「13歳から夢見た瞬間が叶った」新日本プロレスの頂点に立った“ザ・フロントマン”ザック・セイバーJr.

ザック・セイバーJr.が内藤哲也を破り、ついに新日本プロレスの至宝、IWGP世界ヘビー級王座を手にした。この勝利はザックのプロレス人生においても一大転機となり、デビューから20年に渡るキャリアの集大成を見せた瞬間である。

英国・ケント州シェピー島で生まれたザックは、186cm・96kgという軽量級に近い体格ながら、変幻自在の関節技と高い技術力でその存在感を見せつけてきた。

新日本プロレス参戦後、数多くのタイトルを保持してきたが、ここにきて団体内で最も権威ある王座を獲得するという偉業を成し遂げたのだ。

試合後のザックは対戦相手となった内藤に対し「20年デスネ……。ありきたりな言葉かもしれないけど、すべての物事は良きタイミングで起こるんだ。そう思わないか?最初は……ナイトー選手。絶対、リスペクト。絶対、リスペクト。ナイトーの今の身体のコンディションは、アイツが新日本プロレスに身体、魂、心のすべてを捧げてきた結果だ。俺はそれを尊敬することしかできない」と言葉を送った。

ザックのキャリアは2004年に母国イギリスで幕を開け、ヨーロッパのマットを中心に戦いながら名声を高めていった。2011年から2012年にかけてはプロレスリング・ノアへの参戦でさらに注目を集めた。

そこでの技術対決や関節技の巧みなテクニックは多くのファンを魅了し、ジュニアヘビー級として異色の存在感を発揮した。さらにはノアのジュニアヘビー級タッグリーグ戦に参加するなど、日本でもその名を広めると共に、後に「英国の若き匠」と称されるほどのグラウンド技術でファン層を拡大した。

2016年にはWWEクルーザー級クラシックに参加し、アメリカでもその技術を披露。これを機にザックの名はさらに広がり、2017年3月、新日本プロレスに本格参戦。

記念すべき初戦では柴田勝頼を破り、RPWブリティッシュヘビー級王座を奪取すると同時に鈴木軍への加入を表明。この頃から、単なるジュニアヘビー級選手ではなく、ヘビー級戦線へと転身を遂げ、名実ともにトップ戦線へと駆け上がった。

タイチとのタッグ「デンジャラス・テッカーズ」でもIWGPタッグ王座を3度戴冠し、連携技術を磨き上げながらもシングルプレイヤーとしての地位も固めていった。

さらにシングル戦線でも2022年の『NEW JAPAN CUP』優勝を果たし、『WRESTLE KINGDOM 17』では初代NJPW WORLD認定TV王者決定トーナメントを制覇。

ここでTMDKからの勧誘を受け、電撃的に鈴木軍から移籍。移籍後もザックの試合には多くのファンが注目し、G1 CLIMAX 34では外国人選手として2人目、そして英国人として史上初の優勝を遂げるなど、その勢いはとどまることを知らなかった。

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