“レジェンド”ドリー・ファンク・ジュニアを電流爆破マッチのリングに引き込む 大仁田厚の無謀な野望にストップがかかった
大仁田厚の「ドリーとの電流爆破マッチ」という野望にストップがかかった。
大仁田は自身の「デビュー50周年記念大会」(8月24日、神奈川・富士通スタジアム川崎)で、PWF会長ドリー・ファンク・ジュニアの来日、そして電流爆破マッチの実現をぶち上げた。日本来訪も心配される御年83歳のドリーを、邪道のリングに引きずり込むと意気込んでいる。
いささか無茶な要求だが「たとえドリー本人がOKしても、何としても止めたい」と声をあげたのが、大隅良雄PWF会長代理人だ。
※ドリーと大隅氏(写真提供:大隅良雄氏)
大隅氏はドリーの日本での代理人であり、ドリーに代わって、全日本プロレスでベルトの管理などを担っている。タイトルマッチでベルトの受け渡し、チャンピオン・カーニバルや最強タッグ決定リーグ戦などの開会宣言を代読している。全日本ファンにはおなじみの人物だ。
※ドリー夫妻と大隅氏(写真提供:大隅良雄氏)
実は45年来のプロレスファン。日本人戦士は元よりザ・ファンクスやスタン・ハンセンら外国人選手とも深い関係を築き上げている。中でもドリーからは「3日に1回は近況報告が届く」という間柄だ。
ドリーの地元フロリダ州オカラにも何度も足を運んでいる。ドリー道場に入門し、ドリーが若手選手の育成を進めているBANGTVプロレスのGMにも就任しているというから本物。闘うGMとしてバトルロイヤルやトーナメント戦に参戦している。
大会開催の収益の一部はハンディを持つ人たちや保護犬たちのために寄付されている。「ドリーさんは社会貢献にも取り組んでいる」とにっこり。ドリーとは友人であり師弟関係でもある。
だからこそ「ドリーさんはお元気ですが、さすがに電流爆破は無理。この身を挺しても止めます」と力をこめる。そして「大仁田さんの気持ちはわかります。でも電流爆破は…」と表情を曇らせた。
ドリーはコロナ禍前の2019年11月以降、日本から遠のいている。「日本が大好きなドリーさん夫妻は、来日を希望している。私たちも招へいに動いた。幾度かチャンスはあったけど、タイミングが合わなかったんです」とこの5年を振り返る。
今年4月にはファンクスの故郷、米テキサス州アマリロを訪れ、昨年8月23日(日本時間24日)に亡くなったテリーのお墓参りを果たした。近くのディック・マードックが眠る墓地も訪ねている。「日本のファンを熱くさせてくれた名レスラーたちにお礼をしたくて」と頬が緩んだ。
だからこそ、ドリーのことを大切にしたい。8・24決戦参加には大賛成だが、電流爆破マッチはくい止める。「年齢的にも最後の来日になるかも知れない。覚悟は決めている。でも、電流爆破は阻止したい。お元気で年末の最強タッグ戦にも来てほしいから」という大隅氏の切実な思いは届くのだろうか。(文中敬称略)
<写真提供:柴田惣一>
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