今春から大学生のスターダム妃南。末っ子が切り拓いた三姉妹プロレスラー

【WEEKEND女子プロレス#57】

 スターダムで活躍する羽南、吏南、妃南の三姉妹は小学生でプロレス入門、キッズレスラーとしてデビューし、学業とプロレスを両立させてきた。8年前、羽南が中学入学と同時にキャリアをスタートさせ、双子の吏南と妃南には初マットから6年半が経過しようとしている。もちろん、キッズだからこそリングで闘うことには細心の注意が払われた。それだけにデビューにこぎ着けるまでにはそれ相当の時間を要している。そして現在では、3人ともプロレスを続けタイトルを獲得するまでに成長。しかもそれぞれ個性が異なり、自身のスタイルを築き上げているのである。

そんな3人がプロレスと出逢ったのは、家族で観戦したスターダムの大会だった。その後、妃南が夢中になり、プロレスラーになりたいとの夢を持った。三姉妹デビューの原点は、末っ子の妃南にあるのだ。

「パパが柔道の指導者で、3人とも幼少から習っていました。それとは別にパパはプロレスファンでもあったので、ある日、家族でプロレス観に行こうという話になったんですね。でも、女の子にいきなり男子プロレスだと刺激が強すぎるかもとなって、まずは女子プロレスにしようとなったんです。といっても、私たちにはプロレスって何のことだかわからなくて、パパとママにただついていった感じですね。プロレスって何? アイドルなのかなって(笑)」


「写真提供:スターダム」

 初めてのプロレス体験はスターダムの後楽園ホール。人の多さにまずは圧倒されたという妃南。リングが何を意味するかわからず、それは「真ん中にあった何か」。そこに人が上がり、闘い始めたから驚いた。

「最初は踊りがあって、やっぱりアイドルなのかと思ったんですけど、音楽が鳴って人が入ってきて、揃ったら急にキックとかして、何やってんの、痛めつけてるじゃんって。でも、なんだかわからないけど、おもしろそうとは思いましたね」


「写真提供:スターダム」

何が何だかよくわからなかったとはいえ、とりあえず楽しんだ初プロレス。以後、家庭でもテレビでプロレスを見るようになった。家族全員がハマったのである。となれば、「また会場で見てみたい」と思うもの。月1回のペースで後楽園ホールに足を運ぶようになったのだ。そして生観戦を重ねていくうちに、妃南はあこがれのまなざしをリングに送るようになっていく。

「最初は流血もあり怖いイメージもあったんですけど、(宝城)カイリ(カイリ・セイン=現WWE)さんがすごく印象に残っていたんですね。やられても根性で立ち上がる姿がカッコいい。そこからカイリさんの試合をもっと見たいと思うようになりました」


「写真提供:スターダム」

 家ではプロレスごっこが始まった。妃南の相手は吏南だ。布団がマットで、タンスがコーナー。

「パンツ一枚で闘ってましたね(笑)。羽南はそんなにやっていなくて、ほぼほぼ私と吏南のシングルマッチ。タンスの上から飛んで、自分でカウントを数えて、メチャ楽しかったです。そのうち、自分もプロレスやりたいかもって思うようになったんです」

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