【独占対談】里村明衣子とウナギ・サヤカ、女子アスリートとしての挑戦を語る「生理と戦う女子レスラーの覚悟」

“女子プロレス界の横綱”里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)と“極彩色に翔ける傾奇者”ウナギ・サヤカが、日本財団の公式YouTube番組「2SQ-ツーショットクエスチョンズ-」で特別対談を行った。

2月16日に後楽園ホールで開催されるウナギの自主興行『殿はご乱心 我が名は』を前に、両者はキャリアや試合への思いを語るとともに、女子プロレス界の未来についても踏み込んだ議論を展開。

さらに、女性アスリートとして避けて通れない生理の問題にも言及し、過酷なリング上での経験を赤裸々に明かした。2時間にわたる対談は、1月末より配信されている。【記事提供:日本財団】

※全3回の特別対談『第2弾』を掲載

【女子プロレスの生理事情】里村明衣子×ウナギ・サヤカ Ι 女子プロレスのリアル Ι 2SQ

―― Q17 二人の得意技は?

里村)私は蹴り技が得意なので、スコーピオンライジングという踵おとしの技ですね。かかと落としの変形版です。

ウナギ)私は「大儀であった」という相手の両腕をクラッチしてぐるんと回して持ち上げて頭から落とす技があります。

―― Q18 得意技は、どうやって身につけた?

里村)アジャコング選手に勝つために。ずっと勝てなくて。アジャ選手を攻略するためには何が必要なんだっていう。で、投げ技はもう身につけてたんですけど、それ以上がなかったので。やっぱり大きい選手でも、仕留められるような蹴り技っていうのをしっかりと身につけようと思って編み出したのがスコーピオンライジングです。

ウナギ)私はシングルでのベルトを狙いに行くにあたって、逆に上から落とす技っていうのを一切使ってこなかったので、ここで人を仕留めるためにちょっと危険な技も身に着けないといけないなっていうので、ミラノさんが考えてくださった技で、めちゃくちゃ自分でもいい技だと思ってます。

―― Q19 プロレスラーとして、自分の「魅せ方」で工夫していることは?

ウナギ)私は、やっぱり38歳で、キャリア5、6年っていうこと自体が分かりやすく言うと終わってるじゃないですか。38歳でキャリア5、6年で何ができるの?みたいに思われるけど、でも逆にやっぱりそういう、30代過ぎてデビューして無理でしょ、お前って、すごい言われてきた中で、逆に私は言われたとしても自分がやるって決めたなら、自分のやりたいことをその目標に向かってやるっていうところをみんなに見せたいなって思ってる。不可能を可能に変える瞬間、年齢とか関係なく、今は無理でも絶対に見せるから、だからみんなも諦めないで。始めるに遅いとかもないし、最後までその時の自分以上のものを見せる、叶えるようにしていく道のりを見せたいなと思ってます。はい。

里村)私は身長が低く、155センチしかないので、いかに自分を大きく見せるかっていうところは、自分の歩き方とか、自分の衣装とか、あと入場テーマ曲、あと技、全部が大きく見せられるようにっていうのをずっと考えてやってきましたね。衣装もすごい考えましたよ。どういう風にしたら大きく見えるかなとか、色合いとかも未だに考えますけどね。それこそ長与さんに教わったのは、本当に指一つで全然違うから、そこを研究しろっていう。そこは宝塚を見に行きなさいって言われて、よく長与さんに宝塚を見に連れて行っていただきましたね。すごい勉強になりました。

ウナギ)さっきうちのマネージャーも言ってました。里村さんはとんでもなくでかい女だと思ってたので、ちっちゃくてめっちゃびっくりしたって。

里村)155センチしかないんです。

ウナギ)もう成功してますね。その作戦が。

―― Q20 ぶっちゃけ、女子プロレスラーって稼げるの?

里村)これね、散々私悔しい思いしましたよ。社長とか長与さんがめちゃくちゃ高級車に乗ってて、かっこいい生活を見てきて私もそうなれるだろうなって思ってた。でも10年目で団体(ガイア・ジャパン)が解散になって、そこでもう女子プロレス低迷時代だったんですよね。そこをいつか絶対に抜け出してやるって思いましたけど、ずっと稼げなかったです。全然稼げなかったですね。でも今は稼いでます。多分ウナギさんは一番いい見本だと思う。それはもう自分で言ってください。

ウナギ)どうなんだろう。なんか稼げるっていうか、結局今の日本人というか子供たちって、稼げるものに将来なりたがっている子が多いじゃないですか。例えばユーチューバーとか。あれって稼げるし、「100万円使ってみた」とかをやってるから、それに憧れてなりたいってなるところもあると思うんで。やっぱり女子プロレスラーなりたいって思わせるには女子プロレスは稼げますよっていうのを見せるのがウナギ・サヤカとしての仕事だと思っているので。稼ぎます。はい。

―― 稼げてますか?

