【全日本】CC開幕戦で鈴木秀樹が“前年覇者”宮原健斗を撃破!「外からの危機があった場合は、全て僕が相手します」全日本の門番を高らかに宣言

全日本プロレスの春の祭典「チャンピオン・カーニバル2025」は9日、後楽園ホールで開幕し、Aブロック公式戦のメインで前年覇者の宮原健斗が鈴木秀樹に敗れる波乱の幕開けとなった。
「チャンピオン・カーニバル2025」【開幕戦】東京・後楽園ホール
開催日:2025年4月9日(水)開場時間17:30開始時間18:30
会場:後楽園ホール
観衆:1,105人
試合は、ゴング直後から静かな緊張感に包まれた。互いにじっくりと距離を詰め合い、ロックアップからのグラウンド戦に突入。鈴木は緻密な関節技を用い、宮原の腕をねじり、サーフボードやフルネルソンなどで着実に体力を奪っていく。受けて立つ宮原もダブルリストアームサルトや正面跳びのドロップキックで応戦するが、その勢いを鈴木は冷静に封じた。
試合が進むにつれ、鈴木の持ち味が際立っていく。腹部へのハンマー攻撃、首へのネックツイスト、ヘッドシザースといった古典的ながらも芯を食った攻めは、宮原の攻撃力を削ぐに十分であった。15分過ぎ、宮原がようやく反撃の糸口をつかむ。膝へのドロップキックから串刺しエルボー、場外ではパイルドライバーと一気に畳みかけた。
しかし、鈴木の身体は簡単には沈まなかった。宮原の突進をすんでのところで捉えると、そこから放たれたのはカミカゼ、さらに腹部への鋭いエルボー連打。宮原の必殺技「ブラックアウト」すら読み切った鈴木は、ついに人間風車狙いへ移行する。
その手を一度は振りほどいた宮原も、最後は粘り切れなかった。20分を過ぎ、渾身のブラックアウトでもカウント2止まり。シャットダウン・スープレックスを狙うも鈴木に切り返され、最後はダブルアーム・スープレックス2連発。21分13秒、片エビ固めでカウント3を奪った鈴木は、堂々たる姿でリング中央に立ち尽くした。
<試合結果>
▼メインイベント(第8試合) チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
宮原健斗 × [1敗=0点]
vs
鈴木秀樹 〇 [1勝=2点]
21分13秒 ダブルアームスープレックス→体固め
鈴木は試合後、後楽園に響く「ヒデキコール」を背にマイクを握ると、「宮原健斗との人生をかけた一騎打ち」と語り、言葉を慎重に選んだ。「言葉で汚すことはしないようにします」と前置きした上で、「宮原健斗が全日本プロレスだという気持ちは、この瞬間も変わっていません」と敬意を表した。
その上で鈴木は、「全日本プロレスに何か外からの危機があった場合は、全て僕が相手します。みんな誰の名前出そうとも、テーマは鈴木秀樹だけです。これ以上やりたいなら、プロレス界、やってみろ。俺はめんどくせぇぞ。試合だけじゃねえからな、SNSも。だから今日来てくれたお客さん、それからマスコミ関係者、プロレス界、よく覚えとけ、俺が全日本プロレスの鈴木秀樹だ」と力強く宣言した。鈴季の覚悟と存在感が、後楽園ホールを一瞬にして静め、そして沸かせた。
プロレスキャリアの長い鈴木にとって、この勝利は単なる一白星ではなかった。全日本マットに“定着”して以降、全日本という団体そのものに深く踏み込む姿勢を明確にし、リングの内外での責任を自らに課した。SNS上でも繰り広げられる現代的なプロレスの在り方に対しても「試合だけじゃねえからな」と語るあたりに、いまのプロレス界全体を見渡す視点が感じられる。
バックステージで、鈴木秀樹と宮原健斗が対照的なコメントを残した。
鈴木は「リング上で言った通りです」とだけ語り、それ以上の発言を拒否。「いろんなことを言うことによって、汚したくない」と語り、言葉を慎重に選ぶ姿勢を見せた。「全日本プロレスの鈴木秀樹」という言葉の真意を問われると、「一番分かってるんじゃないですか?」とだけ述べ、詳細を語ることはなかった。自身が過去にWRESTLE-1に参戦した試合映像を観て、「面倒くさいヤツだったな」と自嘲する一幕もあり、報道陣に対しても「皆さんの言うことは聞かない」と突き放す態度を貫いた。
一方、宮原は開口一番「まだ目の前がポワァ~っとしてる」と激闘の余韻を口にし、「あんな強えヤツがまだいたんだな」と鈴木の実力を称賛。全身に響いた打撃とスープレックスに、「この世界に入ったときのことを思い出した」と感慨をにじませた。「アイツは唯一無二だ。今の時代も生きてる」と語り、その存在感に驚きを隠さなかった。
試合には敗れたものの、宮原は「ポジティブ人間を取り戻した」と前向きな姿勢を強調。過去にも開幕戦での敗戦から優勝決定戦へ進出した実績を引き合いに出し、「次は福岡。俺の地元だ」と決意を新たにした。次戦の相手・真霜拳號については、「オマエこそアンチエイジングだ」と独特の表現で挑発しつつ、「真霜拳號、オマエを利用させてもらう」と力強く宣言。「俺が優勝しなきゃ、日本のプロレスファンは面白くねえだろ」と締めくくった。
いま、全日本プロレスは変化のうねりの中にある。象徴とされる宮原、そして“門番”を名乗り出た鈴木秀樹——それぞれの立ち位置が交錯する2025年春のチャンピオン・カーニバル。開幕戦は、単なる1勝1敗以上の意味を持つ一戦となった。
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