ヒザを人工関節にして復帰の堀田祐美子、神取忍との対抗戦&格闘技戦が蘇る!
今年60歳を迎えたLLPW-Xの“ミスター女子プロレス”神取忍が、11月18日(月)TOKYO DOME CITY HALLにて『神取忍還暦祭り~人生もう一度~』を開催。神取はメインに登場し、水波綾、梅咲遥とのトリオで堀田祐美子&中森華子&なつぽい組と対戦する。ベテランから中堅、若手に至る3世代が同時に闘う豪華6人タッグマッチにあって、やはり注目となるのが、神取と堀田の激突だろう。
還暦の神取がプロレスキャリア38年なら、57歳の堀田はキャリア39年。両者ともブランクこそあれ、一度も引退をしていない。文字通り、日本女子プロレス界の歴史の証人である。
両者が同じリングに立つのは、PURE―Jの2019年4・21後楽園におけるバトルロイヤル以来、5年半ぶり。LLPW-Xでは2018年10月2日に井上貴子30周年大会での8人タッグマッチでチームを結成、対戦となると同年3月21日、川口での貴子&堀田組vs神取&藤ヶ崎矢子組以来となる。
2人は女子プロ対抗戦時代から団体の看板を背負い、しのぎを削ってきたライバル。そこから芽生えた友情は格闘技界にも影響を与えている。が、この5年あまりは接点がなかった。堀田によれば、自身のヒザの不調もあって自然消滅的に会う機会もなくなっていたという。が、手術を経て復帰、数試合をこなしたところで神取から参戦オファーが届いた。やはり、神取のプロレス史において堀田は欠かせない存在。神取がそう思っていてくれたことが、堀田にはうれしかったという。
「写真提供:T-HEARTS」
では、堀田はどのようにして引退の危機を乗り越え、手術からのカムバックを果たしたのだろうか。
「一時はリングに上がる以前の問題で、日常にも支障がありました。ヒザの影響で腰も曲がるし、姿勢も悪い。もう15年くらい前からヒザが悪いのはわかっていて、プロレスはできないとも言われていたんですよね。それでも何とかやってきたなかで、苑田人工関節センター病院というところを紹介してもらったんです。そこは武藤敬司さんも手術を受けたところで、両ヒザを一度に手術してもプロレスに復帰できると言われたんですよ。それまでは人工関節を入れたら普通のスポーツはできてもプロレスのような激しいものは無理と言われていたんですよね。それが両方できるというし、35年もつからとも言われました。武藤さんが診てもらった安心感もあって、人工関節にすることに決めたんです」
9カ月のブランクを経て今年3月にリング復帰。以来、5試合を闘っている。
「階段を上がるときに右だけ少し痛いときがあったけど、いまは違和感もないし全然大丈夫ですよ。手術から半年後には1万歩、歩いたしね。以前だったら絶対に無理(笑)。いまはもう平気で歩けるし、手術すればまたやりたいこととか目標も出てくるし、手術のときには痛みに個人差こそあるみたいだけど、私はやってよかったと100%思えますね」
「写真提供:T-HEARTS」
現役続行を確信できたところで舞い込んだ神取戦のオファー。堀田が長与千種にあこがれ全日本女子プロレスに入門すれば、神取は柔道での輝かしい実績を引っ提げ鳴り物入りでジャパン女子旗揚げに参画。のちにライバルとなるこの2人は、どのようにして出逢ったのか。
神取はジャパン女子旗揚げ2年目の87年10月にフリー宣言。全女の大田区体育館に突如姿を現し、かねてからアピールしていた長与との対戦を迫った。そのとき、長与の付き人をつとめていた堀田は初めて神取を見た。が、驚く暇もなく、堀田には長与を守る必要があったのだ。
しかし、長与vs神取は実現をみなかった。契約上、神取は全女のリングに上がることが許されなかったのだ。それでも感情を抑えきれずギリギリの線まで出ていったのが神取。やがて女子プロ界は団体対抗戦の時代を迎え、神取と堀田がリング上で遭遇する。
とはいえ、最初からいきなり神取と堀田がやり合ったわけではない。対抗戦時代を象徴する北斗晶と神取の闘いから、堀田の出番がやってきた。
「同期の北斗を助けようとしたか何かで私が出ていったときに、神取が『オマエなんだよ!?』って感じで乱闘になったんですよ。だったら私がやってやるとなって、そこから一騎打ちが決まったんだよね」