「俺が佐山の一番弟子だよってみんなの前で言うかもしれない」“平成のテロリスト”村上和成が背負う初代タイガーマスクとアントニオ猪木

【決戦直前!村上和成インタビュー到着!】

“平成のテロリスト”として名を馳せた村上和成が、昨年末にストロングスタイルプロレスに突然復活。圧倒的な強さを見せる村上を見て、現レジェンド王者であり佐山サトルの愛弟子である間下隼人が「俺はあんたと戦いたいんだよ!」と次期挑戦者に指名した。間下はかつての村上に憧れを抱いており、「僕のスタイルの模範になっている。すごくプロレスファンのときに好きだったんです。あの狂気が。スーパー・タイガーは2連敗しちゃってるし。ここはやっぱり同門として仇をとらないと」と思いを語っている。

 6月20日後楽園ホール大会で王座戦が決まったものの、間下の言葉が響く様子のない村上はこの試合にどのような思いを持って挑むのか?

 ベルト、団体、そして佐山サトルに対しての言葉を聞いた。

『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.29』
日程:6月20日(木)開始:18:30
会場:後楽園ホール

▼レジェンド選手権試合 60分1本勝負
【王者】間下隼人
vs
【挑戦者】村上和成(フリー)
※第17代王者が4度目の防衛戦

■佐山サトルを神輿として担げないぶら下がり健康機みたいな感じな奴ばかり

――まずは昨年ストロングスタイルプロレスに帰ってこられましたけれど、今のストロングスタイルプロレスに関してどういうふうな印象を持たれてますでしょうか?

村上「プロレスラーらしくなってる選手が2人しかいない(スーパー・タイガー&間下隼人)んですよね?あの2人見ても“プロレスラーらしくなった”というだけですかね」

――当時と比べるとその魅力は上がっていますか?

村上「ちょっとずつ自分の我が出てきてるのかな?前は本当にラジコンみたいな感じですよ。ロボットというか、言われたまま。自分の感情どこにあるんだ?っていう奴ばっかりで。自分の潜在能力や今までのバックボーンであったりとかを無視して『え?何やってきたの?何やってんの?』って。スーパー・タイガーにしても彼である必要はなく、誰でもいいんじゃないの?っていう感じだったし。はっきり言って間下とか全く知らないんで、こいつがあれなんだ?っていうぐらいです。言葉悪く言えば興味がない。本当に」

――やはり興味があるのは、佐山サトルが作った団体だからだと

村上「そうですね。やっぱりそこに対してはすごく僕の中では重きを置いておいていて。僕が本当にこの業界に入ってくる道しるべとなったのは佐山さんで、猪木さんっていうのは僕の最終的な背中を押してくれた人。道を引いてくれた人間っていうのは佐山さんでしかなくて。格闘技をやり始めて、サンドバッグとかミットを教えてもらったのが佐山さんですし、それはもう僕の中ではすごく縁を感じています」

――佐山先生とは様々な縁があったんですね

「僕が格闘技をやります、自分の道場を作りますと言ったときに、いの一番に佐山さんが僕に連絡をしてくださって。そのまま猪木事務所に呼ばれて『2年前から言ってた選手は彼ですよ』って猪木さんに僕のことを紹介してくれたんです。僕の中ではプロレスというカテゴリーは全く知識がゼロで、猪木さんに普通に挨拶しましたけどよくわかっておらず。でもその1週間か10日ぐらい経って、突然『ロスにおーちゃん(小川直也)がいるから一緒に練習してもらいたい』と。小川さんっていうのは柔道をやっていた僕の中でスーパースターですから、その方と一緒に練習ができるって、本当に柔道界にいたらあり得ない話ですよ。僕の中でもこれほどラッキーなことないなって思い、そのままロスに行きました。それを全てお膳立てして導いてくださったのは佐山さんなんです。そこに関してはすごく、感謝というか、僕の中で佐山さんの団体というところに関してはすごく重きを置いています」

――常に頭の中のどこかには佐山先生がいたわけですね

「どんな時でも『やっぱり佐山さん元気かな?』って思って調べて、そこから今の団体のことを知ることにもなる。でも正直今の団体は佐山さんのやりたいことに対して周りが的外れなことをしてんじゃないの?っていう気はすごくしているし、僕の中ではあくまで佐山サトルというのは神輿であって、それをしっかりと最後の最後まで担げない、担ぐ人間がいなさすぎる。ぶら下がり健康機みたいな感じな奴ばかり。僕もいろんな人をこの業界で見てきたし、やっぱりそういう人間が多すぎてどこかでそれを壊さなきゃいけない。思い切って動いた時、一瞬ちっちゃくなるかもしれないけれども、配慮するものはしなきゃいけないけどそれはそれで壊すものは壊さないと絶対新しいものは作れないと思う。そこは僕の中ではいろんな社会勉強した上で今回こうやって戻ってこれたのも、僕の中で何かの役目があるんじゃないかという気はしています」

 

■チケット代に代わるものとしたら、僕の感覚としては怒りなのかなと

――その中で今回佐山先生の団体のベルト挑戦が決まりましたけれど、以前もスーパー・タイガーへの王座戦などが決まっていました。2回王座戦が流れた上で今回改めてという部分で、当時のベルトへの想いと今の想いは違うと思うんですけれども

