとするが、これをこらえたすずが逆に山下を振り、ドロップキックでボードに叩きつける。ここですずが初めて蛍光灯を1本手にして山下に振りかざすが、これをかわした山下はすずから蛍光灯を奪うと、すずの額に振り落とす。そしてすずに「打ってこい」ともう1本、蛍光灯を渡した山下だが、すずはその蛍光灯を自分の頭で割り、ブレーンバスター、ミサイルキック、さらにパイプ椅子4脚を2脚ずつ向かい合わせてリング中央に設置して、その上にアルミ缶ボードを乗せる。そのボードの上に山下をジャーマンで投げようとするも、これをこらえた山下が逆にすずをバックドロップで投げボードを割る。山下はラダーを持ち込みボードに倒れたすずを狙ってラダーに上がるが、起き上がったすずがこれを追い、山下をラダーからの雪崩式ブレーンバスターで叩きつける。激しいエルボー合戦からスパニッシュフライを決めたすず。さらに投げ捨てジャーマン、コーナー上の攻防を制しての雪崩式ドルフィンバスター。そしてジャーマンスープレックスでホールドするも、これを山下はカウント2でキックアウト。すずは蛍光灯の束を2つリング中央に設置すると、その蛍光灯に山下をジャーマンで投げようとするが、これをこらえた山下がヘッドバットからラリアットですずを押し倒し蛍光灯の束に叩きつける。

さらにスプラッシュマウンテンを狙ってすずを担ぎ上げた山下だが、ロープを蹴って反転したすずは山下の肩口に飛び乗ると、裏高角度回転エビ固め。カウント2で山下がキックアウトすると、すずは山下が持ち込んだ有刺鉄線を巻いたパイプ椅子を持ち出すが、山下はパイプ椅子ごとラリアットで吹っ飛ばすとインプラントで叩きつけ、ダイビングボディプレス、そして最後はスプラッシュマウンテンでフィニッシュした。

〈試合後の山下りな〉

「横浜文化体育館!ありがとうございました!サマーヘルボード、どうだったんですかね。1発1発、心を込めているすずのデスマッチへの情熱が伝わってきたと思います。ただ、ただ私の日常が少し、デスマッチの日常が少し多かったのかなと思います。7番勝負、男子選手みんなが“すずとまたやりたい”と言った気持ちはわかります。私も是非、是非タイトルマッチで、いや、ノンタイトルでただのなにもない鈴季すずと山下りなでぜひぶつかり合いたいと思いました。ネクスト、よろしくお願いします!」

――横浜武道館では女子プロ初の蛍光灯デスマッチ。

「そうですね。やっぱりデスマッチをする女子が増えてきた中で、大事なのはスタッフとの協力とかあると想うんですよね。そこを周りのフォローを信用して、蛍光灯を出しました。来年も横浜武道館が決まっているということなので、これからのデスマッチをする女子選手への道を作っていきたいとも思っています。決まり事は、ちゃんと守ればルールは破けるんで。その第一歩が、横浜武道館、鈴季すず対山下りなです。」

――すず選手は本格的なデスマッチへの参戦は初でしたが、戦ってみて印象は?

「なんとなくやりたいじゃなくて、ちゃんと信念を感じますよね。あと、なんだかんだ私のこと、たぶん好きなんだろうなっていうのも伝わってきましたね。すごいいっぱい突っかかってきたんですけど、すずは。でもやっぱりデスマッチが好きだっていう、団体は、私はフリーだけど、すずはかわいいデスマッチの後輩でもあるので、私がチャンピオンとしてすずが思い切り出来るように道作ってやりますよ。」

――自由な白いベルトのチャンピオンとしてのこれからのビジョンは

「デスマッチをやりたいっていう女子がいたらやりますし、私がこの人とデスマッチやりたいって思ったら、“やりませんか”って仕掛けていくし、それ以外のルールもやりたいですね。是非、今エネミーだけじゃなくてガチャ王国もやってますので、真白に目を付けてるので。ちょっと面白いことできたらなと思います。このベルトを懸けて、なぜかバトルロイヤルとか訳の分からないことをやるのもアリかなと思ってます。いいでしょう、私チャンピオンだから好きなことやって(笑)。」

