スターダム天咲光由「超新星」と呼ばれた葛藤からの飛躍、いまだから話せる本音
「写真提供スターダム」
スターダムの第11代フューチャー・オブ・スターダム王者・天咲光由は、2022年3月11日、若手のためのブランド「NEW BLOOD」(以下NB)のスタートともにデビューした。3月を迎えれば、あれから3年。タイトルの規定により、フューチャー王座からは卒業という時期にもなる。
いまでこそ、若手の多いスターダム。その上、何人もの練習生がデビューのときを待っている。しかし、天咲は同期のいないなか、たったひとりの練習生時代を経てプロのリングにたどり着いた。NBは若手を主役とした大会とはいえ、当初はまだまだ本戦でバリバリ活躍する主力選手の参戦も多かった。そんな中で天咲につけられたキャッチフレーズは、「超新星」。以来、天咲は「超新星」の持つイメージとも闘うことも強いられていく。
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一見、比較的順調なキャリアを積んできたように見えなくもない。しかし、本人にとっては必ずしもそうではなかったのだ。当時からの葛藤を初めて吐露したのが、昨年12・24後楽園ホールでの初防衛戦。それまでは、後輩・玖麗さやかの、天咲への羨望に満ちたコメントを逆手に取り、「オーラがあって華があって、スタイルのいいネオジェネシスの天咲光由です」と返すほどだったのだが…。
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挑戦を退けた直後、天咲は「超新星としてデビューしても実力が伴わなくてさ、いろんな人にいろんなこと言われたり、辛くて苦しくて、痛い思いしてきた。死ぬほど泣いて生きて、やっとこのベルト手に入れた。スターダムの未来、背負える存在になった。だからさ、まだ負けられないんだよ!」と、魂の叫びをあげた。デビュー以来、彼女の本音が初めて外に弾き出された瞬間だった。試合も、天咲のベストマッチを更新する内容。ベルトを初めて守ったことで、レスラーとしてのステージをさらに一段階上げたのではなかろうか。
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プロレスとの出会いは、小学生の頃に父が見ていた男子のプロレスだった。中学生になるとみずから進んでドラゴンゲートを見るようにもなり、地元・京都のKBSホールで観戦。当時は将来、自分がこの会場でプロレスラーとして試合をするなんて思いもしなかった。が、映像を見ていくうちに女子プロレスの存在も知った。調べてみると、ネットでもっとも先に出てきたのがスターダムだった。
「中学生の頃にプロレスラーになりたいと思ったんですけど、当時は中高一貫校に通っていて先生からも反対され、とりあえず高校は卒業しようと。でも、プロレスラーになるための準備は当時から始めたんですよね。バスケをやっていたんですけど、柔軟な身体が必要だと思い、体操部に移ったんです。YouTubeで見つけた全女の映像で『股割りが一番大変』と知ったんですよ。高校3年間で、プロレスラーになるとき有利になるようなことをするようにしました。体操で股割りもできるようになったので、よかったです(笑)」