【スターダム原田克彦社長インタビュー】団体経営、今後のビッグマッチ、国内戦略&海外戦略、新日本とスターダムの違いを語る

⑤新日本プロレスとスターダムの経営の違い

――原田社長は新日本プロレスの社長も歴任されてきたわけですが、経営をするうえで違いなどはあったりしましたか?

新日本プロレスは業界No.1で事業規模が大きくスタッフ数も多いので、しっかり業務が細分化され役割分担がなされています。そこをしっかりまとめ上げる、どちらかといえば管理業務が社長や役員の主たる役割だったんですよね。でもスターダムはまだそこまで規模は大きくなくですがスタッフも少ないので、少人数でやらなきゃいけない。

――では社長も?

そうですよ、スタッフも1つの仕事だけじゃなく複数の業務をやらないといけないです。プロレス事業のビジネスモデルはそこまで複雑ではないので経営の違いというよりは、規模の違いかな。当然ながら私も都内や地方大会にしばしば足を運び、会場運営、グッズ企画にもかかわることもあります。もちろんスタッフの人事や労務管理もしますし、マッチメイクや選手のブッキング、契約とかにかかわる場合もあり業務は多岐にわたりますね。試合に関することは基本(ロッシー)小川さんに全面的にお任せしていますが、経営方針、方向性とのすり合わせを行いながら小川さんと週に何回も打ち合わせしながらすすめているという感じですね。

――密にやり取りされてるんですね。

ほぼ毎日LINEのやり取りとかしてますし(笑)

――ロッシー小川さんとしては、経営的なところはお任せしてリングに集中できるようになったのではないでしょうか

もうそこは我々に全面的な信頼を置いてくれているんだろうなって思っていますし、小川さんも会社の意図を汲みつつスターダムブランドを支えてくれているので我々も本当に信頼しています。

――お互いに信頼し合える関係ということで、相乗効果が生まれてるのかもしれないですね。新日本プロレスとはやはり歴史が違いますが、逆に作り出す楽しみのようなものもありますでしょうか?

そうですね、現場に出てみると特にそれは感じますね。現場に出て選手とコミュニケーションを取ったり、ファンの方々の様子をうかがったりするのは私も勉強になりますね。選手はこういうこと考えているのかとか、ファンはこういうことを喜んでくれている、反応してくれているというのを感じられて楽しいですよ。ハラハラドキドキもそれ以上にありますけどね(笑)。

――選手とも積極的にコミュニケーションを取られてるようですが、男子と違って女子は選手生命が短かったりすることもあり結構センシティブな部分もあるのかなと思うのですが、そこらへんのケアなどはいかがでしょうか。

選手たちもそれぞれ考えていることが違いますしね。パフォーマンス内容や表現手段も違ったりするので、いろいろなことを言いますよね。そこをケアする…ケアという表現だとニュアンスが違ってくるかもしれませんけど、逆にこちらが教えてもらうことも結構あるのでよい相乗効果というか、コミュニケーションをとることで何か信頼感みたいなものが生まれればと思っています。

――そういったチャンレンジをしていった日々の積み重なりが、今の成長に繋がっているということですね。最近では、フワちゃんのプロレスデビューも衝撃でした。デビュー戦前にはネガティブな意見もあったかと思いますが、それを一蹴する試合でした。


※参考記事:【スターダム】フワちゃんが10月23日プロレスデビュー「メチャメチャ最高の試合をみなさんにお届けしたい」

そういっていただけるとありがたいお話ですけど。日本テレビさんやフワちゃんが興味深い企画を考えていただいて、その場にスターダムを選んでくれたというのは本当にありがたいお話でした。我々もそれに応えていきたいなと思いましたが、なによりもフワちゃんの潜在能力の高さに驚かされましたね。

――本当にフワちゃんの潜在能力の高さにはビックリしました。そして日本テレビさんがスターダムを選んだということは、やはり対外的に見ても今スターダムが魅力的なリングだということの証明にも繋がったのかと思います。

そうであると嬉しいですね。それを念頭にいろいろなことにチャンレンジしてきましたし、リング上も作ってきました。スターダムのテレビ番組やCM、そしてyoutubeもですが露出の場を増やしてきました。その戦略が今回マッチした結果なのではないかなと思います。

 

⑥スターダム、今後の可能性

――国内外の戦略についてお伺いしましたが、今後の可能性についてはどのようにお考えでしょうか?

そこには世の中で必要不可欠な存在となりえるかという観点から見てしまうのですが、社会における女性の地位向上、ジェンダーレスという時代の流れを背景に「スターダム」は最もそこにマッチしたエンタメブランドの一つとなりえることを可能性として感じます。今後日本の経済環境下では以前のように製造業に依存していくことは難しいと思います。人口減少下では大きな経済成長は期待できないし、それゆえ為替の円安トレンドは当面変らないでしょう。そこでインバウンド需要を取り込むための日本のエンタメコンテンツはより注目されると思います。プロレス団体の枠を超えて、社会的インフラのひとつとして認知されることで価値あるスターダムというものを確立していける可能性を感じています。

――プロレス団体ではなく、スターダムというコンテンツの確立ですね。

そうですね。リング上のプロレスをしっかり見せていくことがスターダムの土台なのは確かですが、そこから派生する選手のタレント性を生かしたコンテンツを作っていくことも世の中に認知されるためには重要ですね。

――岩谷麻優選手を題材にした映画も新しい試みでしたので、今までにはない広がり方をしているのかなと思います。

はい。これも岩谷麻優、スターダムを世間に認知してもらうためのチャレンジであり啓蒙活動のひとつでもあります。TV番組、映画、Youtube等映像面での露出も含めて、コンテンツとして一般社会により受け入れられる動きを積極的にやっていきたいなと思っています。


※参考記事:【スターダム】「家出レスラー」劇団バカバッカの平井杏奈が主演・岩谷麻優役に決定!