〈試合後の鈴季すず〉

「デスマッチレスラーの山下りなに、山下りなに負けました!完敗、完敗したとは言わせませんよ!完敗したとは書かせませんよ!負けたけど、ただ、この試合で鈴季すずのデスマッチ愛、デスマッチがやりたくてプロレスラーになった鈴季すずの愛が伝わりましたよね?山下りなはそれを全部受け止めてくれました。悔しいけど、悔しいけど…山下りなをデスマッチで、デスマッチで倒せるまで、もっともっと這い上がっていきます。今日は最高に!最高に気持ち良かったです!デスマッチがやりたいって言い続けて良かった、夢が叶って良かったけど、今日がデスマッチレスラー鈴季すずの始まりだったのかなと思います。今後もデスマッチは絶対続けていくんで、世界中のデスマッチレスラーよりも強くなってテッペンに上るんで、ちゃんと見届けてください。」

――横浜武道館という大きい会場で初めてのデスマッチを山下選手と戦ったことに関してはどう受け止めていますか?

「やっぱり最初は会場の問題だったり、新しい会場なのでもちろん傷つけられないし、デスマッチが出来ないかもしれないっていう状況があって、何度も何度も横浜武道館の方と話し合いをしていただいて、やっと今日させていただけるということで。本当に今日のデスマッチは、みんなの協力がなかったら成し得なかったことだと思うし、伝説を作ったんだと思います。あと何年後、100年後くらいになって、横浜武道館で一番最初にデスマッチした人って誰だっけって言ったときに、山下りなと鈴季すずの名前が挙がるってことなんで、伝説作りました!」

――蛍光灯も初めてだと思いますが、いかがでしたか?

「痛い、痛い!痛いけど、なんか幸せでした!一発目の蛍光灯食らったときからテンションが上ってしまって、あんまり何をしたか覚えてないんですけど、ただただ楽しくて、幸せだったなぁって思いました。幸せでした。」

◆第8試合 インターナショナルリボンタッグ選手権試合30分1本勝負
[王者]×藤本つかさ&松本浩代(22分40秒片エビ固め )世羅りさ○&雪妃真矢[挑戦者] ※ダイビングダブルニードロップ
※第52代王者初防衛に失敗 第53代王者誕生

7月24日後楽園大会で復活を宣言したアジュール・レボリューション。その挑戦を受けて立つことを即答した藤本と浩代はその防衛戦の舞台に横浜武道館を選んだ。この時点で藤本vs浩代のICE×∞王座戦は決定しており、メインでタイトルマッチを行う2人が、当日のセミファイナルでタッグを組んでタッグ王座の防衛戦を行うという、前代未聞の2連戦が組まれることになった。入場してきた浩代のベルトが中央部分にある王冠部分が取れてしまい、いきなりベルト破壊というハプニングがあったものの、試合はアジュレボの急襲に始まり、復活タッグとは思えない息ぴったりの連係、タッチワークを見せれば、一方の王者チームは個々の力を存分に発揮。

しっかりとパートナーのフォローにも入り、藤本の変幻自在の動きと浩代のどっしりと構えたパワー全開のファイトが良い形でハイブリッド。王者の強さを存分に見せていく。しかし、その鉄壁と思われた王者チームのリズムが世羅を狙った藤本のビーナスシュートが浩代に誤爆したことで狂い始めた。

孤立した藤本にアジュレボが合体攻撃を狙うが、これを切り返した藤本は雪妃をツームストンで叩きつけ、世羅にインフィニティを決めるがカウントは2。たいようちゃんボムにいこうとするところ、雪妃が藤本にしがみつく。藤本と世羅がもみ合うところに浩代が世羅の背中にミサイルキックを決めるが、藤本も吹っ飛ばしてしまう。浩代が世羅にのど輪を狙うが、これを世羅がこらえ、ここに雪妃が入り、浩代にアジュレボのダブルのど輪落とし。さらに藤本にもダブルののど輪落としを決めると世羅が羅紗鋏。

