え双子なの? 全日本プロレスで個性を発揮する斉藤兄弟ジュンとレイの勢いが止まらない

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】


(写真:柴田惣一)

全日本プロレスを席巻する兄ジュン、弟レイの斉藤兄弟が驀進している。

双子ながらジュンはシュッとした体形で、レイはパワーみなぎる巨漢。デビューしてしばらくは、どちらがどちらなの、かわからなかったが、ふと気づくとひと目で見分けられるようになっていた。

他にも長髪を後ろで束ねるジュンに、ナチュラルな爆発ヘアスタイルのレイ。ヒゲもレイは伸ばし放題。双子スタイルを脱し、それぞれの個性を大切にするようになった。


(写真:柴田惣一)

ジュンは「ベルサイユのばら」に登場するマリー・アントワネットの恋人・フェルゼン伯爵のようだ、とウットリする女性ファン。レイは往年の名レスラー、カクタス・ジャックに似ている、と懐かしむ男性ファン。そして2人とも大好きというタッグチームとしてのファン…と幅広い層から支持を得ている。

見ばえだけではない。ジュンはスイーツが大好き。甘いモノをバクバク食べる甘党。レイはお酒が大好きな辛党。二人が自分らしさを発揮するようになると、ファイトも急成長を遂げた。

昨年10月には、世界タッグ王座を獲得。いったんは手放したものの、現在も第99代王座に君臨している。


(写真提供:伊藤ミチタカ氏)

大相撲から転身した二人。2020年暮れの入門テストに合格、01年10月にデビューと、実はまだキャリア4年目なのだ。とはいえ、ジュンは193センチ、115キロ、レイは192センチ、145キロの体躯もあって、存在感はのっけから凄まじかった。

22年の海外遠征が大きな転機になったことも間違いない。「目標としていたアメリカンなラフスタイルを学ぶことができた。ただし、まだまだ不十分。もっともっと豪快に暴れたい」と口を揃える。

まるで昭和のレスラーのイメージ「好き放題に食べて大いに飲む」と思いきや「毎日は食べたり飲んだりしない。適量にしている」という。令和流コンディション調整をしているからこその大暴れなのだ。


(写真提供:伊藤ミチタカ氏)

地元は宮城県角田市。8・3仙台大会ではジュンがデイビーボーイ・スミス・ジュニアとのスペシャルシングルマッチ、レイが三冠王者・安齊勇馬に挑戦するダブルメインイベントに登場。ジュンは勝利したが、レイは惜しくも敗退した。二人にとって手が届きそうな三冠ベルトだが奪取とはいかなかった。

それでも地元ファンは大熱狂。声援は凄まじかった。仙台の地上波TV局でレギュラー番組に出演しており、知名度は抜群。そのいかつい風貌からは想像もつかないお茶目なキャラクターで、人気を集めている。

全国区の人気者となりつつあるが、何と写真集も発売。「斉藤ブラザーズ写真集 DOOM!」で、コスチューム姿はもちろんスーツ姿、プライベートな姿…二人の新たな魅力が満載だ。

これにはイケメン三冠王者・安齊が激怒。「三冠王座と写真集が目標」とデビュー当時から口にしていた。三冠ベルトは手にしたのに、写真集は斉藤兄弟に先を越されてしまった。

「安齊は激怒している。でも、彼は本当にイケメンだから」と、どっしり構える二人である。

沈着冷静な兄にやんちゃな弟、とくれば兄弟タッグを代表するドリーとテリーのファンクスを思い起こさせる。

まだまだ人気は上がりそうだ。ジュンとレイの斉藤兄弟が悲願とする兄弟での三冠戦は、それこそ時間の問題だろう。

リング上だけでなく、リング外も大活躍の斉藤兄弟から目が離せない。(文中敬称略)

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