【魔界(MAKAI)】鶴姫(志田光)・越智安成(新納刃)・錬武官(吉野恵悟)の魔界三人衆インタビュー
<志田光、魔界で解き放たれる>
――志田さんの役どころは、しゃべる役どころから、しゃべらない方へ変わってきました。演者として、どういう心構えでやっていますか?
志田:鶴姫がちゃんと人間として存在しなきゃいけないと思っています。魔界の登場人物は見栄えのいいキャラクターみたいなイメージですけど、そこを超えて、悲しいとか、つらいとか、人間としての鶴姫の感情を、消さずに表現できたらいいなとずっと思っています。逆に、笑顔は一切ない……。
――リングの志田さんと魔界の志田さんは全然違いますね。魔界の志田さんの方がいいなと思う人も多いですよ。
志田:そう言ってくださる方が本当に多いんです!
――ヒールの志田さんより魔界の志田さんの方が、ファンとしてはスッと入りやすいのかもしれませんね。
志田:めっちゃよく言われます……。
吉野:朱里さんを連れて竹刀振り回して、朱里さんはコシティを持ってというのは、プロレスファンとしては素直に応援していいのかな?って思っちゃいますよね。だけど鶴姫というキャラクターは感情移入しやすいんですよ。僕も台本見てて辛い、かわいそうって思います。
志田:鶴姫役を始めてから、悲しみの演技が上達しているってよく言われます。
新納:それ以外ないからね。
吉野:魔界で笑ったことないよね?
志田:ゼロですね。
新納:明るいキャラって、慶次くらい?
――リング上では、男子レスラー相手に全力で戦ってますね。
志田:どれだけ本気でやっても大丈夫な人たちなので(笑)
――志田さんは、あの石川修司さんとも戦っていました。身長差が激しいのにボコボコにやられるのは大変そうです。
吉野:スプラッシュ・マウンテンで持ち上げられて、振り回されてたんですよ。
志田:上から落とすだけだから、受け手が制御できないんです。いままで味わったことのない高さから落ちました。「ここから落ちるの?」って思いながら。
吉野:あの技の経験がある人でも、ダイナマイト・関西さんの高さですよね。
――そんな状態で終わった後でも、演じ続けなければいけない。セリフは飛ばないんですか?
志田:逆に、強めにボコボコされたときの方が役に入りやすいです。
新納:テンションは上がりますね。試合で戦った後だと、感情が出しやすいんです。試合のテンションなら、泣けます。
――激しくやったほうが感情を出しやすいんですね。
吉野:でもテンションが上がりすぎて、試合後の演技をスポっと忘れちゃったりする(笑)。
――演劇とプロレスの関係について、志田さんはどうお考えですか?
志田:最近は……すごく悩んでます。魔界で世界進出するためには、レベルが全然足りてないと痛感しています。プロレスも演技も、レベルアップしていかないと思っています。課題ですね。
――魔界は海外で受けそうなコンテンツになっています。志田さんには日本美人的なものがあるから、ヒロイン役にぴったりですよ。
志田:鶴姫はゲームのキャラクターにもなっていて人気がある存在だから、自分がやることにずっと違和感があります。もっとかわいい人がやったほうがいいよ、って思ってるんですけど……。自分が納得できるまでレベルを上げて、誇りをもって演じなければいけないと思っています。「私なんかが……」という気持ちを捨てて、「私がやる!」と、自信をもって演じられるようになりたいです。
――魔界では、普段の試合と目線が違いますか?
志田:プロレスだと、選手はお客さんを見られるんです。この技好きなんだね、じゃあもう一回やろうか、ってやりとりができる。鶴姫だとそれはできません。
吉野:魔界は、お客さんが見ているという認識ではないんです。お客さんに見せるという感覚でリングに立っていない。
志田:意識しないほうがいい。それが見えると、お客さんが醒めてしまいます。
吉野:関係が近くなりすぎちゃダメなんです。
――それって逆に難しくないですか?プロレスでは当たり前のことが魔界ではダメで、いわば内なる世界に入っていって演じるんですよね……。
新納:慣れました(笑)
吉野:ドヤ顔(笑)