カウント2でなんとか返した藤本だが、続けて放った世羅のダイビングダブルニーにカウント3を奪われ、世羅&雪妃のアジュール・レボリューションが19年11月3日大阪大会で藤本&つくしに敗れて以来、1年9ヵ月ぶり、4度目のリボンタッグ返り咲きを果たした。

〈試合後のリング上〉

世羅「アジュールレボリューション、完全復活じゃーい!まぶしい、すっごいまぶしい。実際照明がまぶしいっていうのはあるんですけど、チャンピオンベルトが眩しいね!」

雪妃「間違いない!直ってるよ、ベルト。セコンドが優秀だよ。」

世羅「試合前から破壊する女に破壊されたけど、奪ってやったよ。アジュレボが復活したということは、今まで達成できなかった最多防衛記録、必ず樹立してみせます。皆さんお楽しみに。」

アジュレボ「以上、アジュールレボリューションでした。」

◆第9試合 ICEx∞選手権試合30分1本勝負
[王者]○藤本つかさ(17分21秒 たいようちゃん☆ボム)松本浩代×[挑戦者] ※第32代王者7度目の防衛に成功

セミでアジュレボに敗れ、初防衛戦に失敗した藤本と浩代。アジュレボが引き上げたリングで今度は両コーナーに分かれた藤本と浩代。試合前、珍しく藤本がコーナーに座り込み、肩で息をするシーンが見られた。世羅のダイビングダブルニーがみぞおちに入り、相当なダメージを残した状態でメインに臨まざるを得なくなった。数分のインターバルのあと、レフェリーが2人に同意を求めた上で試合開始のゴング。開始と同時にダッシュをかけてのドロップキックを放った藤本。コーナーに浩代を振ろうとするが、逆に振られラリアットを浴びてしまう。さらにエルボー合戦からコーナーに藤本を詰めて逆水平チョップを連打した浩代。コーナーに走ると後ろから藤本が、ドロップキック。ロープに飛んで戻ってきた藤本をがっちりと抱え上げてパワーボムでマットに叩きつけ、カウント2。思わず場外に逃げる藤本。なんとか息を整えてリングに戻るが、再び浩代の猛攻を浴びてしまう。なんとか切り返しからの卍固めを決めた藤本はコルバタで浩代を場外に落とし、コーナーからのプランチャ、場外でのインフィニティ、さらにエプロンを走ってのミサイルキックを決める。リングに戻った藤本はダイビングローリング・ネックブリーカーを決め、インフィニティを狙うが、これをこらえた浩代がバックドロップしようとするがカサドーラ、PKとつないだ藤本がたいようちゃん☆ボムを狙うが、これをこらえた浩代はゴリースペシャルの形で藤本を叩きつける。

さらにコーナーでリバースのダブルニー。さらにライガーボムを狙うが、これを藤本が逃れるとバックドロップの体勢から前方に回転させて叩き落す。藤本もウラカンで反撃も浩代はラリアット、しかしカウント1。ライガーボムの体勢になるも、切り返した藤本がインフィニティ。カウント1でキックアウトした浩代がラリアットを放てば藤本は延髄ハイを決め両者ダウン。起き上がった2人は強烈な張り手の打ち合いから浩代がラリアット、そして3度目のトライでライガーボムを決めた。なんとかカウント2でキックアウトした藤本だが、立ち上がることができない。引きおこそうとする浩代を藤本はビーナスクラッチの形で丸め込むがカウントは2。延髄ハイからビーナスシュートを決めた藤本だが、浩代はカウント2で返す。ジャパニーズオーシャンを狙う藤本だが、これをこらえた浩代は逆に藤本を担ぎ上げ、掟破りのジャパニーズオーシャン。さらにロックドロップ。

