【真霜拳號インタビュー】第74代世界タッグの奇妙な縁、そして不倶戴天の敵・木髙イサミ

<木髙イサミ、15年越しの宿敵>

――5月28日には、KAIENTAI-DOJOで木髙イサミさんとのシングルマッチが決定しています。イサミさんはいろんな団体に出てデスマッチも経験し、今は、プロレスリングBASARAという自分の団体を持っています。彼に対する意気込みはいかがでしょう?

真霜:僕はやりたくないんですよ。CHAMPION OF STRONGEST-Kのタイトルマッチとしてやるんですけど、挑戦表明の仕方が気に食わない(笑) 自分が来ないで後輩を差し出すわけだから、こちらも気持ちが乗ってこない。「お前本気か?」「本気で取りに来てるの?」って思いますよ。

――イサミさんのことだから、刺客を送ってくるのかもしれません。

真霜:もう時間もないですから、あとは当日を迎えるだけでしょうけど、とにかくイサミとは因縁がある。……一言でいえば、嫌いなんですよね(笑)

――肌が合うタイプかと思っていたんですが……

真霜:いやいや……合わないですよ……あんなの(笑) 鬱陶しい!

――イサミさんの印象は?

真霜:レスラーとしては凄い奴になりましたよ。デビュー当時やりあっていただけに、余計に思う。あいつが一番ダメな時を見ているから、凄い選手になったとは思うけど、やっぱり嫌いなんですよね。

――イサミ選手のどういうところが嫌いなんですか?

真霜:この試合が決まってからいろいろなところで聞かれるんだけど、明確な理由がないんです。デビュー当時に自分にケンカを吹っかけてきて、因縁があり、彼がKAIENTAIを逃げ出したこともあり、いろいろ腹が立つこともある。だから嫌いかというと、そういうわけでもなく、とにかく本能的に嫌い(笑) 人間関係ってそういうことがあるじゃないですか。こいつは合わない、わからないけどこいつは嫌ってタイプが。

――ケンカを吹っかけられた理由は?

真霜:ケンカを売るのが一番手っ取り早かったんだと思います。僕は格闘スタイルだけど、あいつは格闘家そのもののスタイルでデビューしてきた。プロレスの技術はないけど、真霜を倒せば自分が上に行けると思っていたんじゃないでしょうか。そして本当にやられた(笑) そこから15年、ずっと険悪なままです。この試合は、あいつ自身が「KAIENTAI-DOJOの卒業試験」と言っていたので、15年分の清算という意味もあるのだろうが、自分にそんなのは関係ないし、感傷的なものもない。ただ嫌いだからボコボコに痛めつけてやろうかなと思ってます(笑)

――15年前のイサミさんはどんな人だったんですか?

真霜:生意気でしたね。当時の試合映像なんてほとんど残ってないだろうけど、自分勝手なファイトスタイルでした。相手の技なんて関係なしに自分の技だけをぶつけて、勝って帰るみたいな奴でした。それはレスラーとして違うだろう、という思いが自分にはあった。そういう時代を知っている者からすれば、イサミは立派に成長したなとは思う。まあ嫌いですけど(笑)

――レスラーは技を受けることも大事ですけど、木髙さんは格闘家として攻めていくスタイルだったんですね。

真霜:彼は今でもガリガリですけど、最初は今よりガリガリでしたから。技を受けたら一発でやられると思って受けまいとしたんだろうけど、僕はそういうのが嫌いなんで。

――ちなみに、イサミさんは真霜さんのことをどう思っているんでしょう?

真霜:嫌いだと思いますよ(笑) 直接聞いたことはないですけど、周りからは「イサミさんが真霜さんのことを嫌いって言ってますけど、どうなんですか?」って聞かれることがある。イサミも方々でいらんこと言いやがって(笑)

――他の現場でも会うと思いますけど、話してますか?

真霜:ずっと背を向けてます。お互い、やっぱり嫌いなんですよね(笑)

――ファンの皆さんは、この試合に大きな意味を感じていると思います。

真霜:(この二人を)長く見ている人ほど、そうでしょうね。

――それぞれが歴史を刻んだ上の戦いなので、感情的なぶつかり合い、肉体的なぶつかり合い、技の攻防など、お互いが成長した部分をぶつけ合う試合になってほしい。真霜さん的にはボコボコにするつもりで。

真霜:あいつの気持ちがよくわからないので、確かめたい。本当にこのベルトが欲しいのか、卒業試験だと思っているのか、ただ俺を倒したいだけなのか。だから僕としては、痛めつけて最大のダメージを与えたうえで倒したい。

――イサミさんはいろんなことを仕掛けてくるタイプです。

真霜:いろいろなことができるタイプだから、何をしてくるかわからない。

――デスマッチもこなしながら、トップロープ越えの空中技でも襲い掛かってくる。いろいろやってくるから危ないです。

真霜:そういう意味だと、今までの防衛戦の相手とは全く違う相手なので、戦い方が読めないのは事実です。

――真霜さんのプロレスは「剛」のイメージ、それに対してイサミ選手は「柔」。「剛」と「柔」の戦い、力でねじ伏せるか技で倒すか、というぶつかり合いが見られそうです。

真霜:お互い、感情が先走るかもしれません。

――このカードはますます面白いですね。

真霜:リング上でどうなるかわからないんですよ。自分も今回の防衛戦は何の作戦も立てないですし、リング上の感情で、どうなるかわからない。向こうの出方次第です。15年前の生意気な感じなら叩き潰しに行くでしょうし、「卒業試験」とか「タイトルマッチだから」と謙虚に来るなら、こちらもじっくりと戦う。展開が読めないですね。お客さんには、結末を予想してもらってもいいかなと思います。どうなるかは、やる方もわかりません。

2017年5月28日(日)『東京ビッグショー』
新木場1stRING
大会情報はこちら⇒http://www.k-dojo.co.jp/schedule/20170528tokyo/

世界タッグを奪取した翌週に、CHAMPION OF STRONGEST-Kのタイトルマッチとハードスケジュールではあるが、その言葉一つ一つに重みと自信が漂う真霜選手。KAI選手のタッグはどの様に発展していくのか?世界タッグ戦線からも目が離せない。

〈インタビュアー:山口義徳、撮影:二瓶隆弘〉

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