東京ドームでのIWGP戦実現の岩谷麻優「自分は女子プロレスの枠を超えたのかな」
“スターダムのアイコン”岩谷麻優にとって、2024年は、すべてに全力を尽くした一年だった。新日本プロレス発のIWGP女子王座を一年以上に渡り保持。昨年12月に通算1000試合を突破し、かねてからの夢だった新日本1・4東京ドームでのタイトルマッチに、今年のイッテンヨンで登場(新日本東京ドームは4度目の参戦)。王者として大舞台に上がることが、アイコンのモチベーションになっていたのだ。その思いは、「東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞」の話題賞という形にもなって表れた。
試合ではIWGP女子王座を守りつづけ、リング外でも話題を振りまいてきた。自伝的映画『家出レスラー』が劇場公開され、本人もカメオ的に出演した。『極悪女王』が“話題”になったからこそ、もっと評価されていい作品だろう(そこを評価されての「話題賞」か)。
「昨年は、とにかくがんばりましたね。映画もあったし、一日警察署長とかプロ野球の始球式もありました。メッチャ忙しいし、ほとんど休みもない状態。それでも気を抜かず、どんな試合でも、またプロレス以外でも、ホントに一つひとつ全力で取り組みました」
©新日本プロレス
そのきっかけは、イッテンヨンに出られない悔しさだった。24年のイッテンヨン、岩谷はIWGP女子王者だった。彼女自身は、東京ドームで防衛戦をやるものだとばかり思っていた。が、当日はスターダムがドームに近いTDCホールで開催。一昨年のイッテンヨンではドームでKAIRIvs中野たむのIWGP女子王座戦がおこなわれたものの、この年のイッテンヨンにはスターダム勢の参戦がなく、これに岩谷はショックを受けていたのだ。そこからIWGP女子王座への思いが大きくなっていったという。
「それまではこのベルトを持っていても、どういう立ち位置なんだろうとか、どういう方向性なのかもはっきりわかっていなかったんですよね。正直、自分自身このベルトをどうしていけばいいんだろうという状態だったんです。そこからさらにドームに出られない悔しい思いをして、だったら試合で認めさせてやるしかない、認めさせてやろうという思いが大きくなりました。その最初が、朱里戦。新日本のベルトじゃないの?という思いとともに、試合で魅せてやろうという気持ちで闘いました」
©STARDOM
IWGP女子王座は23年4・23横浜アリーナでメルセデス・モネから奪取、岩谷は第3代王者となった。スターダム所属選手として初めてのIWGP女子王者だ。22年11月の王座決定戦でKAIRIに敗れ初代の肩書きを得るチャンスを逃し、一時は「(IWGP女子は)もういいや」という思いにもなっていたものの、元WWEスーパースターのモネからの奪取で気持ちに変化が生じた。が、しだいに思うように防衛戦が組まれない苛立ちも…。ましてやイッテンヨンでも防衛戦が組まれない。ホームリングでのイッテンヨンが決まってから、岩谷にはベルトの現状に対する反骨心が芽生えたのだ。
朱里を相手に防衛に成功すると、白川未奈、Sareee、藤本つかさ、“タイムレス”トニー・ストーム、渡辺桃の挑戦を退けてきた。そして今年のイッテンヨンでAZMを破り、9度目の防衛。もちろんIWGP女子の最多防衛記録を更新中で、二桁防衛までも、あとひとつだ。