【新日本】辻陽太が上村との“同期対決”制しグローバル王座V4、そしてL・I・Jが再集結「俺たちは“制御不能”を忘れない」

新日本プロレスが誇る春のビッグイベント『レスリングどんたく』。5月4日、福岡国際センターで行われたシリーズ最終戦のセミファイナルでは、IWGP GLOBALヘビー級王座を巡る同期対決が実現した。
『ナッツRV Presents レスリングどんたく 2025』
日時:2025年5月4日 (日・祝) 13:30開場15:00開始
会場:福岡・福岡国際センター
観衆:5,407人(満員)
王者・辻陽太と挑戦者・上村優也。共に2020年デビューの同門が、約9か月ぶりとなるシングル戦で再び拳を交えた。
この一戦の発端は、4月5日の両国国技館大会にさかのぼる。EVILとの防衛戦を制した辻は、マイクで上村を次期挑戦者に指名した。会場がざわめく中、上村は即座に応じた。
「“あの日”のモヤモヤを払拭するためにも、いまの辻と戦いたい!」。そして「あの日」とは、2023年8月10日のG1 CLIMAX公式戦、上村が勝利したものの右腕を負傷し、長期欠場へとつながった試合である。
時を経てリングに戻ってきた上村にとって、このタイトル戦はただの王座挑戦ではなかった。自らの存在を証明し、過去を乗り越えるための闘いであった。
序盤、両者は慎重に探り合いながら組み合い、バックの取り合いからグラウンドでの攻防へ。立ち上がると、上村が攻勢に出る。だが、辻は巧みに右腕を集中攻撃し、試合の流れを徐々に掌握していった。
ロープを駆使して痛めつけ、鋭い蹴りと肘で的確にダメージを重ねる様は、チャンピオンとしての自覚と冷静さを感じさせた。
しかし、上村も引き下がらない。故障した右腕をかばいつつも、チョップやスープレックスで果敢に立ち向かい、幾度もカウンターで流れを引き寄せる。復帰後とは思えぬ動きと気迫に、観客席からは自然と声援が高まっていった。
一進一退の攻防の末、上村は得意のダイビングボディアタックを投下。だが、ここをかわした辻が一気に形勢を逆転する。
腕ひしぎ逆十字を極め、フィニッシュの布石を打つと、最後は意地と意志を込めたジーンブラスターで3カウントを奪取。壮絶な同期対決を制し、4度目の王座防衛に成功した。
<試合結果>
▼セミファイナル(第7試合) 60分1本勝負
IWGP GLOBALヘビー級選手権試合
<第4代チャンピオン>
辻 陽太 〇
vs
<チャレンジャー>
上村 優也 ×
23分43秒 ジーンブラスター→片エビ固め
※辻が4度目の防衛に成功
勝利の余韻に包まれるリング上。辻は勝ち名乗りを受けながら、うつ伏せに倒れる上村を見つめた。その表情は、勝者としての誇りと、同志への敬意を感じさせる静かな熱を宿していた。
試合後、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの仲間である高橋ヒロム、鷹木信悟、BUSHI、内藤哲也が登場し、勝利した辻を囲んで記念撮影。団体を牽引するユニットの中心として辻が確実に存在感を増していることを示す場面であった。
続けて5人はグータッチを交わし、内藤とBUSHIが先にリングを下りる。これを見届けた辻がマイクを手にする。
「内藤さん、BUSHIさんがいなくなるということは、ロス・インゴ、一つの区切りかもしれない。でも俺たちは“制御不能”を忘れない。いつまでも心のどこかでつながってる。またどっかで会おうぜ!」
感慨深げに語る辻の言葉に、内藤は右腕を突き上げて応え、BUSHIも「ADIOS」の文字が記されたマスクを指差しながら花道を去った。
辻は続けて「俺はIWGP GLOBALチャンピオンだ! このリングでこれからも戦い続ける!」と高らかに宣言。ライバル・上村、そして因縁の相手ゲイブ・キッドの名を挙げ、「次は誰と戦おうか?」と問いかけた。
そこに姿を現したのはゲイブ・キッド。リングインすると「2月の大阪で俺を倒してはいない。6月15日、大阪城ホールで決着をつけよう!」と挑戦を表明した。
ゲイブがリングを後にすると、辻は「俺たちの新日本プロレスを見せてやろうぜ! 新日本プロレスよ、覚悟はいいか!」と叫び、ベルトを高く掲げて大会を締めくくった。
この試合は、単なるタイトルマッチにとどまらない意味を持っていた。同期として、ライバルとして、そして新時代の主役としての自負を胸に、それぞれが立ったリング。敗れた上村もまた、覚悟と覚醒を示した闘いであった。辻はこの勝利をもって、IWGP GLOBAL王者としての道をさらに前進させることとなる。
今後、辻がどのような戦いを見せていくのか。そして、上村が再び立ち上がり、次のチャンスを掴む日はいつなのか。福岡のリングで交差した同期二人のドラマは、まだ序章に過ぎない。
■試合後バックステージコメント
上村「(※肩を借りてインタビュースペースに着くと、両ヒザを床につき、右ヒジを押さえて)はあ……。(※床に頭をつけ、少し顔を上げて)悔しい……。くやしい。(※上体を起こし、片ヒザ立ちになって)今日、負けたけど、ベルトは獲れなかったけど、辻は倒せなかったけど、負けてねえよ。(※立ち上がる)腕がちょっと痛いぐらいで、俺はまだピンピンしてるよ、この通り。こうやってバックステージに来て話す気力も体力も残ってる。
(※両腕を広げてみせて)今日は負けたけど、次、勝つためにまた明日からいつも通り、朝起きてトレーニングして、いっぱい食べていっぱい寝て、それだけだ。何も変わらない。(※両腕を広げて)俺はまだ元気だ。体力、気力、あるんだ。次だ。次、次こそ勝つ。
まだ俺たちの同世代のトップは、辻が走ってんのか、ベルト持ってるから。違えよ。ベルトなくても、俺がアイツを抜いて新日本プロレスでトップに行って、俺が明るくみんなを照らして引っ張っていきます。ありがとうございました」
辻「なあ上村、わかってるだろうが、俺とお前の戦いは、これでは終わらない。もしお前が、これで終わりだと思っているならば、お前は太陽にすらなれない。言わなくてもわかるよな。そしてゲイブ! いいじゃねえか、あの日の、大阪の続きをやろう。あの日よりも大きな大阪の地、大阪城、『DOMINION』でな。さっきも言ったが、見せていこうぜ、俺たちの時代を。俺たちが背負っていく新日本プロレスをな」
ゲイブ「何度言わせんだよ。何回言えばわかるんだ!? 新日本プロレスを未来へ導くのは誰だ!? この団体を支えられるのは誰だ!? 全てを背負う覚悟があるのは誰だ!? 違うって言ってんだろ。間違いなくショータ・ウミノじゃない。ウエムラでもない。問題は、ゲイブかツジかってことだ。オオサカではっきりさせようじゃないか!」
<写真提供:新日本プロレス>
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