「プロレスとは、生きる意味」20周年記念大会を前に”占い師女子プロレスラー”チェリーが胸中を語る!
女子プロレスラーのチェリーが7月8日(月)、東京・新宿FACEにて自身のレスラー生活20周年記念興行『あなたのおかげ』を開催する。
20年のレスラー人生を振返り、そして記念興行に向けての意気込み、またフリーになって良かった事など聞いた。
チェリー20周年記念興行『あなたのおかげ』
日時:7月8日(月) 開始:19:00 開場:18:15
会場:東京・新宿FACE
①20周年の振返り
――今回7月8日(月)チェリー20周年記念興行『あなたのおかげ』東京・新宿FACE大会が行われることになりました。まずは20周年、おめでとうございます。
ありがとうございます。
――もう20年ですか。
20年です。あっという間に。
――やっぱり振り返るとあっという間ですか?
もうめちゃくちゃあっという間です。信じられないです。
――今振り返ってみて、この20周年というのはチェリー選手にとってどうでしたか?
この20年。やっぱり子供の頃から本当にずっとプロレスファンだったので、小さい頃からの夢が女子プロレスラーしかなかったので。
――もうそれしかなかったんですね?
本当に夢は1つしかなくて、それが女子プロレスラーという夢しかなかったので。でも途中で挫折して1回諦めてからのデビューだったので。デビューした年齢が30歳ってその当時だとすごく遅かったんですよ。でもやっぱり年齢を言い訳にしないように、年齢を公表しないで20歳くらいの人たちと一緒に練習とかをして、という感じで年齢を忘れてやってきて。まずプロレスラーとしてデビューできて本当に幸運だったなというのが。
――夢が叶ったということですよね。
そうです、はい。
――ちなみに憧れていた、プロレスラーになりたいと思ったきっかけみたいなのは、どういった選手だったんですか?
小学生の頃に初めてテレビで見て、そのときデビル雅美さんが紫の木刀を持って大暴れしていて、これはすごいと思って。やられてる人もやられてるんですけど何度も立ち上がって向かっていって。これがすごく面白いって印象に残っていて。
――ご自身の中でドンピシャでハマったんですか?
はい。ジャガーさんがいて、デビルさんがいて、クラッシュ・ギャルズさんがいて、JBエンジェルスさんがいてっていう、その世代が大好きで。
――その黄金世代の最初のところからもうハマったって感じですか?
ハマってます。極悪同盟さんとかもいて、テレビで本当に欠かさず見て。会場とかも、小学生だったので1人では行けないので、親に頼み込んでたまに観に行くみたいな。
――ご両親はそういう娘さんを見て、「プロレス行こう」って言ったとき、どんな反応だったんですか?
たぶんなれないと思ってるみたいで、なれるものならなってみれば、みたいな感じでした。でも厳しい世界なのでたぶん無理だろうと思われていて、やれるもんならやればみたいな感じで。ずっとテレビ見て、ラジオも聞いて、雑誌も買って本当に夢中になっていたので。それで「柔道を習わせてくれ」って言って、そこから柔道も習って。女子プロに入るのに何かやらなきゃと思って、空手と思ったんですよ。やっぱり山崎先生がいて、クラッシュ・ギャルズ。でも近所に空手道場がなくて柔道しかなかったので、柔道を始めようかなみたいな感じで柔道も始めて。もう本当に女子プロレスラーになるためだけに生きてきた、みたいな感じで、小学生時代。
――それは周りのお友達からはどんな風な反応だったんですか?
みんなが例えばアイドルになりたい、歌手になりたい、お嫁さんになりたいとかお花屋さんになりたいとかいう夢を語る中で、私は絶対女子プロレスラーになるというのをいつも言って。『あ、そうなんだ』みたいな(笑)
――当時のクラッシュブームのときなんかだったら、会場に行けばほとんど女子中高生ですごかったですね。
だから私よりちょっと上のお姉さんたちが夢中になってた感じですね。中学生とか高校生のお姉さんたちがやっぱり会場とかにもいっぱいいて。小学生とかはまだそんなにいなかった感じかもしれないですね。
――あの熱狂の時代を見てきて女子プロブームのすごさというのを知っているからこそ、憧れのプロレスラーになれた達成感もひとしおだったんじゃないですか?
いやもう本当に夢のようというか、信じられないといいますか。入ってからが本当に大変というのは大前提なんですけど。プロレスラーって名乗れないと思っちゃうくらい、私が全女さんとかを見てきたので。デビューして「職業:プロレスラーです」って言っていいのかなって思うくらい、本当にすごいものだという認識が。
――実際にプロレスをやってみてのこの20周年というのはどんな気持ちでしょうか?
