スターダムからAEWの超大物へ!岩谷麻優のIWGP女子王座に挑む“タイムレス”トニー・ストームとは!?
(写真提供:スターダム)
そして同年9月、4WAY戦を制して空位のAEW女子世界王座を奪取した。23年1月には元WWEのペイジことサラヤと結託し、ジ・アウトキャスツを結成。しかし、9月にアウトキャスツを裏切り、10月には“タイムレス”を名乗るようになった。“タイムレス”には、「時空を超越した」「時代の流れに左右されない」「永遠の」「不朽の」などの意味がある。試合前後やアピールの場面では、テレビ画面がモノクロに変換される。サイレント映画時代のハリウッド女優をモチーフにしたキャラクターで、いいものは時代を問わず支持されるという意味になるのだろう。実際、トニーはよりいっそうの大物感を漂わせるようになったのである。
“タイムレス”に変身して約1カ月後、トニーはAEW女子世界王座3度目の戴冠を達成した。これは志田光から奪回したもので、3度戴冠はトニーと志田が最多タイ。6月30日には新日本との合同興行「フォービドンドアー」でスターダムの白川未奈と対戦し、防衛に成功。スターダム参戦時に白川と組んでいたマライア・メイとの三角関係ドラマがアメリカで繰り広げられたのである。
(写真提供:スターダム)
そのマライアに裏切られ、トニーはマライアの挑戦を受けて立った。舞台は8・25イギリス・ロンドンのウェンブリースタジアム。イギリスを代表するサッカースタジアムにおいて、イギリスでプロレスを学んだトニーとイギリス出身のマライアがぶつかるというエモーショナルな闘いは、トニーが7度目の防衛に失敗し王座陥落、ベルトがマライアに移動という、まさかの結末となった。これを機に、無冠となったトニーの矛先が日本に向けられたと言っていいのかもしれない。
今年4月、スターダムのアメリカ大会で姿を見せていたトニー。ここで白川と対戦のきっかけが生まれ、AEWでの流れにもつながった。そして、9・14大阪でスクリーンを通じ岩谷に挑戦表明。10・5名古屋でのタイトルマッチが決定したのである。
(写真:新井宏)
振り返ってみれば、会場こそ違うが名古屋は両者にとって因縁深い土地でもある。17年9月24日、名古屋国際会議場でおこなわれた赤いベルト戦で、岩谷が開始からわずか2分20秒、レフェリーストップ負けで王座を明け渡した。岩谷がトニーをロープに追い込み低空ドロップキックを放つも、相手にかわされ不自然な形でリング下に転落、左ヒジを脱臼し、救急車で病院に運ばれたのである。
しかも岩谷は、前日の大阪で美闘に敗れワンダー・オブ・スターダム王座を失っていた。このとき、岩谷はスターダム史上初めての赤白2冠王者だったのだ。が、2日連続でベルトを失い、一気に無冠へと転落してしまったのである。
確かに、「アクシデント」と言われたのも事実である。が、トニーは実力での勝利を証明しようと3度目の防衛戦で岩谷との再戦をおこなった。そして18年4・1名古屋国際会議場で、見事返り討ちにしてみせたのである。