ウナギ)稼げてます。でも全部使っちゃうんです、私。両国(大会)とかにお金を突っ込んでるので。

里村)稼いで自分でお金使ってみないとわからないんですよ。それでね、気持ちわかるじゃないですか。与えられてばっかりじゃわからないし。自分で稼いでそのお金で土地を買うとか、そのお金で契約するとかっていうのをやらないと、実感湧かないですよね。

ウナギ)そう。でもプロレスって出ていくお金がめっちゃ多くてびっくりしません?

里村)そうですね。

ウナギ)こんなにすんのっていうのが結構毎回来ます。いや本当に金かかる。

―― Q21 Netflix『極悪女王』は観た?感想は?

ウナギ)見ました?

里村)1話見ました。1話。

ウナギ)すごい。なんで一話で止まったんですか?

里村)その時期マジで忙しかった。本当に忙しくて。

―― 感想とか感じたことは?

里村)やっぱりね、自分がレスラーになった15歳の時の気持ちとかを全部再現してくれてます。憧れを持ったその気持ちを全部ダンプさんが表現してくれてるから、すごいなと思いましたよ。

ウナギ)私にとっては自分の時代のものでは全くないので。

里村)そっかそっか。

ウナギ)でも今と昔で全然違うんですけど、やっぱあのぐらいかち盛りにしたいですよね、客席を。あれを超えないと、今勝ったって言えないから、悔しい。悔しい作品です。私の中では。

里村)本当に行く先々でプロレスを知らない人が「極悪女王」の話をしてくるから。本当にプロレス知らない人が今ハマってるんですよ。あと、80年代にハマった人たちも今またファンになって会場に来てくれてるので、あの時代って相当影響力があったんだなって思いますね。

ウナギ)やっぱ、でも超えたいですね。

里村)超えたい。

ウナギ)絶対超えたい。

―― Q22 当時の女子プロレス界と今の女子プロレス界、違う点は?

里村)当時のプロレス界。手に入れるものの速さが、全然違うと思います。(昔は)例えばリングに上がるまで、しっかりと基礎体力をつけなければ上がっちゃいけないし、受け身が取れるような首の太さを身に着けなければ「リングに上がるな、お前ら」って言われて。それまでは全部下積みで掃除とか。でやっと認められたらリングに上がって受け身が取れる、ロープに走れるとかね。そういう時代でした。敷居みたいなのが全部昔は高かったですよね。

―― 敷居が高くてなかなか上がれなかったことは?

里村)やっぱり憧れとかっていうのはすごくて、ここまでしなきゃ自分はそこまで辿り着けないんだっていう、その距離がすごい長かったですよね。

ウナギ)やっぱり今、自分がプロレスラーやってて思うのは、プロレスのリング上だけじゃなくなったじゃないですか。SNSとかそういう、プロレスのリング上での試合だけがプロレスラーの仕事じゃなくなってきてるところが、多分私が上に上がれた理由というか。

里村)すごいなと思うのが、(ウナギは)普通に鈴木みのるさんとかね。

ウナギ)はいはいはい。

里村)普通に一緒に仕事してるでしょう。長与千種さんとかも小橋健太さんとかも仕事してるでしょう。私、小橋さんに出会うまで19年かかりましたからね。デビューして。鈴木みのるさんとお仕事するにも、多分15年ぐらい。すごい感動したんですよ、会った時。でも(ウナギは)普通にタメ口で喋ってるから。

ウナギ)「おー、みのる、みのる」みたいな感じ。

里村)もうこれも時代の差というか、ウナギ・サヤカのすごいところですよ、これは。

ウナギ)もちろん知ってますよ、皆さんのこと。でもやっぱ憧れがないから。ただ1レスラーとして戦いたい。相手としてしかレスラーを見てないので。そこは自分のいいところだと思います。なんか本当によくわかってないっていう、皆さんの凄さを全然よくわかってないっていうのがワーって近づいていける理由だと思います。全く空気読めないんですよ、私。

―― リング以外の活動の重要性の高まりを感じますか?

里村)もちろんです。だからもう自由時間、プライベート時間なんてあってないようなもので、そこでいかに自分で発信するか。その時間は必ず必要じゃないですか。だからある意味、今の若い子達は自分を表現するために時間を使うことがすごい増えてると思いますね。そこに休みないよね。

ウナギ)全くない。別にそんなに休みを望んでないかもしれないです。常にもう何かを見て、何でも得ることができるじゃないですか、今。YouTubeとかでも。だから何かそれは楽しさでもありますね。

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