CMLLで活躍する“和製ルチャドール”OKUMURAが語る新日本との関係「ファンタスティカマニアの成功と未来」

 毎年恒例の新日本プロレスとメキシコCMLLとの合同シリーズ『FANTASTICA MANIA』(ファンタスティカマニア)が今年も大盛況で幕を閉じた。このシリーズ開催にあたって、両団体の懸け橋になっているのがOKUMURA選手だ。彼の存在なくして、この大会の実施、継続はなかったであろう。今CMLLは新日本のみならず、アメリカのMLW、AEW、イギリスのRevProとも交流関係にあるが、そこでも重要なキーパーソンとなっているのがOKUMURA選手だ。そこで日本に帰国したOKUMURA選手に話を聞いた。【インタビュー:後編】

(聞き手・文=ミカエル・コバタ)

――2020年には世界中で新型コロナウイルスの感染拡大がありました。コロナ禍でのCMLLの事情はどうだったのでしょうか?

「2020年1月に『ファンタスティカマニア』があって、日本に来ました。その頃にコロナが出てきて、それを知らなくて。それでメキシコに帰って、まさかこんなことになるとは思わないじゃないですか。『ファンタスティカマニア 2020』が終わって数日休暇を取って、メキシコに帰って、試合するようになって。2月に地方遠征から帰って来て、会社から連絡があり、翌週の試合は中止だと。それはコロナウイルスだからと。豚インフルエンザのときも興行が中止になったことがあったんですけど、そんなの数週間の話だった。まさかそれからこんなに長くなるとは思わないじゃないですか。3、4ヵ月試合がなくなって。興行再開のときは無観客試合。テレビ中継あるじゃないですか。出る全選手、レフェリー、リングアナ、スタッフ全員、当時PCR検査して、検査結果が陰性だった人のみ出場で。選手たちも徹底した消毒、マスク。試合開始の30分前に会場入りがOKになって。全部検査されて、試合が終わったらアウトしなさいと。厳しい条件のなかでやって。週2回の無観客試合をやってたのが、しばらくして、お客さんを入れて再開したんですけど、1万何千人入るアレナ・メヒコが10%の観客動員から始まったんです。10%といったら、観客のしゃべってる声が聞こえて、表情もこと細かく見えるんです。最初無観客でやるのも違和感はあったんですけど、10%のときもすごく違和感あって。そこから20%、30%、50%と徐々に増えていったんです。その間、CMLLはそうやってました。あれはすごい経験だったなと、最初はPCRだったんですけど、PCR検査はコロナ感染から回復して陰性になった人も陽性が出続ける場合があるため、会社は抗原検査に変えて、その代わり検査結果は3日間のみ有効で。試合が週2回なら週2回検査するようになりました。当時僕は遠征に行くときは前後に2回抗原検査をしていましたし、メキシコシティ国際空港の検査場の人らとも顔見知りになって『今日はどこに行くの?』と言われていました(笑) 。CMLL大会前日のアレナ・メヒコの抗原検査も、検査場から白衣を着た人が会場まで来るわけじゃないですか。自分たちはそこで検査するんです。陽性になったら15日間隔離をして、隔離が明けたら検査をして、陰性になったらようやくまた試合が入るんです。だから会社は相当お金を使って徹底的にコロナ対策をしました。

その間に日本から来た選手たち、招へいした選手、辻(陽太)選手もそうだし、女子の選手も来た人はみんな、CMLLの徹底したコロナ対策にビックリしてました。火曜に出る選手は月曜に抗原検査するんです。金土に試合する人は木曜に検査する。日月に試合する人は土曜に検査する。それで陽性者が出たら急にカードが変わることがあるんです。僕はその間もアメリカに試合に行ったりしてて。当時メキシコはワクチンの種類を選べなかったんです。メキシコシティのなかでも地域が分かれてて、アストラゼネカの人だったり、ファイザーの人だったり。僕は4回ワクチン打ってるんですけど、4回ともアメリカで打ってるんです。アメリカに試合で行って、ワクチン打って帰ってくる。だから僕は4回とも、アメリカのワクチン証明書で。なぜかというと、当時日本でもアメリカでも、アストラゼネカ、ファイザー、モデルナじゃないと日本に入国できないとかの問題があったじゃないですか。そんな状況でした」

――観客を100%入れていいようになるまで、どれくらい時間がかかったんですか?

「どれくらいかかったかな。2年くらいかな?その間にまた感染者が増えて、また観客を入れる割合が変わったりとか、興行が止まったことがあったんです。中止になったりとか、政府からの要請があって、結構厳しかったようですが徹底してたんで。でも再開してお客さんが帰ってきたんです。それはすごくうれしかったですね」

――当時、CMLLのインターネット配信は普及していたのですか?

「ウチは各大会で放送してるTV局が違うんです。金曜のアレナ・メヒコ大会は民放最大手のテレビサが土曜に1時間半で中継やってて。それとは別の地上波やケーブルTVでもやってて、分かれてるんです。そして数年前からCMLLの生配信YouTubeチャンネルができたんです」

――コロナ禍で2021年、2022年の『ファンタスティカマニア』は開催することができませんでした。その間、個人として帰国したことはあったのですか?

「2021年に1度帰ってきたんです。2022年は帰ってないですね。1度帰ってきたとき隔離があったんで、東京で2週間隔離で、3回以上ワクチン打ってる人は検査をして陰性だったら、OKというのがあったじゃないですか。ウイークリーマンションで隔離したんです。だから東京での隔離中はいったい何しに帰ってきたのかな?って、ストレスが溜まりました。日本の運転免許の更新もあったので、更新しないと日本の運転免許が切れちゃうんで。菅林会長と面談のため、新日本の事務所に行く用事もありましたし、いろんな要素を兼ねて帰ってきたんです。親の顔も見たかったし、地元の池田市スポーツ親善大使を務めていますので、池田市役所も訪問したかったし。でも帰ってきたとき、隔離でイヤになりました(笑)。1日2回、MySOS から無言電話がかかってくるんです。きつかったですね」

Pages 1 2 3 4

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加