病弱な少女が描いた夢”覆面女子レスラー”rhythmが自主興行で江戸川区に恩返し「観戦無料は感謝の形」

「自分のプロレスが“希望”になるように」
rhythmが語る自主興行『Belle Époque』と“美しき時代”のつくり方

4月25日、東京・タワーホール船堀にて開催される自主興行『Belle Époque』。主催するのは、JTO所属の若き覆面女子レスラー・rhythm。地元・江戸川区に根ざし、今回で4回目の開催となる本大会は、初の大ホール開催にして観戦無料。750人の集客を見込む大舞台に懸ける思いを訊いた。

――rhythm選手、4月25日にタワーホール船堀で行われる自主興行「Belle Époque」は、今回で4回目の開催になりますね。

rhythm:はい、自分の興行としては4回目になります。しかも今回は初めて大ホールでの開催なんです。これまで小ホールでやってきたんですが、今回は750人収容の会場で、すでに600人くらいの集客が見込めていて。しかも無料で観戦できるようにしたので、より多くの人にプロレスを届けられるんじゃないかなと思っています。

――無料観戦にした背景には、どういった思いがあるんですか?

rhythm:プロレスって、知らないと入りづらい部分もあると思うんです。でも一度見てもらえれば、絶対に面白さが伝わる。だからまずはハードルを下げたかったんです。あとは、協賛してくださった企業さんや、地元の方々の支援があってこそ実現できたことなので、本当に感謝しています。

――今回の会場は地元・江戸川区ですし、ご自身も含めて地元出身の選手が4人も出場されるとか。

rhythm:そうなんです。自分が声をかけて、同じ江戸川区にルーツのある選手たちに出てもらうことになりました。地元の人にとっても身近な大会になったら嬉しいですね。

▼マスクには江戸川区の名産である花火と金魚をデザイン

――23歳という若さで、すでに4回目の自主興行。行動力の源はどこにあるんでしょうか?

rhythm:自分がプロレスと出会ったのは、小さい頃に体が弱かったときでした。学校にも行けなくて、ゲームばかりしていた中で、『龍が如く』というゲームに出てきた新日本プロレスの選手たちを見て、「なんだこれは!?」って。そこからプロレスを見に行って、肉体同士のぶつかり合いに衝撃を受けたんです。夢とか希望とか、そういう力をもらいました。

――なるほど、プロレスとの出会いが人生を変えたんですね。

rhythm:そうですね。「自分みたいな体の弱い人間でも、こんなふうになれるんだぞ」と伝えられる存在になりたいと思ったんです。実際、自分はいまでも体は強くないです。旗揚げの記者会見のときも倒れてしまったり、練習中や試合後も大変なことは多いです。でも、それでもやってる姿を見せたい。体が弱くてもできるんだって、アピールしていきたいんです。

――rhythm選手は、かつて人工透析を受けていたと聞きました。そうした過去を踏まえて、「病院で興行をしたい」という夢もあるとか。

rhythm:はい、自分が小さいころ通っていた国立病院や大学病院の小児病棟の中庭で、いつかプロレスのリングを建てて興行をやりたいと思っています。当時の自分が、病室のベッドから見ていた景色に、今度は自分が立つ。プロレスで希望を届けられたら最高ですね。

――プロレスラーを目指したのは、TAKAみちのく代表への憧れもきっかけだったそうですね。

rhythm:最初は矢野通選手が好きだったんですけど(笑)、後楽園ホールで観戦したときに出ていなくて。そのときの第1試合が獣神サンダー・ライガー選手vsTAKAみちのく選手だったんですけど「なんだこの人は!?」って衝撃を受けました。そこからずっと憧れていて、TAKAさんの所属していたJTOに入りました。

――最初はご自身でも「絶対無理」と思っていたとか。

rhythm:そうですね。運動経験もなかったし、病弱だった自分にとっては現実的じゃないと感じてました。親も大反対でしたし。でも、JTOのプロレス教室に通ってみたら、思っていた以上に楽しくて。気づいたら本格的に取り組むようになっていて、高校3年生のときにデビューしました。

――高校生活と両立していたというのもすごいですね。

rhythm:午前中は学校で勉強して、お昼休みに抜け出して母に車で道場まで送ってもらって練習、また学校に戻って授業。今思うと、よくやってたなって(笑)。母の協力には本当に感謝しています。

