新日本プロレス一筋の“荒武者”後藤洋央紀が22年の執念が実を結ぶ悲願のIWGP世界ヘビー級初戴冠!「あと一歩の男」から「頂点の男」へ!!

大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)に鳴り響いた「オヤジー、獲ったぞー!」の叫びが、万感の思いを物語っていた。

 2月11日、新日本プロレス『THE NEW BEGINNING in OSAKA』のメインイベント。IWGP世界ヘビー級王座戦で挑戦者・後藤洋央紀が王者ザック・セイバーJr.を撃破し、第12代王者に輝いた。9度目の挑戦で、ついに手にした念願のベルト。これまで幾度となく跳ね返されてきたIWGPの壁を、ついに乗り越えたのだ。

 思えば、後藤のキャリアは「あと一歩」の連続だった。2003年のデビューから、その才能は誰もが認めるものだった。2005年のヤングライオン杯優勝、2008年のG1 CLIMAX制覇。そのときの「G1のGは後藤のG!」の雄叫びは、今でも語り草である。

しかし、新日本プロレスの至宝であるIWGPヘビー級王座(現・IWGP世界ヘビー級王座)だけは、どうしても手が届かなかった。8度挑みながらも、結果はすべて敗北。時には同世代の棚橋弘至や中邑真輔、後には内藤哲也、オカダ・カズチカといったライバルたちに先を越され、トップ戦線を走り続けながらも「もう一歩届かない男」と言われ続けた。

 だが、後藤は諦めなかった。NEVER無差別級王座、IWGPインターコンチネンタル王座、新日本カップ優勝、最優秀タッグチーム賞、ベストバウト受賞…。多くの実績を積み重ねながらも、心の奥にあったのは「IWGPのベルトを巻く」という執念だった。

 そして迎えた9年ぶりのIWGP挑戦。相手は技巧派・ザック・セイバーJr.。関節技の鬼と言われるザックが徹底的に腕を攻め、痛めつけた。しかし、後藤はギブアップしない。渾身のラリアート、昇天・改、そして最後の最後に放ったリストクラッチ式GTR改。その瞬間、後藤洋央紀は「あと一歩の男」から「頂点を極めた男」へと変貌した。

 試合後、リング上で後藤は叫んだ。「この光景が見れたのは、家族のおかげ。そして仲間のおかげ。そして、何よりも俺の後押しをしてくれた今日のお客様方。そして最後に22年間、ここまでやってきた自分自身の体にありがとうございましたと伝えたい」

 昨年2月に亡くなった父への想いも、後藤を突き動かした。「オヤジー、獲ったぞー!」。プロレスラー・後藤洋央紀の魂の叫びだった。

 バックステージでは早くも次期防衛戦についての話が飛び出した。後藤は「挑戦者を指名したい。棚橋(弘至)社長。俺は王者としてもう一度タイトルマッチがしたい」と発言。すると、そこに現れたのは永田裕志。「今ここでお前のIWGPベルトに挑戦したい」と表明した。

 後藤の返答はシンプルだった。「もちろんOKです。でも次の挑戦者は決まっているので、その先でいいのなら、ぜひ」。この言葉が示すように、後藤の王者としての旅は始まったばかりだ。

 かつて「G1のGは後藤のG!」と叫んだ若武者が、今度は「IWGPのGは後藤のG!」と高らかに宣言した。悲願の王座戴冠を果たした後藤洋央紀。だが、後藤の戦いはまだ終わらない。新たな頂へ向け、「後藤革命」は加速する。

<写真提供:新日本プロレス>

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