スターダム玖麗さやか「自分の思いを表現する」美術とプロレスの共通点
「写真提供:スターダム」
そして、昨年のクリスマスにデビュー。あこがれのリングに立ったのだが、思い描いていたイメージとは若干違ったようだ。
「自分が想像していた姿って、もっと勇ましい、カッコいいレスラーだったんですよ。いまはないけど、DDMみたいな。かわいいタイプのレスラーとして見ている方が多いと思うんですけど、最初の頃、絶対にコズエンには入らないなって思ってたんですよね。というか、コズエンは私ではないよなって。コズエンはおもに芸能界からきた選手で(構成されており)、生え抜きもいない。だから私とは無縁だろうなって」
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しかし、コズエンの試合を見ていくうちにどんどん心が惹かれていった。自分がやりたいプロレスがそこにあるのではと考えた。そしてデビュー16戦目の2月12日、地元凱旋となる豊橋大会で、行動に出た。試合には敗れるも、「初めての地元でなにかを見せたい、なにかを伝えたい」との思いが背中を押してくれた。対戦相手の中野にコズエン入りを直訴したのである。
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そして玖麗は、メンバーの水森由菜による審査を経て、さくらあやとともにコズエン入り。初勝利を得るまで時間はかかったものの、着実に成長。開催中のゴッデス・オブ・スターダムタッグリーグ戦ではリーダー中野のパートナーに抜てきされた。新日本プロレスとの合同興行(11・17大阪、さくら&HANAKOvs玖麗&八神蘭奈)で通算100試合目。11・20弘前(刀羅ナツコ&上谷&琉悪夏vs中野&水森&玖麗)がスターダムでの100試合目だった。
「100試合やった実感はまったくないです。目の前のことに精いっぱいで、毎日を生き延びるのに一生懸命すぎて(苦笑)。それでも写真や映像を見ると、自分はプロレスラーになったんだなと思えますね」
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他団体出場は、“極悪女王”ダンプ松本の洗礼を浴びた6・23新木場での「極悪祭」のみ。他団体選手との対戦も限られている。その一方で、同期の中には他団体のリーグ戦やトーナメントに出場したり、海外修行に出た選手もいる。が、玖麗はホームリングに集中。選手にはそれぞれの個性があり、役割もある。その選手に合った育て方があるのだ。玖麗の場合、純粋培養の方針が取られているのだろう。
「さくら、HANAKO、八神、梨杏。そして(浜辺)纏ちゃんもデビューして。自分はすごく同期に恵まれてると思います。同期がいることによって、絶対に負けたくない気持ちが出てくるし、同期よりも先に行きたいとの思いが自分を持ち上げてくれるような気がするんです」