【新日本】棚橋引退ロードでザックに惜敗「時代を引っ張ってく男っていうのは、きっと頑固なヤツじゃないとできないと思う」

新日本プロレスは5月3日、福岡国際センターで『レスリングどんたく2025』2連戦の初日を開催した。
『レスリングどんたく2025』
日時:2025年5月3日 (土・祝) 16:30開場18:00開始
会場:福岡・福岡国際センター
観衆:2,903人
第5試合では、2026年1月4日に東京ドームで引退を予定している“100年に一人の逸材”棚橋弘至が登場。
IWGP世界ヘビー級元王者ザック・セイバーJr.との一騎打ちに臨んだ。
かつて幾度も激闘を繰り広げてきた両者が、今このタイミングで再び相まみえることに、ファンの期待は否応なく高まっていた。
試合は序盤から互いのスタイルを尊重するかのような丁寧な展開となった。グラウンドでの静かな攻防に始まり、立ち技での応酬へと移行。
棚橋は代名詞でもあるフライングボディアタックなどを織り交ぜるも、ザックは自身の得意とする関節技を軸に試合を支配し始める。
ネックツイストの連打、変型のサーフボードなど、身体の一点を狙いすました攻めは冷徹で、かつ執拗であった。
一方の棚橋も、それに対し機転の利いた逆襲を見せる。張り手で切り返し、得意のドラゴンスクリューでザックの下半身を徹底的に破壊。
特にロープを使っての変則的な攻撃は、意地と意図の両方が込められていた。勝負を分けたのは、終盤の僅かな判断と瞬間の連携であった。
ザックがスリーパーで捕獲し、続けてセイバードライバーを炸裂。これが決定打となり、3カウントを奪取した。
<試合結果>
▼第5試合 30分1本勝負
棚橋弘至ファイナルロード~縁(えにし)
棚橋弘至 ×
vs
ザック・セイバーJr. 〇
13分07秒 セイバードライバー→体固め
新日本の技術系譜を象徴するような一戦。ドラゴン殺法と関節地獄が交錯したこの試合は、ただの引退ロードの通過点ではなかった。いま、経験と信念を積み重ねてきた二人が、新たな未来をリングの上から提示した瞬間であった。
■試合後バックステージコメント
ザック「(※フロアに座り込んで、右ヒザをもみながら)お別れのドラゴンスクリューだな。社長からの最後の贈り物だ。彼のようにドラゴンスクリューをキメられるヤツはいない。ラッキーナンバー14だ。新日本プロレスでの8年間で、史上最も重要なプロレスラーの1人と14回シングルマッチをやった。100年に1人の逸材だ。つまり、人類史上1度きりのことだ。だがタナハシ、本当の仕事はこれからだ。新日本プロレスは地球上で最高のプロレス団体として50年間やってきた。だが、やるべきことは山ほどある。ミスター・シャチョー、シャチョー、忙しいレスラーを辞めたあとは、本気を出してくれよ。この団体にはやらなきゃならないことが、たくさんあるんだからな。しかし、あなたとリングをともにできたことは光栄だ、ヒロシ・タナハシ。毎試合がとても光栄なことだった。ヒロシ・タナハシがあまり見せることのないスタイルを引き出せたことに、俺は誇りを持つよ。それがプロレスだ。この団体の起源はテクニカルレスリングにある。多くの人々が離れている。歴史を見ても多くの人が去っている。俺はここに8年間いるし、今後もしばらくはいるつもりだ。お前らは“新世代”について話してるが、その次の世代が続くことになる。重要なのは、俺が“ベテラン”のトップにいるということだ。経験がある。この顔を見ろよ。マダ、ワカイヨ。37サイ。キャリアハ21サイ(21年)。俺はベテラン・テッカ—のビッグボーイだ。ツジとウエムラがガキのベルトで遊んでるが、俺は近いうちにヘビー級王者に返り咲くぞ。だからガキども、1人ずつ並んどけ。オジサンどもは片づけたからな。ワカイ世代のヤツら、全員まとめて相手してやる。ベルトを取り戻した瞬間から始まるぞ」
棚橋「(※ヒザを抱えるように座り込んで)ザックとは……昔からいっしょに大きくなって、大人になってたまたま出会った同級生のような感覚があって。何度も何度も闘ってきたけど、最後の最後で7勝、7敗かな? で、いくつか引き分けがあって(※正確には引き分け試合はなし)。五分に戻されちまった……。これは、このままじゃ終われないってことかもしれないし、ザックから僕に向けたはなむけかもしれないし……。ホントに、ヒザが悪くなって、機動力を失って、どう闘っていこうかって時にザックが現れて、こういう闘い方もあるんだっていう新しい気付きをくれた。ザック、お前は大恩人、大恩人だと思ってる。……そして、このニュージャパンをホームとして闘ってくれるザックにも、あらためて感謝の気持ちを伝えたいけど……。なんか勝ち星並ぶのがね、気持ち悪いなと思って……。これ、もう1回コンディション上げて、もう1回やれって言われてるのかもしれない。俺はとことん、自分中心に、前向きに考える男だから。そうと決めたら、また今から歩き出すよ。残り200何日、50何日(※正確には246日)。まだまだ、できることはいっぱいあるから。(※ゆっくり立ち上がり)ありがとうございました」
――久々に棚橋選手が本当に求めてるスタイルの試合ができたんじゃないですか?
棚橋「いや、いろんなスタイルがあって、今の新日本プロレスができてる。それはわかってるよ。ただ、僕はね、レスラーとして最終的に、自分自身を築き上げて、時代を引っ張ってく男っていうのは、きっと頑固なヤツじゃないとできないと思うから。ね? 時代、ファンの声援、同業のレスラー、いろんな目がある。いろんな目があるけども、自分が信じた道を行けるレスラー……待ってます」
<写真提供:新日本プロレス>
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