【新日本】内藤哲也&BUSHI、L・I・Jでの最後の闘いに感謝と覚悟「またお会いできるその日まで……アディオス」

新日本プロレスは5月4日、福岡国際センターでビッグマッチ『レスリングどんたく 2025』2連戦の最終日を開催した。
『ナッツRV Presents レスリングどんたく 2025』
日時:2025年5月4日 (日・祝) 13:30開場15:00開始
会場:福岡・福岡国際センター
観衆:5,407人(満員)
本大会では、内藤哲也とBUSHIが新日本プロレスを退団するラストマッチとして登場。LOS INGOBERNABLES de JAPON(L・I・J)の盟友である鷹木信悟、髙橋ヒロムと組み、本隊&Just 4 Guys連合軍の海野翔太、石井智宏、タイチ、TAKAみちのくと対戦した。
試合前、L・I・Jの4人は特設ステージから登場。BUSHIが涙をこらえるような表情を見せると、場内は大きな「BUSHI」コールに包まれた。
内藤は笑顔で拳を掲げ、ファンの「内藤」コールに応えるように先発を買って出るが、すぐにBUSHIに交代。試合はそのBUSHIとタイチの先発でスタートした。
BUSHIは場外戦を巧みに展開しつつ、海野と石井を一時排除するなど躍動。ヒロムと鷹木も加わり、タイチに連携攻撃を浴びせる。だが、Just 4 Guys側も反撃を見せ、TAKA、石井らが要所でチョップやサミング、ラリアットなどで主導権を奪い返す。
特に石井とヒロム、海野と鷹木の攻防では激しい打撃の応酬が繰り広げられた。鷹木が串刺しラリアットで海野をなぎ倒せば、海野もエルボー連打と延髄斬りで応戦。さらには両者が互いに追走式ラリアットを打ち合う壮絶な展開となった。
終盤、鷹木がTAKAに狙いを定めると、L・I・Jが結束を見せて一気に流れを引き寄せる。鷹木の「俺たちの時間がキタキタキター!」の叫びを合図に、L・I・Jが4人同時の低空ドロップキックを敢行。
続いて、鷹木が「MADE IN JAPAN」を狙うも、海野がドロップキックでカット。混戦の中、内藤がタイチにマンハッタンドロップ、鷹木が串刺しラリアット、ヒロムがトラースキックを放ち、最後は内藤のデスティーノが炸裂。
場外ではBUSHIが海野にトペ・スイシーダを放ち、リング上では鷹木がTAKAのジャンピングキックを耐え切り、パンピングボンバーからバーニングドラゴンで3カウントを奪取。L・I・Jが退団試合を白星で飾った。
試合後、内藤とBUSHIはリングで四方に向けて一礼し、仲間とともに拳を突き上げてリングを後にした。観客の「ありがとう」コールが場内に響く中、内藤哲也とBUSHIは新日本プロレスでの最後の戦いを終えた。
<試合結果>
▼第6試合 30分1本勝負
TAKAみちのく ×
タイチ
石井 智宏
海野 翔太
vs
BUSHI
高橋 ヒロム
内藤 哲也
鷹木 信悟 〇
10分05秒 バーニングドラゴン→体固め
■試合後バックステージコメント
鷹木「オイオイオイ、新日本プロレス、ズルいじゃないの、試合前の映像。ドライの俺でも、グッときたよ。ま、感傷に浸る人間じゃないっつったけど、正直、感慨深いものあるよね。内藤とBUSHIがいなかったら、おそらく俺は新日本には来てなかったろうね。内藤とBUSHIとの、浜口道場からのつながりがあったから、俺は新日本に来て、今こうして新日本で闘うことができてる。そのことに関しては、内藤とBUSHIには感謝してるよ。ただ、残る俺、ヒロム、陽太……止まるわけにはいかないからね。LOS INGOBERNABLES de JAPONとしては、まあおそらく……おそらくっていうか、見ての通り、今日で一つのピリオドを打つことになるでしょう。俺もね、ちゃんと数えたわけじゃないけど、21年目で7年7カ月、それだけいたユニットっていうのはここしかないから。これはたぶん、引退するまで……いや、引退しても忘れることはないだろうね、L.I.Jに関しては。ただ、別に仲たがいしてね、割れるわけじゃないんで。INGOBERNABLES、制御不能という部分は胸においてね、これからも我が道を驀進したいと思う。前にも言ったように俺は、俺のやるべきことをやるだけ。な、止まっていてもしょうがない。こうやって陽太はGLOBALのタイトルマッチやってるんだ。鷹木信悟も! 止まっていられるか。チャンスがあれば、すぐにでも! 動き出すからな」
