【新日本】『NJC』ザックがタイチとの激闘を制し準決勝進出「タイチがいなければ、俺はコロナ禍を乗り越えることはできなかった」

新日本プロレスは3月15日、愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で『NEW JAPAN CUP 2025』第6戦を開催した。

『NEW JAPAN CUP 2025』
日時:2025年3月15日 (土) 16:00開場17:00開始
会場:愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)
観衆:2,752人

セミファイナルでは、タイチとザック・セイバーJr.の元パートナー対決が実現。かつて「DANGEROUS TEKKERS」としてタッグを組んだ二人がシングル戦で激突した。

試合は静かな立ち上がりを見せた。開始のゴングが鳴ると、タイチは動かずにザックを見据えたまま。ザックが「コイヨ! タイチ、カモン!」と挑発すると、場内から「レッツゴー、タイチ!」の声が響く。互いに探り合う中で、タイチの強烈な一撃が先に飛び出した。

試合は技の応酬よりも意地の張り合いが際立った。場外戦ではタイチがザックをフェンスに叩きつけると、椅子を手にする場面も。しかし、レフェリーがこれを制止し、試合はリング上へ。ザックは関節技を駆使してタイチの動きを封じるが、タイチも蹴撃で対抗。互いに譲らぬ攻防が続いた。

タイチは試合の流れを引き寄せるべく、パンタロンを脱ぎ捨てると、渾身の打撃を叩き込む。対するザックもアックスボンバーを掟破りで使用し、意地のぶつかり合いが白熱。

互いのフィニッシュホールドが狙われる中、タイチはブラックメフィストを炸裂させるも、足のダメージでカバーが遅れる。ザックもセイバードライバーを決めるが、タイチは執念でキックアウト。

勝負の決め手となったのは、ザックのジャックナイフ式エビ固め。予想外の角度で丸め込まれたタイチは、最後の力を振り絞るもカウント3を許した。

<試合結果>

▼セミファイナル(第8試合) 時間無制限1本勝負
『NEW JAPAN CUP 2025』準々決勝戦
タイチ ×
vs
ザック・セイバーJr. 〇
26分27秒 ザック式タイチ式外道クラッチ
※ザックがトーナメント準決勝戦へ進出

試合後、タイチとザックは互いの健闘を称え合い、抱擁を交わした。ザックはリングを後にし、タイチは四方に一礼して退場。かつてのタッグパートナーが全力でぶつかり合った一戦は、観客の記憶に深く刻まれた。

試合後、ザックは試合に込めた想いを語った。

ザック「見ての通り、ゴングが鳴る前から、この試合は俺たちにとって、とても気持ちの詰まった試合だった。鈴木軍、DANGEROUS TEKKERSが解散して3年。タッグチームは終わったかもしれないが、友情は永遠に続く。クソ、ホールマークのグリーティングカードみたいなこと言ってるよ。
誠実なことを言うのは苦手なんだ。でも今は誠実になるよ。タイチがいなければ、俺はコロナ禍を乗り越えることはできなかった。彼こそ文字通り、俺のところへ来て、俺を家まで送り、問題がないかを毎日確認してくれた。俺たちは酒を飲み、ご飯を食べ、トレーニングをして、可能な限りの時間を一緒に過ごした。それがタッグチームというものだ。ANGEROUS TEKKERSが終わっても、鈴木軍が終わっても、俺とタイチの固い結びつきは永遠だ。
ただしタイチ、今のこの結びつきは、ライバル関係なんだ。今の俺はIWGP世界ヘビー級王者ではないかもしれないが、最近まではそうだった。トーキョードームのメインイベントを2回務めた。『G1 CLIMAX』で優勝して、俺はトップに立っている。彼を倒すには、タイチ自身の技を引っ張り出す必要があった。タイチ、お前のことを疑っている唯一の人間はお前自身だ。タイチ、自分を信じろ。次に試合する時は、IWGP世界ヘビー級王座戦だぞ。お前がどう思うかは関係ない。(※日本語で)デモ、トリアエズ、アリガトネ」

タイチ「(※コメントスペースに現れると座り込んで)どんな進み方にしろ、今日はザックとやることが運命だった、宿命だったっていうふうになったら、そう受け入れる。欲を言えば、何回も言うようだけど、もっと自分の実力をつけてからザックの前に立ちたかった。言い訳すんだったら、次は必ず万全の状態でリングに上がりたい。
けど、こんなの言い訳で、プロはいつだって100%出さなきゃいけねぇんだ。転んでも転んでも、立ち上がっても立ち上がっても、こんなんばっかりだ。だから世の中の人間よ、俺よりみんな楽しい人生歩んでるだろう。俺の方が無様だろう、毎日毎日。毎回毎回必死に手を伸ばしたって、届かねぇもんもあんだよ。
だけど、何回も伸ばしたっていいだろう、この命が尽きるまで。俺はハッキリ言って、俺のレスラーとしての炎は風前の灯火かもしれない。だけど、何もなくあっさり消え去るより、最後しっかり綺麗に燃え尽きて消えていきたい。まだまだこんなんじゃ綺麗に終われない。悔しい。凄く悔しい。
こんなんでしか勝ち上がれない自分が、そして今日、本当はメインイベントでザックとやるはずだった。今、IWGPタイトル(マッチ)をやってる。何も持っちゃいねぇな、俺。運もねぇし、つきもねぇよ。実力もない。何も持ってねぇから認められねぇんだな。
また下からやり直すよ。この俺の気力が、炎が燃えてる限りやるしかないだろう。俺もいつかIWGPにああやって永田みたいに入場して、愛されるコールされる時が来たらいいな。(※立ち上がりながら)先は長くないかもしれないけど、やるだけやってみてさ。
何の運命かわかんないけど、今日、こんな実力不足の俺がこの舞台でザックとやれたこと感謝します。ありがとうございました。ザック、本当にありがとう。お前がいなかったら俺は……。ずっと死ぬまで大切な存在。また必ずいつか自信持って、対角に立つよ。ありがとう」

ザックとタイチの言葉が示すように、この試合は単なるトーナメント戦ではなく、二人の歴史と絆が交錯する特別な一戦であった。

<写真提供:新日本プロレス>

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