⑦原田社長の経営哲学とプロレスビジネスについて

――そして今度は原田社長にフォーカスを当てていきたいのですが、経営するうえでご自身が大切にしている経営哲学的なものをお聞かせいただきたいのですが…

私は前職は金融業界で働いてきました。そのほとんどを投資関係に従事してきたということもあり、やはり『失敗を恐れず、リスクを恐れずにチャレンジしていきたい』というのはありますね。しかし最後に携わった信託銀行の業務が「リスクの最適化」を期待されるものでした。ですから、リスクコントロールについても自然と敏感にはなりました。一言でいうと「やるときはやるけどほどほども大事」っていうことですかね。それがまあ一つの哲学というか…、さほど何も考えてないといことですか(笑)

――いやいや(笑)

いろいろ生まれてくるものに投資をね、ベンチャー投資もそうですけど少しずつ分散投資していけばその中から大きく育つものがあるじゃないですか。それと同様にスターダムにかかわってくる案件やビジネスも許容できるリスクを考えながら常に恐れずに様々なことに投資をしていけばその中から大きなものが生まれる可能性がありますよね。

――今後はスターダムはもちろん、ブシロードとしての種まきの部分も考えてらっしゃったりするんですか?

いやそれは木谷社長はじめブシロード経営陣が考えてやってらっしゃるので。木谷社長は私と同じ、元々金融マンということもあり、嗅覚が鋭いかたですね。そこは木谷社長の経営手腕に期待していただきたいです。そもそも女子プロレスやろうと最初に旗を振っていただいたのも木谷社長ですし、それがなければスターダムはやっていなかった。もちろんグループの中でスターダムがやるべき仕事はどんどん進めていき貢献していきたいと思っていますし、グループ内でよりスターダムのプレゼンスを高めることができるよう成長させていくのが私の役割です。

――いろいろな経験をされて、現在プロレスビジネスをされているわけですが、プロレスビジネスの面白さや醍醐味みたいなものはありますか?

やはり選手のマネジメントをすることも業務なのですが、なんていうのかな、、、数字だけではない、感情的なものでも少なからず物事が動いていくこともありますし、そこはすごいリスクでもありますけど、楽しいといったら怒られるかもしれませんが結構刺激的というか、そう、いつも刺激を受けているところはありますね。

――生まれ変わってもプロレスの経営者になりたいですか?

どうだろうなぁ、そうはいっても私はサラリーマン経営者なのでね。やはり株主に委託されて社長をやっているので、株主の意見を聞きながらこのビジネスを拡大させていくというのが私の仕事ですし、そこはしっかり遂行していかねばという思いでやってきましたからね。でも、私もそろそろサラリーマン人生の終盤近くに来てますよね。その最後の局面でこういう仕事に携われたというのはよかったなと思います。

――プロレスの経営者になってよかったと。

だって刺激ありますよ。普通にね、金融でサラリーマンをやっていたら出来ない喜怒哀楽の激しい経験をたくさんさせていただいていますからね。だから本当に刺激的な期間を与えていただいて、プロレス業界には感謝をしていますね。

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)

▼ビッグマッチの横浜アリーナ大会対戦カード

ALLSTAR GRAND QUEENDOM 2023 Powered by SoftBank NFT LAB
日時:2023年4月23日(日)開場14:30開始16:00
会場:神奈川・横浜アリーナ

【対戦カード】

◆ワールド・オブ・スターダム選手権試合
《王者》ジュリア(Donna del Mondo)
vs
《挑戦者》中野たむ(COSMIC ANGELS)

◆IWGP女子選手権試合
《王者》メルセデス・モネ
vs
《挑戦者》岩谷麻優(STARS)

◆女子プロレス最強決定戦
朱里(God’s Eye)
vs
橋本千紘(センダイガールズプロレスリング)
※ギブアップ、ノックアウト、レフェリーストップのみの完全決着ルール

◆ワンダー・オブ・スターダム選手権試合
《王者》上谷沙弥(Queen’s Quest)
vs
《挑戦者》白川未奈(Club Venus)

◆アーティスト・オブ・スターダム選手権試合
《王者》世羅りさ&鈴季すず&柊くるみ(PROMINENCE)
vs
《挑戦者》KAIRI&安納サオリ&なつぽい《REstart》

◆ゴッデス・オブ・スターダム選手権試合
《王者》高橋奈七永&優宇(7Upp)
vs
《挑戦者》MIRAI&壮麗亜美(God’s Eye《THE NEW ERAS》)

◆ひめか引退試合~ひめかFINAL~
ひめか(Donna del Mondo)vs 舞華(Donna del Mondo)

◆フワちゃん第2戦 タッグマッチ
フワちゃん&葉月(STARS)
vs
林下詩美&天咲光由(Queen’s Quest)

◆スーパーハイスピード タッグマッチ
駿河メイ(我闘雲舞)&AZM(Queen’s Quest)
vs
スターライト・キッド(大江戸隊)&星来芽依

◆第0試合ー(2) 8人タッグマッチ
テクラ(Donna del Mondo)&マライア・メイ&ジーナ&ジェシー(Club Venus)
vs
刀羅ナツコ&渡辺桃&鹿島沙希&琉悪夏(大江戸隊)

◆第0試合ー(1) 横浜ランブル
19選手参加 時間差バトルロイヤル

※カードは変更になる場合あり。

▼大会詳細は公式サイトにて
https://wwr-stardom.com/schedule/20230423_yokohama/?mc_id=710

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