――今回の「Belle Époque」に込めた思いを改めてお願いします。

rhythm:タイトルの「Belle Époque」は、「美しき時代」という意味です。この大会が、誰かにとっての“美しい時間”になるように。自分のプロレスが、誰かの希望や力になれば嬉しいです。

▼十文字アキラ&日高郁人 vs 前口太尊&高橋幸光
rhythm:この試合は自分が普段やらない“蹴り主体”のハードヒットスタイルで、後輩の十文字アキラのやりたいプロレスなんです。前口選手と高橋選手は江戸川区出身で、日高選手ともどもバチバチの試合をしてくれると思います。実は前口選手と会ったのは今年に入ってからが初めて。でも地元が一緒だとわかって、一気に意気投合しました。

▼ファイヤー勝巳&ボンバータツヤ&ユーク・カガトビ vs ガイア・ホックス&橋之介&瀧澤晃頼
rhythm:このカードは“ジュニアらしい”スピードと華のある試合を見せて欲しいです。プロレスを見たことない人に知ってもらうには、飛んだり跳ねたり、分かりやすく楽しい、スピードのある試合を期待しています。プロレスの入り口になるようなカードですね。

▼サンダー誠己 vs 宮本裕向
rhythm:「大会タイトルの“Belle Époque(ベルエポック)”って“美しき時代”という意味なんですけど、世代間を越えた対決がテーマで。19歳のJTO所属・サンダーにとっては、キャリアも年齢も大きく上回る宮本さんとの試合は試練だと思います。宮本さんは年間で多くの試合に出場するベテランなので、若手のサンダーとの試合を組んでみました。

▼ARA&赤間“AKM”直哉&安部行洋 vs 夕張源太&IBUKI&ヒロ飯島
rhythm:夕張源太&IBUKI&ヒロ飯島さんたちは“悪い人たち”なんですけど、ARAさんたちブレイキンをやっていて、年配の方々の先生もやっていて、それをオリンピックにもっていこうという活動をしています。このカードがすごいのが、ARAさん、安部さん、ヒロ飯島は江戸川区出身で同じ中学校の同級生で、中学時代に毎日プロレスごっこしてた友達なんです。今はそれぞれの道を歩んでいるけど、プロとして再びリングに立って“あの頃の続きをやろう”って言ってまして、そんな人たちが対戦するなんて夢がありますよね。

▼KEITA&MIYAMASA vs ヤス・ウラノ&PSYCHO
rhythm:ここは私の好きな“テクニシャン対決”ですね。KEITAは柔術とか上手なんですが悪いことをする。この中でMIYAMASAだけが若くて、KAIENTAI DOJOの1期生、2期生(ヤス・ウラノ&PSYCHO)を相手にJTO生え抜きの2人を当ててどういう化学反応が起きるのか見てみたいなと思って組ました。

▼Aoi&稲葉ともか vs 稲葉あずさ&米山香織
rhythm:今回の大会のコンセプトとして“インタレスティング”で“ファニーなプロレス”を届けるということで、ファニーなプロレスって言えば米山香織さんしかいないって思ってて。自分のデビュー戦で対角にいた方でもあるし、よくお世話になってたんで、6年ぶりに同じ大会に出てもらえるのが嬉しいです。本当は自分も試合したかったんですけど。デビュー戦の時にともかもいてその時は米山さんと組んでいたので今回は離して、ファニーな面白さを引き出して欲しいなって思っています。

▼メインイベント:GTO GIRLSタッグ選手権 柳川澄樺 &神姫楽ミサ vs 藤田あかね&rhythm
rhythm:藤田あかねさんとは今年に入ってデスマッチをシングルでやらせていただいて。自分が元々病弱だったこともあって周りから猛反対されて、TAKAみちのく代表も絶対にやらせないって言っていたんですけど。自分がどうしてもやりたくで、たくさんLINEしました。元々体重も52kgとかしかなかったんですけど、デスマッチをやるために10kg以上増量して、ようやく63kgに到達したんでやらせてくれとようやく実現した試合です。プロレスを見始めたのはTAKA代表の試合だったけど、現地で観て惹かれたのはデスマッチなんです。そこで戦ったあかねさんとはお互いに傷付け合って絆が生まれてタッグを組みました。柳川澄樺&神姫楽ミサとはずっと組んできて、最近できたGTO GIRLSタッグの王者で、もう輝い見えちゃったので、自分たちが奪ってより輝かせてみせようという魂胆です。今回の主催者だから当たり前にメインということではなく、メインに立つからには主役なりのカッコいいというか、プロレスラーらしい試合をして目立っていこうかなと思っています。

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