ヒロム「このシリーズ、何も悲しくなかった。L.I.J最後のシリーズだっていうのに、内藤さん、BUSHIさんが最後だっていうのに、何も悲しくなかった。それは、石井智宏という男がいたからかもしれないね。もう、俺が石井さんに対して、こんなふうに言ってる時点で完敗だよ。石井さん……まあ、そんなつもりないだろうけど、ありがとうございました。必ずどこかで、闘いましょう。でもさ、悲しくないわけないじゃん。何年いっしょにいたと思ってる? 今年で(L.I.Jは)10年目ですか? そのうち9年はいっしょにやってて、内藤さんとBUSHIさんはその前からですよ。ね? 内藤さんはさらにその前からですよ。BUSHIさんにもメチャクチャお世話になりました。まあ、BUSHIさんのね、プロレス界一の人脈を持ってるような人間だったら、別にどこ行っても成功するでしょう。何も心配しない。内藤さんとなんてさ、練習生の頃からいっしょなんですよ。もう、デビューして15年だから、16年ぐらいいっしょになんのかな? ロス・インゴに入ってからもずっといっしょにいたから、悲しくないって言ったらウソですよ。俺は内藤さんのおかげで、今ここに自分はいるってちゃんと理解してるから。わかってるから。内藤さんとは、悲しいですよ。でも内藤さん、言ってたよね? オカダさん、中邑さんが辞めて、あの2人がリング上で泣いちゃってるときに、内藤さん、こう言いましたよね。『泣くぐらいなら、最初から新日本プロレス辞めなきゃいいじゃん』って。なに広島で泣いてるんだよぉ。だったら、新日本プロレス辞めなきゃいいじゃん……とは言わないですよ。泣くに決まってるよ。でも、俺と内藤さん含め、L.I.Jメンバー、ティタンも入れて6人は(※自身の左胸を拳で軽く叩いて)ここでつながってるから。今日で一つの区切りかもしれないけど、ここでつながってるから。ま、いつでもね、会えるでしょう。だから、とりあえず内藤さん、BUSHIさん、アディオス。いや、アスタルエゴ。……(※控室に歩を進めながら小声で)どうしよっかなあ? なにしようかな? どうしよ、どうしよ……」
BUSHI「(※時折、言葉に詰まり、顔を上に向けて涙をこらえるような仕草を見せながら)ふう……(※とため息をつき)、よし……。この、退団発表がされてから、今日という日がね……なんかすごく、長く感じたなって。ま、でも、終わってみればアッという間だったわ。ンー……ま、振り返ると、前日本プっロエスからレンタル移籍して、13年か? 13年、この新日本プロレスのリングに移籍してそして、所属になって長くキャリアを過ごしたよ。特にこのL.I.Jになってから、ほんとに濃かったな。ふう……。内藤哲也がさ、内藤哲也がいたから……内藤の決めた決断に、俺も合わせて退団を決めた。俺のプロレス人生を変えたのは内藤哲也。だからこの決断に悔いはない。今日でLOS INGOBERNABLES de JAPONは、まあ形上、終わってしまうけど、俺の中ではこの先もずっと、続いてくよ。俺は別に今日で引退するわけじゃないからさ。体だって元気だし。ね? 引退するわけじゃないんだ。ただ自分の手でプロレスラー人生の残り少ない、あと何年やるかわかんないが、その砂時計を自分の手で引っ繰り返したつもり。これからも楽しく、やってくつもりだよ。エンセリオ、マ・ジ・で……」
内藤「(※報道陣を見渡して)あれ?なんだ、いつもより人数多いんじゃないの?どうしたのかな?今日、シリーズ最終戦だから多いのかな?昨日、俺、バックステージコメントで、ここ福岡国際センターでの思い出っていったら、“主役”って言葉を初めて使った場所だって話をしたんだけど、覚えてる?エキスパート、覚えてる?覚えてる?」
--はい。
内藤「もう一つあったんだよ。ここ福岡国際センターでの思い出……それは、2011年8月1日、ここ福岡国際センターで何がありましたか、エキスパート?」
--当てていいんですか?