エプロンに逃れてフォールを逃れた藤本をコーナーに上げ雪崩式ロックドロップをねらう浩代。しかしこれを逃れた藤本は逆に雪崩式たいようちゃん☆ボム。カウント2で浩代が返すと、再びたいようちゃん☆ボムを狙うが、これをこらえた浩代が背中越しに藤本を抱えてマットに叩き落す。両者ダウン。起き上がった藤本は浩代にサッカーキック、顔面キックの乱れ打ち。その蹴り足をキャッチしてロックドロップを狙う浩代。これを逃れた藤本がツカドーラを決めるがカウントは2。起き上がった浩代にたいようちゃん☆ボムの体勢にはいるが、浩代が必死にこらえる。しかし勢いをつけて藤本がたいようちゃん☆ボムを決め、カウント3を奪取。

2試合で40分1秒。文字通りの死闘を制して王座防衛を果たした。

〈試合後のリング上〉

藤本「悔しい!ベルトがひとつなくなって悔しい!大嫌いだったあなたと、唯一、同じもの巻いてたのに、悔しくてたまらない。松本浩代がいなければ、自分はプロレスを続けてこれなかったかもしれない。辞めさせないでいてくれた人。松本浩代は、闘志の根源、闘志の源。私を女子プロレスラーにしてくれた人。ずっと大嫌いでいたかったのに。これからも、女子プロレスやりましょう!うちらがやらないで誰がやるの!女子プロレス、紡いでいきましょう。悔しい!」

松本「つっか、今からもう1試合やろうか。この横浜武道館が決まって、昨日、つっかとの最初の試合、松本浩代事件がYoutubeで公開されて、恥さらされて、今日も負けっていう恥を晒してしまった。だけど、何も後悔してない。ここまで全力でぶつかれて、化粧も剥がれて、ボロボロな姿を出せる女子プロレスが私は大好きです。だから今日、つっかと戦えて本当に良かった。つっか、プロレス続けてくれてありがとう。なんか私辞めるみたいじゃない?

藤本「いままでありがとうございました。」

松本「辞めないからねー!」

藤本「私も辞めないからね。だって女子プロレス大好きだーっ!(会場中から大きな拍手が起こる)嬉しい。この拍手の音が私達の価値!負けた人の価値。我々の歴史の価値!」

松本「ポジティブー。」

藤本「ありがとうございました。(浩代がはける)このあとに上がりにくいけども、次期挑戦者、勝った奴、誰だ?」

※あかねがリングへ上がる。

あかね「ワシです。藤本さん、勝ってくれてありがとうございます。もう5年前ですよ、5年前。藤本さんがそのベルト巻いてる時に、所属全員と防衛戦やるって言ってましたよね?あの時自分怪我しててできなかったんです。それがすごい悔しくて、復帰してからもいつも藤本さんはあかねには期待してるからって言ってくれてたけども、自分がそのたびに怪我したり失速したりでいつも期待を裏切ってきました。でもあの頃とは違います。今は頑丈さを売りにできるほどのレスラーになりました。だからこのベルト、ワシが取って今度こそ藤本つかさに、藤本さんの期待に答えてみせます。」

藤本「やりましょう。8月28日後楽園ホールで、よろしくお願いします。」

あかね「お願いします。スタミナと頑丈、どっちが強いか勝負しましょう。」

※2人で握手。

藤本「こういうご時世、このメンバーでやれることが奇跡。お客さんの中でプロレスができることも奇跡だと思います。アイスリボン15周年イヤー、今年はビッグマッチがもうひとつあります。それは11月13日、大田区総合体育館大会です!そこでも絶対、自分がチャンピオンでいたいと思います。点と点が線に繋がる、その瞬間の感情を皆さんと共有できる瞬間が一番好きです。だから今が一番最高!その思いで叫びたいと思います。プロレスでハッピー、アイスリボン!」

