【全日本】“ジャンパーすら脱がず”安齊勇馬が北斗を撃破「最年少優勝へ全力で突っ走る」

全日本プロレスは4月9日、東京・後楽園ホールで春の祭典「チャンピオン・カーニバル2025」開幕戦を開催した。

開会式では前年度覇者・宮原健斗を先頭に出場選手全員が入場し、PWF会長ドリー・ファンク・ジュニアの代理人・大隅良雄氏が今大会の幕開けを宣言。新たな闘いの季節が静かに、そして熱く始まった。

「チャンピオン・カーニバル2025」【開幕戦】東京・後楽園ホール
開催日:2025年4月9日(水)開場時間17:30開始時間18:30
会場:後楽園ホール
観衆:1,105人

第2試合ではBブロック公式戦として、大森北斗と安齊勇馬が激突。ともに3度目のカーニバル出場となり、2年ぶり2度目のシングル対決が実現した。過去には北斗が1勝、直近の3月のアジアタッグ戦では安齊が勝利しており、五分の実力を背景に注目の一戦となった。

注目されたのは、大森北斗が試合前に掲げた「正々堂々と闘う」姿勢だった。闘病中のサイラスに捧げると語った覚悟の言葉は、ファンにある種の期待を抱かせていた。

しかしその期待は、開始早々に裏切られる。安齊の隙を突いて放たれたローブロー、それは自ら掲げた信条をわずか数秒で踏みにじる一撃であった。

一方の安齊は、動揺せずに冷静さを保った。不意打ちに耐え、猛攻をしのぎ、鋭いジャンピング・ニーを打ち込み反撃の糸口を掴むと、最後は剣山でナルシストプレスを防御し、体勢を入れ替えての丸め込みで3カウントを奪取。

試合時間は短くとも、その一瞬に込められた技術と覚悟が勝敗を分けた。

<試合結果>

▼第2試合 チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
大森北斗 × [1敗=0点] 
vs 
安齊勇馬 〇 [1勝=2点] 1分39秒 首固め

試合後のバックステージで安齊は声を張り上げた。

 

「おい、大森北斗! オマエ、正々堂々もクソもねえじゃねえか! 不意打ち、急所、なんでもありじゃねえか! ただ、今日の開幕戦、勝ったのは安齊勇馬だ。チャンピオン・カーニバル2025、白星発進。このまま最年少まで全力で突っ走ります。ありがとうございました」

清々しさすら感じさせる勝者の言葉の裏で、北斗の叫びは無様に響いた。

「なん…なんてこったー! 俺の全勝優勝が…俺の全勝優勝がー!」

北斗は“理想”を口にしながら、その実、現実と戦う覚悟も計算も持ち合わせていなかったのではないか。対して安齊は、まだジャンパーすら脱がぬまま勝利を掴み取った。まるで、すでに風を切って次の戦場に向かって走り出しているかのようだった。

史上最年少優勝への挑戦。その一歩目として、確かな存在感を残した安齊勇馬。裏切られた信念と、静かに燃え続ける闘志の対比が、カーニバルの幕開けに鮮烈な印象を刻んだ。

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