村上「僕の中でベルトということは、どの試合であろうがどんな相手だろうが脇でしかなくて。全てがその1戦で『僕のプロレス人生が終わるかもしれない』っていう思いでリングに上がるので、絶対に悔いを残したくない、もう絶対相手を潰すということしか考えてなくて。そこにたまたまベルトというプラスアルファ、お土産があるだけの話であって。でもベルトというものにはすごく権威があると思ってるんです。だから肩にかける奴とかね、ベルトって腰じゃないの?っていうイメージがすごくあって自分の中では。だからそこだけは今のストロングスタイルの礼儀を正したいな、もし巻くことがあれば」

――ベルトより選手としての在り方が大切だと

「僕の育った環境はプロレスを何とも思ってない状態から入ってきてるんで、そこで全てをイチから学んできた。そこで感じたこと思ったこと全てが、僕にとってはプロレス人生の集大成だなって。そこで僕も選手でありながらプロレスファンになっていくんですよね。プロレスラーですけどファンとしてもプロレスを見るし、そういうことを学んでいきながら今こうして戦い続ける思いっていうのはある。僕の中でただ単に、リングに行ったら何をするの?それは相手をぶちのめすしかない。猪木さんの言葉で“本能の戦い”っていうのは未だに忘れることはない。それを忘れ、捨てたときは僕はもうリングを降りる時だといつも思ってます」

――1試合1試合が覚悟の連続に

「僕の曲が鳴って、裏から出れるのかなっていつも不安ですよ。やっぱり自分の理想像や背負ってるものとか、自分で覚悟を決めたものに対して裏切りたくはない。1回嘘をついてしまうと今までの全てのことが終わりになってしまう。僕の中でいつもそれは持ってるものであり、それと戦ってる。やっぱりお客さんとも戦わなければいけないし、でも僕は本能のままこれからも戦っていくし、それしかないんで。それを佐山さんが『村上ちゃん良いよね』って言ってくれれば良いわけで。僕もやっぱり猪木さんにも何度も言ったことあるんですけど、『プロレスを全く教えるんじゃない』という指令のもとで、受け身を取ったこともなければ、ロープワークをしたこともなければ、ロックアップをする技術すら教えてもらっていない。プロレスの中に出てくる全てのプロレスの武器というものを、自分を守るための武器であり相手を倒すための武器でもあるものを全て教えてもらわずリングに上がって、本当に何年も何十年も経ってからこれはまずいなと。怪我がやっぱり多いわけですよね。『猪木会長、これをやるために本能のまま戦ってきましたけど、教えるななんて言われたことによって、僕はすごい大怪我をいっぱいしてるんですけど』って言ったら笑ってましたけど、僕の中では笑い事ではないですよ(笑)でも『お前というものを確立したからいいじゃねぇか』って。それはそうなんですけど、やっぱり自分の中でこれからっていう時とか、やっぱりどうしても怪我をする。それも大怪我をするんで、大一番になったときにみんなが僕を倒しに来るわけなんで持ってる技術力というか、プロレス技術の中で僕の知らないことがいっぱいある中で、僕はどう対処していけばいいのか。少ない引き出しの中で戦うためには本能だけでは、なかなかできないこともいっぱいあったんです。でも猪木会長は『それでお前はな~』なんて言って結局その答えも出ずのまま笑って『美味いもん食べようや』って…なんてことが二、三度ありました」

――流石猪木さんですね

「でも僕の中でやっぱりそれを良しとするというか、僕がうんってうなずいてやりますと、お願いしますって言ったこと全てがそこに結局は、結果的にそうなるものなのかなと思うし。全部全て責任は僕にあるんで、だから僕の中でこういうやつにはこうだなとか、結局僕が受けたものに関して答えを解いていく。それが集まったものが後々の答え。本当にここは大丈夫かな?って思った時期も多々ありましたけど、ある意味貫いてきたことで今の僕という人間が出来上がってるんで。ぶっちゃけ誰も真似できないと思うんで本当に。真似事する人はいると思いますけど、真似することは全然いいと思うし真似をされるようにならなければいけないといつも思ってるんで。やっぱり佐山さんの後ろに猪木会長いますしそこの精神は受け継いでるつもりです。本当に僕はありがたいことに少数精鋭の中でマンツーマンで話をしたりとか、こうだああだとか、セオリーを聞く機会をすごくいただいてこれた経験がある。皆さんは聞けないような話だったり想いだったり、逆に言えば佐山さんの弱い面だったり、愚痴じゃないですけどそういうこともボロボロと聞く機会があったので、こういうスーパースターでもそういう悩みがあるんだと。逆に言えばみんな持っていて、お客さんも持ってるわけです。プロレスで何か返すっていう時に『お前なに返すんだよ?』って言われると、お客さんに必ず何かチケット代に代わるものとして返せるのは僕の感覚としては怒りなのかなといつも思ってて。あの野郎この野郎と、それでもう僕はいい、僕の役目だと思ってる。それは僕の信念だと思ってる。だから僕の中では別に声援なんていらなくて、ジャンジャン罵声浴びて、相手に声援してやってよって。でもそれで声援されないってことは、お前に原因があるぞって相手にいつも思ってますけど」

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