スターダム鉄アキラ、入社式直後のプロレス観戦でデビューを決心!

【WEEKEND女子プロレス#61】 

今年1月25日、鈴季すずとのシングルマッチでデビューしたスターダムの新人、鉄(くろがね)アキラは、新潟県柏崎市出身の24歳。彼女には、物心つく前からのプロレス体験がある。それは2歳か3歳の頃、父親に連れられて出かけた生観戦。どこの団体かはおぼえていないとのことだが、その記憶は鮮烈だ。

「父のヒザの上で試合を見ていたんですよ。そのとき、プロレスラーが私のオレンジジュースを奪って、対戦相手の顔に毒霧で噴射したんです。私の顔じゃなかったけどビックリしちゃって、大泣きした記憶があるんですよね(笑)」

 父親とは、テレビでよく一緒にプロレスを見ていた。“毒霧事件”以後の記憶はすべてテレビを通じてのプロレス。両親は離婚し、アキラは父親、妹は母親に育てられた。プロレスファンの父と2人でいることが多かったから、自然と父の趣味に付き合うようになったのだ。


「写真提供:スターダム」

 そして高校2年生のとき、父から「よかったら一緒に行ってみない?」と誘われ、新日本プロレスの会場に出かけてみた。自分の意志が伴う事実上の初観戦だ。そこでアキラは、テレビとは違う、ライブならではの魅力を知ることになる。

「プロレスって選手が作るのはもちろんですけど、選手だけではなく、リングも含め、お客さんも一緒になって作る空間なんだと感じました。会場で見ることによって、初めて気づいたんですよね」

 以後、彼女はライブでのプロレスを体感したいと、積極的に会場へ足を運ぶようになる。父に連れて行ってもらうだけではなく、友人も誘ったり、大学進学後はバイト代もプロレス観戦につぎ込んだ。

 では、そのあたりで将来プロレスラーになってみたいと思ったのか。アキラに聞いてみると…。

「いや、その頃はまだですね。自分はずーっとファンであって、やってみたいとは一度も思いませんでした。それで普通に大学を卒業して、新卒で就職したんです」

 しかし、就職先の入社日が、彼女の運命を変えることとなる。思ってもみないまさかの展開だ。

「就職はしたんですけど、もともとそこに入りたかったわけでもなく、希望していた業界には挫折というか縁がなくて、その会社に拾ってもらったような感じでした。それで入社式に行ったら、たまたまその日に後楽園ホールで新日本の試合があって、せっかくだから聖地で一度見てみたいと思い、入社式を終えて、その足で後楽園に向かったんですよね」

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