同じアイドルグループに在籍の神姫楽ミサが闘って実感。「中野たむは引退しない!」
メンバーとなり、しばらくすると「ダンスの先生」として中野がやってきた。中野考案の振り付けをグループで練習し、ステージで披露。気がつけば、「ダンスの先生」もメンバーのひとりになっていた。
「当時、自分ではたむと仲良くなったと思っていました。2人で遊びに行ったりもしたし、メンバーでたむの家にも行きましたよ。かわいらしい白を基調としたお姫様の部屋みたいでしたね。プロレスの話ですか? いっさいしたことないです(笑)。ただ、当時気づいたのは、たむってかなりの偏食で、お菓子とプロテインばかり食べてました。不思議ちゃんという印象ですね」
やがて、神姫楽、中野もグループを脱退、カタモミ女子は解散となった。疎遠になった2人だが、あるとき、神姫楽は中野がプロレスラーになったと知ることになる。
「ツイッター(現X)をフォローしたままになってて、そこで知りました。真逆の感じで、すごくビックリしましたね」
その後もアイドル活動は継続していた神姫楽。プロレスにハマるようになったのは、一緒に撮影会をおこなっていたアイドル仲間との会話がきっかけだった。
「ドラえもんの映画に棚橋弘至さんが声優として出ていたんですよ。それまでのプロレスラーのイメージとは違ってすごく華やかで、撮影会の控室で話題になったんですね。そこから見てみたいねという話になって、3人で会場に行ったんです」(3人のうち、神姫楽ともうひとりがプロレスデビューしたのだが、それはまた別の話)
しかし、棚橋を見ることなく試合が終わった。それは新日本プロレスではなく、ドラゴンゲートの大会だったのである。
「当時はプロレスという認識しかなくて、団体があることさえ知らなかったんです。きっと最後なんだろうと楽しみにしてたら結局出てこなくて(苦笑)。でも、ドラゴンゲートもすごくおもしろくて、そこからプロレスを何度も見に行くようになったんです。でも、やってみたいとは思いませんでしたね。スポーツやったことない自分には絶対に無理。ただ、生まれ変わったらプロレスラーになりたいとは思いました」
「写真提供:板井敦郎」
故郷・岩手発のみちのくプロレスのファンにもなった神姫楽は、TAKAみちのくがみちプロ時代に使用したジャージーのオークションを通じ、JTOの練習を見学する機会を得た。そこで彼女はなぜか練習生として紹介され、「2、3回やったら無理ですと言って逃げるつもり」で参加。ところがやっていくうちにおもしろいと感じ、プロレスをやってみたいと思うようになる。ちなみに、はじめての練習日には現・全日本プロレスの綾部蓮も参加。彼もまた神姫楽と同様、はじめて道場にやってきた日だったという。
リングで闘いたいとの思いが募るなか、TAKAは「いままで見た中でもっとも可能性を感じない。プロレスに関わりたいならリングアナをやってみたら」と提案した。彼女はこの要請を受け入れ、2020年6月に初コール。それでも選手への思いは捨てきれず、隠れて練習もおこなった。柳川澄樺、YuuRIといった同期の存在も大きかった。
そして同年11・11後楽園の6人タッグでデビュー。ところが試合は、今後が期待される同期2人とは異なり、神姫楽には最後通牒のマッチメークにもなっていたという。
「実際にはプロレスがいかに大変か、自分の無力さがわかるからということで組んでもらったんです。代表はリングアナに戻すつもりだったらしいですけど」