IWGP世界ヘビー級王座を奪還した内藤哲也がどうしてもG1を連覇したい理由とは

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

IWGP世界ヘビー級王座を4か月ぶりに奪還した内藤哲也。自ら海外流出させた宿敵ジョン・モクスリーから見事に奪い返した。

AEWのモクスリーがベルトを巻いていた時は、新日本マットにチャンピオンの姿はなく、王者の権利とはいえ防衛戦の強行、挑戦者の資質など様々な問題が浮上。辻陽太ら若き戦士が指摘した課題をクリアしたのだからたいしたもの。やはり新日本プロレスのエースは内藤。日本だけでなく世界中のファンに知らしめた。

モクスリーの所属する米AEWはオカダ・カズチカの移籍先だが、新日本とはどうやらウィンウィンの関係にある。米国での合同興行に加え、来春1・5東京ドーム大会はAEW始めROH、メキシコのCMLLなど世界中のレスラーが結集するスーパーイベントと決まった。1・4東京ドーム大会との連戦に、例年以上に海外ファンが詰めかけるのは間違いない。

「世界の新日本」。日本マット界の盟主である新日本がさらなる高みを目指すのは自然な流れである。今や、世界中のレスラーが新日本のリングに憧れ、レスラー志願の若者が新日本入門を目指している。

世界最大の団体WWEに追いつけ、追い越せとばかり、次々と新基軸を打ち出している新日本だが、外国人選手の台頭に一部の長年のファンからは不安の声が上がっているのも事実である。

G1 CLIMAX34への参加をかけた出場者決定トーナメントはAブロックがカラム・ニューマン、Bブロックはボルチン・オレッグが勝ち上がった。各ブロック10名の星取り表はカタカナが目立っている。

参戦メンバーの若返りも急加速。ベテラン選手は外され、社長レスラー・棚橋弘至も出場者決定トーナメントでオレッグに敗れ、23年連続出場はならなかった。

昨年の準優勝者オカダの名前もないが、AEWからKOUNOSUKE TAKESHITAがエントリーされた。加えてジェイク・リーと大型選手の初参戦もあり、真夏の祭典に相応しい顔ぶれがそろった。注目度は例年通りだが、新日本の歴史を彩って来た名前が年々、少なくなっていく寂しさを感じる人も少なくないだろう。

若い力の台頭を望む期待感と、ベテラン選手に頑張ってもらいたいという気持ち。相反する2つの複雑な想いがある。いずれにせよ内藤の功績は大きい。オカダもいない。棚橋も出場しない。だからこそ、内藤への期待は高まるばかり。ファンの支持率ではここ数年、トップを張って来た。オカダが去り、トップ争いを繰り広げてきた棚橋が予選落ちした今年は、内藤の大暴れしかない。

内藤のAブロックには新時代の旗手・海野翔太、ジェイクがいる。決勝戦に勝ち上がれば、Bブロックの辻陽太、上村優也、成田蓮の新世代戦士、TAKESHITAらとの対戦となる。

長年の夢だった地元凱旋、東京・足立区の東京武道館大会も7月5日に実現した。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの同門対決に会場は沸いた。プロレスラーを目指した若き日の内藤が新日本の大会を観戦し、トレーニングルームで汗を流した会場に凱旋したことで、気持ちもますます高ぶったはず。

元よりリング上では、キャリアを重ね独特の試合運びや絶妙な間合いでファンを魅了し、リングを降りれば、いたずらな少年っぽい笑顔の内藤は魅力たっぷり。

IWGP王者としてG1の連覇。不動のエースとして文字通り新日本の先頭に立つ。内藤哲也はその双肩にのしかかる重責をきっと果たしてくれるだろう。真夏のG1マットは今年も熱くなる。

<写真提供:新日本プロレス>

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