【新日本】『BOSJ開幕戦』高橋ヒロムがKUSHIDAを撃破!かつての“外様”へ揺れる想い語る「言えないんだけど、深いこと言われたな」

新日本プロレスは5月10日、千葉・YohaSアリーナ(千葉公園総合体育館)にて『BEST OF THE SUPER Jr.32』の開幕戦を開催した。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年05月10日 (土) 15:00開場16:00開始
会場:千葉・YohaSアリーナ ~本能に、感動を。~ (千葉公園総合体育館)
観衆:1,000人
Aブロック公式戦としてKUSHIDA対高橋ヒロムの一戦がセミファイナルで実現した。両者の対戦は昨年の同大会初戦でも組まれており、その際はKUSHIDAがホバーボードロックで勝利している。1年を経て迎えた再戦は、ヒロムにとって雪辱と最多優勝記録更新への第一歩を懸けた戦いであった。
開始早々、KUSHIDAはトップコーナーからの奇襲を狙うが、ヒロムも落ち着いた立ち回りで応戦。互いにスタートから自分のリズムを押し付けようとする中、ヒロムは徹底してKUSHIDAの脚を攻め続けた。場外戦からリング内へと戦場を移しても、膝を重点的に狙い、膝十字固めやレッグロックを駆使し、相手の機動力を封じ込めにかかった。
一方のKUSHIDAも得意の関節技で反撃。腕への集中攻撃からホバーボードロックに持ち込むなど、昨年と同様に勝機を見出そうとした。しかし、ヒロムは今年の一戦に向けて冷静さと持続力を身につけていた。
KUSHIDAの動きを読み切る場面も多く、終盤にはかつてない落ち着きを見せながら攻防を制し、最後は「マキシマム ザ ホールディング 第二形態」でKUSHIDAを仕留めた。
<試合結果>
▼セミファイナル(第7試合) 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.32』Aブロック公式戦
KUSHIDA ×(1敗=0点)
vs
高橋 ヒロム 〇(1勝=2点)
13分03秒 マキシマム ザ ホールディング 第二形態(ダイスケはん命名)
この勝利により、ヒロムは初戦白星発進。開幕カードでの直接対決にリベンジを果たすと同時に、5度目の優勝に向けて順調な滑り出しとなった。
試合後のコメントでも、ヒロムはこの一戦に特別な想いを抱いていたことを明かしている。
「いやぁ、負けたのに長いこと喋ってたんですかね、KUSHIDAさんは。流石だ」と語り出したヒロムは、若手時代からのKUSHIDAへの感情を振り返った。「ヤングライオン時代に外から入ってきた選手っていうのはね、だいたい嫌なもんだよ。KUSHIDAさんだろうがBUSHIさんだろうが最初は嫌いなんだよ」と、素直な心情を吐露。しかし、15年のキャリアを重ねた今、KUSHIDAの存在に対して敬意の念も芽生えたようで、「勉強になるな、見習わなきゃなって思うことがたくさんある」と素直に語った。
さらに試合後、KUSHIDAから何らかの意味深な言葉をかけられたことも明かし、「言えないんだけど、深いこと言われたな」と、その余韻を噛みしめていた。とはいえ、「一緒に組むか?」と誘われていたらどうしていたか、という仮定には「組んじゃったかもしんねぇな」と笑いを交えて語りつつも、「そんなことはなかったね」と締めくくった。
コメントの最後では、勝利して得られた勝ち点が2点であることを確認し、「2点! 2点かぁ。みんな2点なんですか?」「どうにもなんないですか? 岡本さんでも?」と冗談めかして報道陣を笑わせる場面もあり、試合後の痛みの中にもヒロムらしい軽妙さが滲んでいた。
BEST OF THE SUPER Jr.32のAブロックは、初戦からその実力と意地がぶつかる名勝負で幕を開けた。今後のリーグ戦でも、両者がどのような戦いを見せるか注目が集まる。
■試合後バックステージコメント
