新日本プロレスが100億円企業になるために抑えるべき3つのポイントとは?

2. 地方興行の動員数増

ビッグマッチの動員増にもつながる地方興行の動員力向上が肝!

前項で述べた売上高を100億円まで上げるために、まず重要なのが興行規模の拡大です。その中でもとりわけ地方興行の動員力を上げることです。

まずは下記のグラフを見てください。

これは新日本プロレスの2016年度上半期の売上高における内訳比率(※8)です。

なお、各事業の内容は以下の通りです。

興行事業:主に興行。年間130本以上の大会が全国で開催される
商品事業:選手やユニットのグッズ販売など
コンテンツ事業:テレビ放映権料、有料動画配信サービスなど

この興行事業が新日本プロレスの売上で、全体の52%と最も大きな比率を占めており、単純計算すると、年間でおよそ16.6億円程度の規模となります。

そこで年間の興行数を130回、客単価を10,000円として以下の計算式に当てはめると、現在は1興行あたり平均1,300人程度の動員となります。

興行数130回/年×客単価10,000円×平均動員数1,300人=16.9億円

興行事業の成長は、シンプルに上記の計算式の通り、興行数、客単価、動員数を上げていくこととなりますが、まず、1興行あたりの動員数を上げることに注力します。

なぜ、動員数に注力するかというと、他の指標を無理矢理に上げようとすると、それらの数字を上げても動員数が減少してしまうリスクを孕んでいるからです。

所属選手数は国内屈指、海外も含めフリーエージェントのレスラーを多く雇うことで、試合数を増やし、興行数を増やすこともできそうですが、最も大事な試合の品質が落ちたり、知名度が高く、人気のあるレスラーの数も限りがあるために、興行当たりの動員数が下がってしまう可能性が高いでしょう。

従って、例えばいきなり『興行数を1.5倍に増やす』というのは選手の怪我のリスクをはじめ、様々な観点からも難易度が高くなってしまいます。

次に客単価です。プロレスの観戦料は3,000円〜20,000円程度と、他のスポーツと比較しても決して安くはありません。その中で、例えば『次のシリーズから30%値上げする』と、それも動員数の低下に繋がってしまうでしょう。

それでは動員数に戻ります。なぜ、地方興行なのかというと、以下の2点が理由として挙げられます。

まずはじめに、シリーズごとの試合会場を見るとわかりますが、全興行の中で地方興行の開催数が都心をはじめ大都市、そして大きな会場での興行よりも圧倒的に多いためです。

先の数式で平均動員数を1,300人と置いていますが、この1,300人という数字を下回る地方興行を如何に1,300以上に持っていくか、というのがファーストステップです。

後楽園ホールやビッグマッチは超満員札止めになることが増えましたが、地方大会では満員マークが付かず、動員数が三桁に留まることも少なくありません。

そのためにはあらゆるメディアへの露出の回数と方法をよりブラッシュアップしていき、選手、団体双方のブランディングとプロモーションの強化をすることによって、潜在的なライト層に対して出場選手の認知度を向上させること。

昨年から取り組んでいる、アミューズさんとの業務提携はまさにこのための施策と言えます。

また、会場でしか体験できない仕掛けを用意し、現地観戦する必然性を高めることも重要でしょう。その具体的な方法はまた別の機会に記したいと思います。

さらに試合、興行そのものの品質を維持、向上させることも常に意識していかなければなりません。

その地方興行の動員数が上昇していけば、ビッグマッチは開催地在住の方のみならず、地方から遠征して観戦する方も多く、その各地方での観戦者が増えるのに比例して、動員数も増えていきます。

⇒次ページ(3 .グローバル展開の強化)

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