スターダム鈴季すずがはじめて地元・宮崎へ。否定的な声を打ち消した、念願の故郷凱旋試合!
スターダムの鈴季すずが11月4日、故郷・宮崎で初の凱旋興行をおこなった。現在22歳の鈴季は、2018年の大みそかにアイスリボンでデビュー。まもなくキャリア6年となるが、これまで地元・宮崎県で試合をしたことがなく、念願かなっての凱旋興行となったわけだ。
プロレスとの出会いは、まさに偶然の産物だった。中学2年生の夏休みのある日、テレビで小橋建太主宰の『フォーチュン・ドリーム』の中継を見かけた。ここで宮本裕向の試合に惹かれ、調べていくと宮本がデスマッチファイターだと知る。
さらにプロレスについて調べていくうちに宮崎県に大日本プロレスがやってくるとの情報を得ると、ライブ観戦に出かけた。以来、県外にも足を運び、遠いところでは広島まで出かけるほどのファンになった。しだいに自分もプロレスをやりたいと思うようになり、中学卒業とともに上京したのである。
「あのときはプロレスがしたくて、後先考えずに勢いで飛び出しました。将来やりたいことがプロレス。進学したいとかはなく、とりあえず(東京に)行ってみようと。いままでずっと宮崎にいたのが、中学卒業から1週間後には東京にいましたからね(笑)。両親ですか? いまでこそ理解がありますけど、当時は心配だったと思いますよ。でも、自分から何かをやりたいと本気で言ったのは初めてで、止めても言うこと聞かないのわかってたんだと思います」
アイスリボン入門は、所属選手の世羅りさがデスマッチ志向だったことに起因している。が、世羅でさえ団体内でのデスマッチには賛否両論あっただけに、自分もやりたいとはすぐには切り出せなかった。それでもデビュー前に、しかもリング上からデスマッチへの思いを告白。これを機に接点が生まれ、世羅たちが離脱する際には鈴季も追随、デスマッチ&ハードコアをテーマとするユニット、プロミネンスが結成されたのである。
プロミネンスへの合流は、練習生時代に寮生活をともにしながらも突然消えたジュリアとの再会につながった。プロミネンス全体でスターダムに乗り込み、22年3・26両国国技館に初参戦。シングルリーグ戦「5★STAR GP」にエントリーし、同年10・1調布で待望のジュリアとのシングルマッチを実現させると、翌23年2・4大阪ではジュリアの保持していたワールド・オブ・スターダム王座に挑戦した。3・4代々木では6人タッグリーグ戦「トライアングルダービー」で世羅&柊くるみとのトリオで優勝を飾ると同時に、アーティスト・オブ・スターダム王座を奪取。スターダムでの初戴冠を成し遂げてみせたのである。
<写真提供:スターダム>
スターダムへの参戦に加え、ホームのプロミネンスでは「デスマッチ十番勝負」を並行しておこなっていた。男子デスマッチファイターとも当たり前のように闘い、血を流してきた鈴季だが、最終戦を終えるとプロミネンスからの電撃脱退を表明。「プロレス界の顔になるため」に、スターダムを主戦場に選んだのである。
そして鈴季は、シングルリーグ戦「5★STAR GP2023」に優勝し、スターダムの頂点に立った。決勝戦で向き合った舞華への待望論を跳ね除ける堂々の勝利だった。が、最高峰のベルトには昨年12・29両国、今年10・5名古屋で挑むも、まだ到達には至っていない。
とはいえ、22歳の若さ、5年のキャリアにしてこの実績はかなりのもの。本人からすればまだ満足のいくものではないと思われるが、トップグループの一角として大活躍を見せていると言っていい。そんな鈴季がスターダムに所属してからずっと望んでいたことがある。それが、故郷・宮崎での凱旋試合。プロレスラーとして成長した姿を見せたい、という気持ちをずっと抱いていたのである。