〈試合後の藤本つかさ〉


「悔しいです!悔しい!二冠のまま終えることが自分の最低限の目標だったんですけど、1つベルトを獲られてしまった。松本浩代は本当に昔は大嫌いで、大嫌いで大嫌いで、あの人を見返してやろうと思ってプロレスを続ける選択をしたようなものなんです。でも、その悔しさがなかったら、見返そうっていう気持ちがなかったら、ここまで藤本つかさというプロレスラーは誕生しなかったと思うから、悔しいけど、感謝ですね。ずっと大嫌いでいたかった。やっぱ女子プロレス最高!良かったです。でも悔しい。」

――2試合合わせて40分近く戦うことになりましたが、戦うことが出来た原動力はなんだったのでしょうか?

「無観客じゃなかったこと。結びつけるのは違うかもしれないですけど、もしオリンピックが無観客じゃなかったらもっとメダル獲れたんじゃないかなとか。お客さんの力、お客さんの声って、パワーになる。それが今日の異例の2タイトル連続というのに反映されたと思います。」

――アイスリボンで13年やって来たことが後押しになったと。

「そうですね。私は私で、同じ団体、生まれてからずーっとここにいるプライドがある。松本浩代はずーっとフリーでやって来たプライドがあって、どっちがどうとか、そういうんじゃなくて、異なるプライドがぶつかり合う。それが魅力的だった気がしました。ウチらにしか出来ないプロレス。」

――その試合を制してシングルのベルトは守りました。これからのアイスリボンの展望は?

「そうですね、やっぱビッグマッチをどんどんやっていきたい!団体をもっともっとデカくしたい!負けたくないですね。負けたくない。やっぱそういう闘志がないと、今日みたく強い相手を倒せなかったと思うし、やっぱりライバルがいてナンボだと思うし。負けたくない心が、続けさせる。闘志の源!ベルト1つで悔しい!やっぱ悔しい!やっぱ悔しいです!でもその悔しさがあったから次に繋げたのかもしれないし。それはプラス思考ですけど。」

――8月28日の後楽園ホール大会で藤田あかね選手との防衛戦が決まりました。

「あかねは、いつも、次はあかねの番だよって言ってるんですけど、大事なところで怪我をして、いつもつまずく。ホントにつまずきのプロレス人生だったと思うんです。だけど、やっとようやく頑丈になってきた。だからあかねが来てくれて嬉しいですね。」

――当然、防衛?

「もちろん!もちろんですよ。今日の戦いで、あ、まだまだ藤本つかさ、バリバリ現役で行くんだろうなって知らしめられたと思うので。」

――誰が藤本さんを止めるでしょう?

「誰でしょうね?いたとしたら、全てを預けるくらい。そんな相手じゃないと、まだまだ負けられません!まだまだやれるって思いました!女子プロレス最高!」

――2試合目に入ったときの体力・気力はどうでしたか?

「最後のダブルニーで、ちょっと動けなくなっちゃったんですよ。みぞおちに入ったのか、肩を上げられず、頭も多分どっかふらふらして飛んでしまった。しかも煽りVTRもないですからね、メインイベントの。インターバルなしですよ!でもそれは、本当に心の声援ですね。あとセコンドの声と。やっぱり人間の耳は人の声を聞くためにある。プラスの声を聞くためにある。それが原動力になるのかなって思います。だから早くコロナが収まってほしいです。」

――「女子プロレス最高」という意味合いは?

「女子プロレスこそ、感情のぶつかり合いが一番だと思うんです。喜怒哀楽全てを惜しみなくさらけ出す。それが女子プロレスの醍醐味。よく、なんで女子プロレスは“女子”って付けるんだ?男子と一緒じゃなくて、そんなの女子が見劣りしてるんじゃないかっていう人もいるんですけど、私は真逆。女子プロレスこそが、感情のぶつかり合いこそが、最高だし、感情移入されるプロレスラーが一番最強だと思ってます。女子プロレスが大好きです!」

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