KUSHIDA「(※コメントスペースに来ると座り込んで)僕がいない間の出来事ですんで、どういう事情か知らないけど、この新日本プロレスのリングを去った人間の亡霊に負けちまったよな。まぁヒロムもこのシリーズ、“vs新世代”と言っておりましたが、なんかねちょっと世代抗争ってのも自分の柄じゃないんで、原点を見つめると僕はやっぱりプロレスを漂流していて、プロレスに興味があって右から左まで全部知りたい。そういう意味で新日本プロレスの生え抜き、道場でやってること、それにやっぱり興味があるんですよね。だから教わりたいんですよ。令和、まぁ彼らが育ったのは平成、昭和、その上野毛新日本道場の教え、雰囲気、それが生え抜きと言われる人たちのアイデンティティになるわけでしょ。だから藤田晃生、ワト、俺にどうか新日本プロレスの道場というものを教えてほしい。それを感じられるのなら今回出た意味が凄くあると思う。これは僕の持論なんだけど、やっぱり突き抜けると生え抜きというのは生え抜きの色がなくなるんだよね、棚橋さんにしろ中邑さんにしろ高橋ヒロムにしろ。だから触れてて毎度毎度刺激的なんだけれども、まだ新日本プロレス、上野毛道場、生え抜き、それの真髄には触れられてねぇんじゃねぇかなと思って。若い世代から教えてもらう、教えを請う、これも一つやるべき仕事かなと思ってます。(※立ち上がって)アァ2点くれてやるよ、高橋ヒロム」
ヒロム「(※コメントスペースに現れるとヒザをつき)随分、このブースに入らせてもらうのに時間かかったな。いやぁ、負けたのに長いこと喋ってたんですかね、KUSHIDAさんは。流石だ。いやほら、昔からKUSHIDAさんのこととか嫌いじゃん、普通に。っつうかね、ヤングライオン時代に外から入ってきた選手っていうのはね、だいたい嫌なもんだよ、誰でもね。KUSHIDAさんだろうがBUSHIさんだろうが最初は嫌なんだよ。嫌いなんだよ。でもさ、まぁ凱旋した当時もね、俺は凱旋した当時も嫌いだったけど、ずっと嫌いだった、基本的にはね。でもね、このキャリア15年という中途半端なところまで来るとね、『あの時、KUSHIDAさんはこうやって考えてたんだろうな』『こうだったんだろうな』とかね、いろんなことを思うとね、KUSHIDAさんってやっぱ凄ぇんだな、勉強になるな、見習わなきゃなって思うことがたくさんあるんですよ。だからね、もし今日リング上でKUSHIDAさんから『俺と一緒に組むか?』って感じで言われたら、組んじゃったかもしんねぇな。やっぱ勢いって大事じゃん。試合した後のこの興奮状態とかで誘われちゃうとさ、『やろうかな』って感じで思っちゃうこともあるんだけど、そんなことはなかったね。でもね、KUSHIDAさん、なんか意味深なことを言ってたな、試合後に。まぁ言えないんだけど、深いこと言われたな。(※左腕を押さえながら)いやぁ痛ぇ。でも、今日のこれ4点とかですか?」
――2点です。
ヒロム「2点! 2点かぁ。みんな2点なんですか?」
――一応応、はい。
ヒロム「そういうルール?」
──ルールです。
ヒロム「どうにもなんないですか?」
──ならないですね。
ヒロム「岡本さんでも?」
──まぁダメですね(笑)。
ヒロム「ダメですか。でも岡本さん、いてくれて良かった。なんか『どんたく』の時に意味深なXやるからビックリしちゃった。いやぁ良かった。いてくれて良かったっす。なんか質問とかあります? 全然いいですよ」
──次の試合、藤田選手ですけど。
ヒロム「アァ新世代ね。昨日も言いましたよ、新世代について。この新世代を迎え撃つっていう気持ちを作るのに結構時間がかかって、本当に『どんたく』が終わって、『どんたく』が終わるぐらいまでさ、新世代をどうのこうの言ってんの凄い嫌だったわけですよ。でも本当に昨日、一昨日ぐらいでね、そっか、まぁこれは今日の対戦相手のKUSHIDAさんを含めて全選手が、全歴代新日本プロレスの選手が通った道なんだと、ここを簡単に超えさすわけにはいかないんだと、それが新世代のためでもあるんだなと、そう思ったっす。まぁ陽太とかゲイブとかもね、あのへんが新世代。でも、藤田ってそれのさらに相当下だと思うんですよ。ということは、スーパー新世代になるんですかね? どうなんですか?」
──大岩選手は超新世代って言ってたんですけど、藤田選手は、それは名乗ってない。
ヒロム「新世代って言葉は嫌いだって言ってたじゃないですか。じゃあスーパー新世代にしましょう」
──あっ、勝手に(笑)。
ヒロム「うん、そうやって伝えておいてください。スーパー新世代かかってこいやと伝えといてください。あっ、でももう試合終わったんでしたっけ、藤田は。そっかぁ、じゃあ伝えられないな。そっか」
──明日。
ヒロム「明日。明日だね」
<写真提供:新日本プロレス>