内藤「はい」
--『STARDUST』を初めて使った……。
内藤「正解。俺の入場曲、『STARDUST』を初めて使った会場が、ここ福岡国際センター。なんかいろいろと縁のある会場だなって、なんか改めて、ウーン……昨日、ベッドに寝転びながら思いましたよ。ま、今日、ここ福岡国際センターを最後に、俺はこの新日本のリングを離れるつもりではありますが、もうここまでフリーとしてずーっと、今年2月1日から新日本のリングに上がってたわけで。わかんないよ、次のシリーズもフリーとして、またいるかもしんないからね。あまりだから、悲しまないでよ。次のシリーズ、その次のシリーズ、その次のシリーズ、来年、再来年、いつかわかんないけどさ、ま、なんなら新日本のリングかどうかもわかんないけど、またどっかで会えるでしょう。そのときを楽しみにお待ちください。じゃあ、またお会いできるその日まで……アディオス」
石井「ヒロム、お前とは持ち越しだな。お前も俺もその前に、やることあんだろ。な? お前は『(BEST OF THE)SUPER Jr.』だろ。結果出してみろ。俺は結果を出さなきゃいけねえ試合が2つある。まずは、タカタイチ興行。ザック、そして秋山準! 秋山、一丁もんでやるよ。それからSTRONG(無差別級王座防衛戦)。(相手は)モロニーだな。テメエに2度目はねえからな」
海野「…………内藤さん、BUSHIさん、今、どういうお気持ちですか? あなたのおっしゃってた、『新日本プロレスから去る者はとっとと消えろ』っていう言葉。どういう心境で……。俺はそんなこと言わねえぞ。今まで何年、何十年、内藤さん、BUSHIさんが新日本プロレスで培ってきたもの、やってきたもの、功績っていうのは、多大なもんじゃないかな。内藤さんが、BUSHIさんが新日本プロレスから消える。必ず後悔させてやる。新日本プロレスを出ていって、その選択が間違ってたって後悔させてやる。そのぐらい今残ってる人間が、若い選手が、新日本プロレス盛り上げて、今以上の、今までに見たことのない高みに、新日本プロレスを上げるぞ。それまで……」
タイチ「若い選手って言ってたけど、まだ俺たちもいるぞ」
海野「もちろんです。みんなでやりましょう。みんなでやりましょう。“NEVER SAY NEVER”なんで。それまでアディオス」
タイチ「翔太が言った通り、俺ら残った者は俺らで、あの2人が後悔するような新日本プロレス、“辞めなきゃよかった”、そう思う新日本プロレスを、去っていった全員に思わせるようにしなきゃいけないんだ。それはもう、逆によ、今回のことで全員、一丸となったんじゃない? でも改めて1人ひとりがその気持ち持って、今からまた、新日本プロレス再生が始まる。若い力も大事だ。でも、棚橋、オカダ、内藤がいた時代、支えてきた俺らの力も必要だろ、新日本プロレス。若い連中だけじゃ成り立たねえだろ? 俺と石井智宏、後藤、YOSHI-HASHI……俺らが立ちはだかって、新日本プロレス若いヤツら全員、もっと今まで以上にしていくから。そして、その上で俺らも、生き残っていく。あきらめたわけじゃないんだ、俺らも。この先、俺とトモと石井で、必ずタッグベルト獲って、改めて中心なってやる。で、その先『G1』あるんだろ? 今年はどうすんだ? 今年も、俺やトモ、外す気か? ええ? どうだ、じゃあ、次、タッグ(のタイトルマッチ)やるんだろ? やらせんだろ? まだ決まってねえけど。タッグベルト俺らが獲ったら、無条件で(『G1』に)出れるよな? なあ? タッグベルト1回獲ったぐらいの若造が、今日、IWGP(世界ヘビー級王座に)挑戦すんだよ。だったら、俺やトモは、なんだ? それほどのことで、手ぇ届くんだ、あれは。俺なんてよ、1度も手ぇ届いてねえんだ。そんな連中によ、挑戦権あんだったら、俺はいつでもあんだよ。な? いいか、タッグベルト獲ったら、やらしてもらうぞ。そして『G1 CLIMAX』、無条件で出せよ。予選会? オイ、予選会からでもやってみろよ。な? テメエらが持ってくるもの、全部(クリアして)見せつけてやるよ。そして何度も言うぞ、今年、『G1』優勝、最高年齢、最高記録、更新してやるよ。今まで持ってた長州力の44歳。今年は俺、超えるぞ、45歳。俺が、その記録、更新してやるよ。『G1』最年長優勝記録、更新してやるから。全部それを、見せつけてやるから。関係ねえ、誰が出てこようが、俺がやるから。安心しろ。内藤、BUSHI、この世界、またどっかで、どっかで必ず会うことがあんだよ。それまで楽しみにしとけよ。いつか、オファー出すよ。またどっかで会おうぜ。じゃあ……」
※TAKAはノーコメント
内藤とBUSHIの新日本プロレス退団は、L・I・Jというユニットにとって一つの節目となる。だが、「INGOBERNABLES、制御不能という部分は胸においてね、これからも我が道を驀進したい」と語った鷹木の言葉通り、それぞれの道を歩み始める時間が来た。
新日本プロレスのラストマッチは一旦幕を下ろしたが、その余韻は確かに福岡のリングに残されたままである。
<写真提供:新日本プロレス>
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