そうですね。最初に入った団体がDDTでして。DDTは私が入ったときってすごくいろいろな先輩方、ポイズン澤田JULIE選手が呪文を使ったり、男色ディーノ選手が狩りをしたり、マッスル坂井さんとか、本当にいろいろな選手がいて。なんか、すごい人たちと出会わせてもらったなというのが。
――超個性派集団ですよね。
はい。それが本当に刺激的で。こんな人たちが世の中にいるんだっていうのが。
――ご自身の中では、やっぱりすごくハマったんですか。
そうですね。やっぱりすごいなっていうのは。
――ハードな女子プロ時代を見ていた感じと、エンターテインメントのノリが強いDDTでは全然違いますよね。
違いますね。ただ私、全女ばかり見てきたので、恥ずかしながら海外のプロレスとかは全然見てなかったんですよ。WWEとかを見てなくて。でも私が入ったときってWWEのような映像が流れて、そしてその映像の続きで選手が出てきて、みたいな。それがすごく私は面白いなと思って。お客さんたちも『すごく面白かった、面白かった』っていう、そういうお客さんたちを見て、もう本当にこれはすごいぞっていう。
――ある意味、カルチャーショックを受けたような感じですか?
カルチャーショックは受けました。はい。
――そこから本当に激動の歩みがあって、まさかのフリーになりました。
貯金もないし、そうですね、別に恋人とか面倒を見てくれる人もスポンサーとかも何もいなくて。だからこそ何でもできるぞと思ってフリーに。
――その決断に覚悟を感じました。
でも逆に何も持ってないから、何でもできたんだとは思います。
――チェリー選手は求められた役割をしっかりこなすというところでは、女子プロって奥が深いなと改めて思いました。
プロレスは本当に奥が深いですね。正解とかもないですし、何が答えかとかも分からないですし。日々、本当に好きだからこそ葛藤するというか、本当にずっとプロレスに片思いしているというか。片思いだからこそ、もうどうしていいか分からない、みたいな。
――例えば試合に出たあとは反省する方が多いのか、それとも多幸感の方が多いのかというのはどんな感じですか?
そうですね。常に100%ってないといいますか、大満足と思えないといいますか。その時その時、できる限りのすべてを全力でやるんですけど。いつも試合が終わったあととかにはやっぱり「もっとああした方が」とか「このとき、こうすれば」とか、それはもう毎回あります。だからこそ現状維持ではダメなので、もっと何かやらなきゃっていう思いにも駆られます。やっぱり若手の選手とかには体力とか速さとかはたぶんもう敵わないと思うので、そこはしっかり自覚して、自分にしかできないことって何だろうと思って。変に比べるんじゃなくて、自分にできることをやろうとは常に思ってますね。
――振り返って、20周年続けてこられた理由って何なんでしょうか?
私、あまり人と自分を比べないんですよね。人と比べないですし、人と比べて劣等感みたいなものは持たないですし。あとチェリーっていっぱいあるじゃないですか。果物だったりお店だったりお名前だったり、世の中にチェリーって溢れてるんですよ。だから私、エゴサ(エゴサーチ)をしないんですよ。
――チェリーが多すぎるから(笑)
はい。エゴサしてもいっぱい出てきちゃってキリがないので、私、基本的にエゴサをしないんですね。だから20年続けられてきた気がします。
――なるほど(笑)メンタルの強さとか弱さという部分では、ご自身的な自己評価はどうですか?
メンタルですか。エゴサをしないので、あまりそういう悪いものとかを見ないで済むというのもありますし。でもやっぱり私がもともと男子団体にいたので、あることないことというか、やってもいないことを言われたりすることとかあったんですよ。
――誰かと付き合ってるとか?
誰かに手を出そうとした、みたいなこととか。本当に事実無根なこととか、やってもいないことで批判とか誹謗中傷とか。
――それ、ムカつきますよね。
はい。やったことだったら言われても仕方ないんですけど、本当にやってもいないことでそういうのを言われて誹謗中傷されて脅迫とかされたことがあって。
――そんなに?
はい。それで警察沙汰になったこともあるくらいなんですよ。やってもないことを妄想で。
――恐ろしいですね。
妄想で脅迫されて誹謗中傷されちゃうので、そういうので警察沙汰になったこともあるくらい。
――やっぱり人気商売って大変ですね、そう考えると。
私がというよりもDDTで人気のある選手がたくさんいたので。それでやっぱり同じ団体で一緒に練習してとか、一緒に行動を共にしていると、どうせああなんだろう、こうなんだろうみたいな。そういうので、やってもいないことで誹謗中傷を受けたりがあるので。でもエゴサしたらたぶんもっといっぱい出てきちゃうのかなと思うんですけど。
――それ、正解ですね。
あとエゴサしなくても、たまに見えてしまうものとかもあったりして。例えば私、年齢がこないだ50になったんですけど。でもやっぱり私はピンクとか着ようと思いますし、ビキニも来たりとか、服装とかも好きに生きようと思ってるんですけど。もしそれで何か批判されたら、私、もっとやってやろうと思うんですよ。
――いいですね。
もしそのアンチの人にピンクを着たりとか、そういうのを批判されたら、アンチの人に『やめろ』って言われるということは、これはもっとやっていいことなんだと思って。
――燃えてくるんですね。
『やめろ』って言ってることはもっとやっていいことなんだと。信頼してる人とかに『やめろ』って言われたら、そうなんだって思うんですけど、例えばそうじゃない人に批判されたことって、これはもっとやるべきことなんだと思って、もっとやろうと思いますね。
――すごいファイティング・スピリッツですね。やっぱり幼少期に見ていた全女魂ですね。
やられたら3倍にしてやり返せ、という全女さんの名台詞がありまして。
――そういう負けん気、そして20周年を迎えてもいまだなお健在であると。私はそれを今、確信しました(笑)