【魔界(MAKAI)】鶴姫(志田光)・越智安成(新納刃)・錬武官(吉野恵悟)の魔界三人衆インタビュー
<錬武官・吉野恵悟はすべてを見通す>
――吉野さんも、前説で客席を煽りつつ、公演では錬武官を務めています。
吉野:前説があるからいいんだと思います。違う人になっているのを見せることができるので。僕も全然芝居ができるわけではないですから。
――気持ちの切り替えが大変そうですね。
吉野:必死ですよ! ここからは笑いを取る人じゃないぞ、ってバリアを張るだけです。前説で盛り上げてくださる、TOYOTAの18番の人にも感謝です(笑)このインタビューを通して伝えておいて下さい。
――吉野さんは、魔界で心がけていることはありますか?
吉野:普段の試合よりすべてを押さえています。冷静なイメージなので、なるべく興奮しないようにしている。普段の場合は怪我でもいつもの経験値で対応できるので、興奮しても頭が回るんですけど、魔界の時はストーリーがあるから試合権利も関係ない。盛り上がれば盛り上がるほど冷静でいるようにしています。
――リング上の立ち位置も、普通のレフリーのポジショニングとは違いますか?
吉野:全然違います。ロープがないから、選手をよけていたら落ちるんですよ。で、ここにいようと思ったら長物の武器を振り回されて、どうやってもレフリーが巻き込まれる。さらにカメラが四つ入っているから、魔界の映像として見せたいシーンの邪魔にならないように振舞わないといけません。後楽園ならカメラ位置も想像がついて、技とカメラを考えた位置にいられるけど、魔界は映像としての映え方があって、それが魅力なので、そこに入らないようにフレームアウトする必要があります。
――魔界を続けていく中で、総合演出力がだんだん上がってきました。
吉野:個々に考えられるようになってきたのが、魔界の規模が大きくなってゆく要因の一つですね。
――さらに、皆さんがしゃべるようになりました。
吉野:しゃべらないのは(村上)武吉だけ(笑)
志田:絶対しゃべらないって言ってました。
――観客としては、アテレコよりも、自分の声で話した方がいいんですよ。
志田:地声だと、声が聞こえているかという不安はありますけどね。
吉野:マイクがある人とない人の差があったりします。
志田:試合がなければ、マイクがあったほうがいいでしょうけど。
吉野:つけたままで試合はできませんからね。
志田:この前はマイクの外し忘れもありました。細かいミスはまだまだありますね。私もエンディングで出られなかったりしたので、改善の余地があります。
吉野:裏方も力をつけないと、大変ですね。(田中)稔さんも、仲間をかっこよく助けに行くシーンがあったんですけど、出る場所を間違えてしまって、とりあえずそこにいたギタリストをちょっと斬って、スッと戻ってきた(笑)
志田:曲のタイミングで出入りすることが多いので、難しいんですよね。
吉野:だけど一流のパフォーマーがそろっているから、そのフォローがカッコいい。さっきのミスがあった時も、(Mary’s Bloodの)SAKIちゃんがアドリブで「弦を切られた」演出にして、途中で弾き方を変えてくれたんです。下の二弦を弾かずに弾き切って、ダメージを負いつつ演奏している演出に変えてくれました。それがまたカッコいい。
新納:とある人が二ヶ月連続でセリフを忘れちゃったこともありましたけど……
吉野:二回とも、伽羅奢様(虎南有香さん)がフォローしてくれたんですよ。
新納:自然すぎて、何事もなかったかのように進んでいくんです。
――演者がプロフェッショナルだから、全然気が付きませんでした。
志田:皆さんがプロフェッショナルなんでありがたい話です……。
――第34回魔界の見どころを教えていただけますか。
吉野:ここしばらく続いている、鶴姫を巡る大三島の三角関係、安成と(大祝)安房の、男と男の戦いが今後どうなっていくかが楽しみですね。安成が、鶴姫をもちろん、安房のことも守ってやれるのか!というところを見てほしいですね。
第三十四回『魔界』〜三軍激突して六道嗤う~のチケット情報・詳細はこちら
⇒http://www.makaisyojyoken.com/ticket-qegyq
〈インタビュアー:山口義徳 撮影:二瓶隆弘〉