【新日本】TAKESHITAが棚橋弘至に10年越しの雪辱「最後の最後まで輝き続けてくれ。それが俺からの最後の願いだ」

新日本プロレスは現地時間4月11日、米シカゴ・Wintrust Arenaで『Windy City Riot 2025』を開催し、メインイベントでは棚橋弘至と現NEVER無差別級王者・TAKESHITAが一騎打ちで対戦した。アメリカでの“ラストマッチ”を迎えた棚橋は、約10年ぶりにTAKESHITAとの再戦に挑んだが、壮絶な死闘の末に敗れ、TAKESHITAが勝利を収めた。

『Windy City Riot 2025』
日時:2025年4月12日 (土) 17:30(CST)開場19:00(CST)開始
会場:アメリカ・Wintrust Arena(イリノイ州シカゴ)
観衆:4,674人(満員)

2014年夏、DDTで初対決した際には棚橋が圧勝したが、当時19歳だったTAKESHITAは、その一戦を原点に力を蓄えてきた。

AEWとDDTを主戦場としながら、新日本プロレスにも合流したTAKESHITAが、自らの希望で実現させたリマッチは、かつて“逸材”と称された男への遅すぎた礼と決別の一夜でもあった。

試合は棚橋が序盤から流れを引き寄せた。巧みなカウンター技と脚攻めでTAKESHITAの勢いを削ぎにかかり、必殺のハイフライフローも炸裂させた。

しかしTAKESHITAは幾度も跳ね返し、逆にハイフライフローを“返礼”として見舞うと、容赦ない連続攻撃から最後はレイジングファイヤーで3カウントを奪取した。

<試合結果>

▼第8試合 30分1本勝負
ダブルメインイベントⅡ 棚橋弘至アメリカラストマッチ ファイナルロード〜縁(えにし)
棚橋 弘至 ×
vs
KONOSUKE TAKESHITA 〇
20分37秒 レイジングファイヤー→片エビ固め

試合後、TAKESHITAは椅子に腰かけて静かに語った。

「試合の前、俺には怒りしかなかった。それだけが俺のモチベーションだった。でも今日、それが終わった。10年前に棚橋との間に起こったことのおかげで俺は強くなった。そのことに俺は感謝している。ありがとう、棚橋」

そして日本語で語った言葉には、過去と今が交差する重みが込められていた。

「復讐は今日で終わりだ。今日初めてアンタのこと、心から尊敬するよ。ただ一つだけやり残したこと、それはアンタの一寸の灯火を消し忘れたことだ。それなら引退する最後の最後まで輝き続けてくれ。それが俺からの最後の願いだ」

試合後にはファンタズモが現れ、NEVER王座への挑戦をTAKESHITAに要求。そのファンタズモをロッキーが襲撃、新たな火種の到来を示していた。

試合を終えた棚橋は、試合後のバックステージで英語のコメントを残した。イスに座り、時折言葉を詰まらせながら、万感の思いを語った。

「俺は来年引退することを決めた。今日がアメリカ最後の大会になると思う。正直、寂しい。でも、本物の社長になると決めた。それでいい」

“逸材”が、アメリカのファンへの別れと感謝を口にした。

「もし身体が完璧なら、永遠にレスラーを続けたい。でも、アメリカのファンにきちんと“さよなら”を言えたことが嬉しい。この観衆を忘れることはない。目を閉じれば、あの声が聞こえる。本当に感動した。ありがとう」

最後に棚橋は胸に手を当て、言葉を噛みしめるように続けた。

「お願いです。これからも新日本プロレスを応援してください。俺がニュージャパンをもっと大きくします。ありがとう」

TAKESHITAの勝利は、ただの勝敗ではなく、プロレスという文化が紡いだ“10年の物語”に幕を下ろす一夜となった。そして、棚橋弘至のアメリカ最終戦は、引退を見据える中でなお、観客の心に響く“逸材”の魂を刻み込んだ。

<写真提供:新日本プロレス>

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