新日本プロレス、激震の春!内藤哲也・BUSHI・コブ退団で問われる次世代の覚悟

新日本プロレスが、大きな岐路に立たされている。
4月16日、団体から内藤哲也とBUSHIの退団が正式に発表された。数日前には、ジェフ・コブが退団を表明したばかり。
わずか数日の間に、団体を代表する存在が次々とリングを去っていく
――この春、新日本マットに吹き荒れているのは、ただの風ではない。まさに“激震”と呼ぶべき事態である。
驚き、戸惑い、そして一抹の不安。ファンの反応はそのまま、現在の新日本を取り巻く空気を物語っている。
SNSには「信じられない」「新日本はどうなってしまうのか」といった声が溢れ、静かなる動揺が広がっている。
無理もない。
内藤哲也といえば、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(L・I・J)の旗頭であり、“制御不能なカリスマ”の異名を持つ男だ。
2015年、圧倒的な個性と理屈を超えた存在感でユニットを立ち上げると、瞬く間に時代の寵児となった。
2020年1月の東京ドームでは、IWGPヘビーとインターコンチネンタルの2冠を手に入れ、名実ともに団体の顔となった。
その内藤が、新日本を離れる――。これは単なる退団ではない。「内藤哲也」という象徴が、団体を去るという意味である。
同じく退団が発表されたBUSHIも、L・I・J結成時から内藤を支え続けた功労者。
リングの内外を問わず、ユニットを彩る“漆黒のデスマスク”として、プロレスの奥深さと世界観を提示してきた。
そして、ジェフ・コブ。2019年に新日本マットに登場すると、その圧倒的なパワーとアスリート能力で一気に存在感を示した。
ユナイテッド・エンパイアの一員としてグローバル展開にも大きな役割を果たし、海外ファンからの支持も厚かった。
これだけの人材が、ほぼ同時に団体を去る。
だが――。
プロレスというものは、常に動いている。血の通った人間が創り出す“ドラマ”だからこそ、常に変化と成長を繰り返す。
これまでもそうだった。
三銃士が第一線から退いたとき、次に現れたのは“新時代のエース”棚橋弘至や中邑真輔だった。
棚橋が全身にダメージを蓄積しながらも団体を守った。
そして数年後、今度は“レインメーカー”オカダ・カズチカが登場し、新日本を再び世界へ押し上げた。
その流れの中に、今の新世代はいる。
海野翔太、辻陽太、上村優也。海外修行を経て帰還した彼らは、今まさに団体の“幹”になろうとしている。
内藤哲也に師事した辻も大きく成長を遂げ、新世代ではいち早くIWGPグローバル王座を戴冠した。
そんな辻と同期の上村はこれからもライバルストーリーが続いていくだろう。
そして海野はジョン・モクスリーという世界的スーパースターの相棒として、厳しいアメリカのリングで揉まれ、賛否はあれど東京ドームでも堂々とメインイベントを務める男に成長した。
プロレスリング・ノアでの国内武者修行から新日本プロレスに帰還した大岩も、超新世代として名乗りを上げている。
また実力者のグレート-O-カーン、HOUSE OF TORTUREで悪の限りを尽くしている成田蓮、そして海外で活躍するKONOSUKE TAKESHITAの存在。
TAKESHITAはDDTプロレス、AEWそして新日本プロレスの3団体所属の特別な選手となった。
新日本プロレスではどこのユニットにも属していないTAKESHITAが今後どのような動きを見せるのか?
また怪我で欠場中のジェイク・リーの復帰も楽しみだ。
BULLET CLUB WAR DOGSのデビッド・フィンレーも好敵手として新世代選手たちと激しいバトルを繰り広げていくことだろう。
そして外国人でありながら新日本プロレス愛を語り人気が爆発しているゲイブ・キッドや、次期IWGP世界ヘビー級王座へ初挑戦が決定しているカラム・ニューマンなど、新時代の欠片は所々に芽吹いている。
またボルチン・オレッグもG1 CLIMAXを経験し、今後のトップ戦線を沸かす選手として大注目だ。
いずれの選手も素質とスター性は兼ね備えている。
しかし彼らもまた発展途上である。
だが、これまでの新日本も、そうして乗り越えてきたのだ。
偉大なレスラーが退団しても、その背中を追う若き才能が必ず出てきた。これは、新日本プロレスという組織に息づく“サイクル”であり、“希望”である。
誰もが最初からスターではない。
去りゆく者の覚悟に、残る者の責任が宿る。
もちろん、団体の運営体制や選手との関係性について、今後見直すべき点があることも確かだ。
プロレスラーは、団体の“商品”であると同時に“資産”でもある。大切に育て、誇りを持たせ、夢を追い続けさせることが、団体の義務である。
だからこそ、選手の退団は団体への“問いかけ”でもある。
だが、新日本プロレスには、その問いに向き合い、乗り越えるだけの力がある。歴史がそれを証明している。
ファンにできることは、信じることだ。
リング上で命を燃やすレスラーたちに、声援という力を送り続けることだ。
新たな時代は、もう始まっている。
希望の芽は、すでにリングの上で芽吹いている。
未来の主役が、その手で物語を紡ぎ出す――それが、プロレスという“生き物”の醍醐味なのだから。
エールを込めて。「さあ、次は誰が時代を創るのか。誰が新たな風を起こすのか?」
その答えは、リングの上で見つかるはずだ。
新日本のリングには、未来へとつながる熱気が確かに存在している。
スターの退団は寂しくとも、新たなスターの誕生がそこにはある。
今後も新日本プロレスが時代を切り開き続ける団体であることを信じたい。
そして、激動の渦中にあるからこそ、新世代が輝く新日本プロレスの未来に、期待を込めてエールを送りたい。
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