30年と2週間の現役生活にピリオド 里村明衣子のラストスパートを振り返る
「写真提供:センダイガールズプロレスリング」
1月31日、G・馬場追善興行での奈七永戦は15分時間切れ引き分け。一転して2・3新宿はDDTに参戦した。髙木三四郎デビュー30周年大会で里村が対戦したのは、髙木を“with”としたシン・髙木三四郎ことシン・広田さくらだった。2月11日には千葉の2AWで笹村あやめと闘い、16日には後楽園で前代未聞のワンマッチ興行。試合は本当にウナギ・サヤカvs里村明衣子の1試合のみだったものの、話題が話題を呼び、プロレスの聖地は超満員のファンで膨れ上がった。ウナギのプロデュース力と里村プロレスの説得力が最高の形で爆発したのだ。また、里村の引退ロードがこの興行からさらに加速度をつけたと言っていいだろう。
2月下旬にはNXT UK時代をすごしたイギリスに渡り、26日にプログレスのロンドン大会で東京女子に来日経験のあるリオに勝利。24日には「イチバンレスリング」と題した特別興行がロンドンで開催され、“アイアン・メイデンの姪”レイン・レイバークーセンとのタッグで元・仙女ワールド王者ミリー・マッケンジー&ニーナ・サミュエルズ組を破ってみせた。ニーナは17年に里村が初参戦したイギリスEVEの現王者で、里村が巻いていたプログレス女子王座も現在保持という2冠王。里村引退に合わせるように仙女の3・19代々木、4・29後楽園にも参戦しているのだ。
「写真提供:センダイガールズプロレスリング」
3月には仙女に戻り、3・2福島で水波綾&岡優里佳とのトリオでアジャ&橋本千紘&ZONESと6人タッグマッチ。橋本とは仙女ワールド王座戦に向けての前哨戦だった。3・16大田区では東京女子に参戦し、プロレス専念を間近に控える荒井優希との異次元対決が実現した。プロレス一本化を決めたとはいえ現役アイドルとの対戦だけに里村の評価が気になったが、試合後には「こんなにいい選手がいたんだと驚いています」「間違いなく女子プロ界の未来を背負う」と絶賛した。
そして迎えた3・19国立代々木競技場第2体育館は、仙女史上最大のビッグマッチ。メインは王者・里村が橋本の挑戦を受けるワールド王座戦で、最後は橋本が勝利。橋本は6度目の同王座戴冠で、里村とのシングルすべてをタイトルマッチで勝利し、4勝0敗という驚異的な数字を残してみせた。とはいえ、里村は「(引退まで)まだ1カ月ありますので」とコメント。モチベーションが落ちたかの様子はまったくうかがえなかったのである。
「写真提供:センダイガールズプロレスリング」
3月29日には台湾NTWで里村&岡組vs愛海&シャンシャン組。日本の試合を直輸入する形で、これが現役最後の海外遠征となった。wave4・1新宿ではシン・広田とシングルマッチ。最終的には里村が勝ったものの、あえて広田の土俵に入り込んだ里村が立て続けに2本フォールを取られるという衝撃(?)の展開。もしかして、キャリア終盤で一皮むけたか?
その2日後には別の意味で衝撃の試合だった。鈴木みのるとの最初で最後のシングルが、仙女・新宿大会で実現したのだ。鈴木の熱い要望で決まった試合は、里村がボロボロにされることでかえってメッセージ性の高い闘いとなった。この試合を見て若い選手が何を感じたか、そこに里村は期待している。
翌日は同所でのMarvelousに登場。スターダムでのデビュー戦、マーベラス旗揚げ戦で胸を貸した彩羽匠とシングルで闘った。試合は彩羽が長与伝授のランニングスリーで、里村から悲願の初勝利。