「組むたびに青春だねって言い合ってた」 スターダムなつぽいが、親友Sareeeを語る
スターダムとマリーゴールドを行き来する唯一無二の存在が、Sareeeである。マリーゴールド7・13両国でジュリアとの一騎打ちをついに実現させ、初代マリーゴールド・ワールド王座を奪取。すなわち、7・29新宿FACEでの自主興行第4弾「Sareee-ISM chapter4」では、マリーゴールドの頂点ベルトを巻いたうえで再びスターダムの選手と絡むこととなるのだ。
Sareeeは6月25日におこなわれた会見で、メインカードを「Sareee&なつぽい組vs彩羽匠&AZM組」と発表。スターダムから参戦するなつぽいとAZMはライバル同士でもあり、Sareeeにとってなつぽいは大の親友、AZMとは注目の初対決にもなる。
このドリームカードは、Sareeeがなつぽいに直接オファーしたことから実現をみる。両者は2016年に初シングルが決まったことをきっかけに親交を深め、プライベートもともにする親友となった。が、リング上での接点は意外に少なく、両者が同じリングに立った機会は対戦やチーム結成を含め、トータルで8度しかない。それだけに、現在のSareeeの立ち位置も含め、ドリームマッチにふさわしい好カードと言えるだろう。
では、Sareeeとなつぽいはどのようにして出逢い、友情を育んでいったのか。なつぽいに初対面当時を振り返ってもらった。
「私がデビューした翌年、アクトレスガールズの方から私とSareeeのシングルをオファーしたんですよ。そのとき、伊藤薫さんから『受け身の取れないような選手とウチのSareeeはあてられない。本当に試合がしたいのならウチの練習に来なさい』と言われたんですね。それを機にディアナの伊藤さんの練習に参加するようになり、そこにSareeeもいました。もっと言えば、伊藤さんのお店でお手伝いしているのを見たことがあったんですけど、関わるようになったのは練習に通うようになってからですね。伊藤さんの教えを受けつつ、Sareeeの背中を見ている感じ。同い年ですけど、そのときは『Sareeeさん』と呼んでいたし、敬語で話していました」
そして、アクトレス16年9・19新木場で初対戦となるシングルが実現。試合は万喜なつみ(当時)の完敗も、ここから友人として一緒に出掛けるようになり、プライベートの時間を2人で過ごすことが多くなっていったという。
2人でタッグを組み始めたのも、ちょうどその頃。11・12で中森華子&安納サオリ組、17年2・12で真琴&安納組、2・25で高瀬みゆき&関口翔組と対戦した(すべてアクトレス新木場大会)。
その後、万喜が東京女子に主戦場を移したことで、リング上では疎遠になってしまう。が、負傷欠場していた万喜が復帰戦の相手にあえてSareeeを指名。20年1・4後楽園で、2度目のシングルがおこなわれた。
「ケガをした日に病院で励ましてくれたのがSareeeでした。手術のときもいてくれたし、目が覚めたら伊藤さんが見守ってくれてたみたいで。それで復帰戦はSareeeとやりたいなと思い、会社も快くOKしてくれたのでお願いしたんですよね」
ここでも彼女は敗れたが、Sareee&万喜組がディアナ2・2川崎で伊藤&渡辺智子組、仙女2・16新木場で里村明衣子&DASH・チサコ組を相手に復活した。
「2人で組むたびにお互いが『青春だね!』と言い合っているんですよ(笑)。親友2人がリングの上でキャッキャ駆け回ってるような感覚。それでいてSareeeには闘いがあるから、私が背中を追いかけているような感じもあるんです」
Sareeeとのタッグを楽しみながら、万喜は自身の成長につなげていった。しかしながら、万喜がなつぽいに改名しスターダムに参戦すると、SareeeもWWEと契約し、2人の道は完全に分かれた。それでも、なつぽいには疎遠という感覚はなかったという。どこにいても常に連絡を取り合っていたからだ。
「アメリカとは昼夜逆にもかかわらず、電話で話したりしてましたね。それくらいいつも一緒にいる感覚なので、私がスターダムで負傷欠場から復帰するときも、久しぶりという感じはあまりなかったです。でも、すごく緊張はしましたけど」
24年3・9横浜武道館で、なつぽいが5ヵ月ぶりに復帰。対戦相手にSareeeを指名し、なつぽい&安納組vsSareee&橋本千紘組が実現した。負傷明けのなつぽいには厳しすぎるカードだが、彼女自身の決意を示すマッチメークでもあったのだ。
「Sareeeに『いまの(スターダムの)なつぽい、すごいよね』と言わせたかったのもあります。いつも入場を褒められるんですけど、キラキラだけだと思われたくない。ガッカリさせたくない気持ちが大きくて、そのぶんすごく緊張しました。そのとき、Sareeeの入場を裏のモニターで見ていたら、久々のリング、しかもスターダムのリングということもあって涙が出そうになりました。出なかったですけど(笑)。Sareeeも私の入場で泣きそうになったって。でも、泣いてない(笑)」
なつぽいの指名により、数年前に消えていたSareeeのスターダム参戦がようやく動き出した。しかも岩谷麻優のIWGP女子王座に挑むことで、約束のシングルも実現させた。なつぽいが、閉じたままの扉を開いてくれたのだ。