【仙女】里村明衣子が30年の現役生活に幕!“戦友”アジャとの共闘で5分延長戦でも気迫示す「夢以上のものを頂きました」

センダイガールズプロレスリングは4月29日、東京・後楽園ホールで里村明衣子の引退記念興行を開催し、30年の現役生活に一区切りをつけた。

1995年のデビュー戦と同じ地で迎えた最後の試合で、里村は長年の宿敵アジャコングと正面からぶつかり合い、有終の美を飾った。

里村は引退ロードの中で、仙女ワールド王座を約8年ぶりに戴冠。年明けに橋本千紘に敗れ王座から陥落したものの、依然としてリングでの存在感は際立っていた。

この日のメインイベントでは、パートナーの愛海とともに、アジャコング&現王者・橋本と対峙。団体の現在と過去、未来が交差する一戦となった。

試合開始前には小橋建太氏から花束を受け取ると、序盤から互いの意地がぶつかり、コーナーに追い込まれても下がらない。かつて団体を引っ張ってきた者としての責任、そして後輩たちに見せるべき背中がそこにあった。

終盤、アジャの一斗缶攻撃に苦しみながらも、里村は反撃の糸口をつかむ。

橋本への誤爆を誘い、隙を突いてアジャをリング中央に沈めた。

引退試合の最後に見せたのは、堂々たるスコーピオンライジング。3カウントを奪うと、館内には拍手と歓声が響いた。

決着後、アジャはマイクを手に「思えばお前との試合はいつもどっちかがぶっ倒れてたな。最後の最後でクソッタレが!」と語り、場内を沸かせた。

だがその後の提案は誰もが予想しなかった。「5分でいいから、里村明衣子とアジャコングが組んで試合をさせてくれ」と呼びかけ、急遽のエキシビションマッチが実現する。

橋本千紘、岩田美香、YUNA、彩羽匠、暁千華が名乗りを上げ、2対5のハンディキャップ戦がスタート。時間はわずか5分。

数の差をものともせず、里村とアジャは自らの力で押し返し、スコーピオンライジングで締めにかかるも、時間切れ。勝敗はつかなかったが、里村の誇りと覚悟は十分に伝わった。

引退セレモニーでは、長与千種をはじめ往年の盟友たちがリングに集い、WWEのスター選手からのビデオメッセージも届けられた。最後には新崎人生の姿も。場内の誰もが、里村の30年を称えた。

マイクを握った里村はファンへ最後のメッセージを届けた。

「本日は私の引退試合にご来場いただき、誠にありがとうございました」と切り出した里村は、デビュー当時から支えてくれた先輩、同期、後輩、そして応援してくれたファンへの感謝を丁寧に述べた。

「プロレスは素晴らしい。その思いは30年間まったく変わりませんでした」と力強く語り、デビュー当時に憧れた先輩たちのように、自らもスターを目指し、業界を引っ張る存在になると決意して歩んできた軌跡を振り返った。

10年目に所属団体GAEA JAPANの解散を経験。その後、新崎人生の導きでセンダイガールズプロレスリングを設立し、リーダーとして20年の歩みを進めてきた。

「うまくいかない時もありましたが、それでも“もっといい世界を、みんなが誇れる世界を見せてやる”と信じて進んできました」と、その胸中を明かした。

「夢以上のものを頂きました」と感謝の思いをにじませながらも、「叶わなかった夢もある。レスラーとして叶えられなかったことは、次のステージで必ず実現したい」と力強く宣言。

「明日からはプロレスラーではなくなりますが、これからもプロレスに人生を懸けていきます」と、プロレスへの変わらぬ情熱を示した。

最後は「本当に30年間、応援ありがとうございました」と頭を下げ、10カウント後、大きな拍手に包まれながらリングを後にした。

1995年4月、長与千種率いるGAEA JAPAN旗揚げ戦でデビュー。2005年にGAEA解散後、自ら立ち上げたセンダイガールズプロレスリングを牽引し、女子プロ界に数多くの後進を送り出してきた。国内外で高い評価を得て、WWEとの契約やNXT女子部門の臨時コーチ就任など、国際的な活躍も記憶に新しい。

「俺がここまで生き残ったのはお前の責任だからな!」とアジャが言ったように、里村の存在は後進だけでなく、ベテランにも影響を与え続けてきた。リングを降りても、仙女の象徴として、女子プロレス界を支え続けることになるだろう。

その歩みの終わりは、新たな道の始まり。里村明衣子の次なる挑戦が、再びプロレス界に新たな風をもたらすことになる。

センダイガールズプロレスリング
『里村明衣子 THE FINAL』
日時:2025年4月29日(火祝)11:30試合開始
会場:後楽園ホール
観衆:1660人(超満員札止め)

レフェリー:吉野恵悟、伊東幸子、和田京平
リングアナウンサー:ムーチャス入江、中島幸一郎

<試合結果>

▼第1試合 タッグマッチ 10分1本勝負
鈴木ユラ & ✗暁千華 vs 岡優里佳◯ & YUNA
(7:32 旋回式ダイビングボディプレス→エビ固め)

▼第2試合 タッグマッチ 15分1本勝負
ジャガー横田 & ◯尾崎魔弓 vs シン・広田さくら✗ & X
※X=新崎人生
(7:38 オザキック→片エビ固め)

▼第3試合 バトルロイヤル
◯水波綾 鈴木みのる✗
(20:14 OTR)
※X=彩羽匠、高橋奈七永、井上貴子、井上京子、神取忍、鈴木みのる
※脱落順:ソイ、ZONES、神取忍、加藤園子、彩羽匠、優宇、井上貴子、井上京子、高橋奈七永、高瀬みゆき、松本浩代、鈴木みのる

▼セミファイナル 6人タッグマッチ 20分1本勝負
VENY & レナ・クロス & ✗ニナ・サミュエルズ
vs
◯DASH・チサコ & 岩田美香 & Sareee
(14:10 ホルモンスプラッシュ→片エビ固め)

▼メインイベント 里村明衣子引退試合 タッグマッチ 30分1本勝負
橋本千紘 & ✗アジャコング
vs
◯里村明衣子 & 愛海
(22:55 スコーピオライジング→片エビ固め)

※試合後、アジャコングより里村へ「5分でいい、タッグを組んで戦いたい、対戦相手は名乗り出ろ」と要求。
これに対し、YUNA、暁、彩羽、橋本が名乗り出て、エクストラマッチが始まる

▼エクストラマッチ 5分1本勝負
△橋本千紘&彩羽匠&YUNA&暁千華(他多数、一瞬だけ with シン・里村明衣子)
vs
△里村明衣子&アジャコング
(5:00 時間切れ引き分け)

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