30年と2週間の現役生活にピリオド 里村明衣子のラストスパートを振り返る


「写真提供:センダイガールズプロレスリング」

 その翌日の後楽園でOZアカデミーに参戦。デビュー戦の相手でAAAWジュニアタッグ王者時代のパートナーでもある加藤園子と組み、同日デビューの永島千佳世、そしてGAEA時代に闘ってきた尾崎魔弓とタッグで対戦。この試合で加藤が11月での引退を発表、里村に続き、時代の変遷を実感させた。

 15日、16日はともに後楽園で、男子プロデュースの大会に参戦。4・15拳王チャンネル主催興行でNOAHの拳王とエキシビションながら5分間肌を合わせた。4・16小橋建太プロデュース「フォーチュンドリーム」では女子の試合が10回目の大会にして初めてメインを飾り、“チーム200キロ”橋本&優宇組が里村&Sareee組というドリームチームを粉砕。フィニッシュは代々木と同じく橋本から里村へのパワーボム。現・仙女王者が里村を返り討ちにした形だ。


「写真提供:センダイガールズプロレスリング」

 引退ロード本格スタートの初戦でも対戦した広田が里村引退により、4・23新宿で緊急自主興行を開催。「最後に遊びましょ」とのサブタイトル通り、広田はシン・里村明衣子に扮してホンモノと完成度の高いタッグを結成。しかも相手が加藤&永島組というGAEA一期生コンビだけに、ハチャメチャかつエモーショナルな試合になったのである。

 その翌日もまた、エモーショナルなカードが組まれた。天龍プロジェクト4・25新宿で、里村が師匠・長与とタッグ結成、YUNA&暁千華組という、仙女&マーベラスの若手ホープを迎え撃ったのだ。引退ロード終盤にきてまさかの師弟タッグ。今後は同じ立場として選手を育て、団体間で競い合っていくことになりそうだ。

 仙女4・26は里村最後の仙台大会。里村は仙女旗揚げメンバーであるDASH・チサコと組んで松本浩代&水波綾組と対戦。水波はGAEA最後の新人で解散とともに引退、しかし仙女に入団しキャリアを復活させたいきさつがある。翌27日はスターダムの横浜アリーナに参戦し、他団体ラストマッチ(里村&岩田美香&YUNA組vsなつぽい&安納サオリ&さくらあや組)。しかも里村にとって、これが最初で最後の横浜アリーナだったことにもなる。


「写真提供:センダイガールズプロレスリング」

そして、4・29後楽園の「里村明衣子 THE FINAL」。里村は愛海をパートナーに抜てきし、彼女のキャリアになくてはならないアジャと橋本を一度に迎え撃つという、フィナーレにふさわしい豪華カードとなった。そして試合は、愛海のアシストを得て里村がアジャからフォール勝ち。さらにはアジャの要求から里村&アジャ組が実現し、リングに上がってきた選手たちと5分間のエクストラマッチも。大団円のエンディングだ。

 この30年と2週間でこなした試合は1000以上。その経験と知識を活かし、今後はプロデューサーの立場で仙女を、女子プロレスを盛り上げていく。里村の築き上げるプロレスがどうなっていくのか。今後も目が離せないことだけは間違いない。


「写真提供:センダイガールズプロレスリング」

<文:新井 宏>

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