もうすぐデビュー1年の光芽ミリア。前代未聞の環境で唯一無二の体験を武器にする

4月21日のデビューからもうすぐ1年。SEAdLINNNG(
長崎県佐世保市出身の光芽は、親の仕事の関係上、引っ越しすることが多かった。長崎から大阪、広島、神奈川県横浜市へと移り、もちろんプロレスとは無縁の生活を送っていた。が、ある日偶然テレビでプロレスというジャンルを知り、興味を持った。試合中継ではなかったものの、女子プロレスラーの出演で、プロレスとは何か調べようと思ったという。そして、リングで闘うプロレスラーの姿にあこがれを抱いたのである。
「写真提供:SEAdLINNNG」
「はじめて知ったのは高校1年生のときだったと思います。気になって調べていくうちに、プロレスラーって強くてカッコいいと思うようになったんですね」と、光芽。そうなれば実際に見てみたいと、会場に足を運んだ。
はじめて見たライブのプロレスは、スターダムだった。その後もスターダムを何度か観戦。しだいに自分もプロレスをやってみたいと考えるようになっていった。そんな頃、ほかの団体も見てみようと出かけたのが、2022年6月10日、シードリングの新木場大会。ここで彼女は、プロレスラーになろうと決意する。しかも、シードリングに入ろうと決めたのである。
「なにか違うと感じたんです。ここは違うぞって思いました。強くてカッコいいバチバチの闘い。そういうの、(プロレス以外に)いままで見たことなかったので」
大会のメインは、中島安里紗&海樹リコ組vsSAKI&川畑梨瑚組。シードリングとカラーズ対抗戦の図式だった。衝撃を受けた彼女は、ホームページから練習生募集に応募。しかも両親には告げずに連絡をし、練習の見学に出かけていった。プロレスラーになると決めたから、学校もやめてしまった。あえて退路を断ったのか、それとも若気の至りか…。
「道場というものをはじめて見て、怖いなと思いましたね。それが第一印象です。しかも、YouTubeとかで見ていた人たちが実際に目の前にいて(トレーニングとはいえ)闘っている。すごいなと思いました。その数日後に体験ということではじめて練習に加わったんですけど、何もできなすぎて心が折れかけました」
「写真提供:SEAdLINNNG」
それまでのスポーツ経験といえば、趣味程度でやっていたバドミントンくらい。それでも、プロレスラーになりたいとの夢は潰えなかった。彼女はそのままシードリングに入門、練習生となった。が、ともにデビューをめざす仲間はいない。ただひとりの練習生だ。
光芽は、「ずっとひとりで、ずっと緊張していましたね」と当時を振り返る。それでも約1年半のトレーニングを経て、昨年4・21後楽園ホールの第1試合でデビューを果たした。初マットからいきなり他団体の選手と対戦。2AW笹村あやめのノーザンライトスープレックスで、3カウントを聞いた。
「デビュー戦は緊張しまくりで、泣きそうでした。闘っている間、いままで感じたことのない痛みで、エルボー一発でも起き上がれないくらいに強烈でした。ずっと泣きそうだったんですけど、とにかく向かっていくしかなかったです」