【新日本】『BOSJ』藤田晃生が執念のThrill Rideでヒロム撃破「アンタに勝てたことは、人生で一番うれしいぞ!」

新日本プロレスは5月14日、東京・後楽園ホールで『BEST OF THE SUPER Jr.32』第3戦を開催した。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年5月14日 (水) 17:30開場18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,470人(札止め)
メインイベントではAブロック公式戦として高橋ヒロム vs 藤田晃生の一戦が行われた。両者ともに初戦を白星で飾っており、この日が2戦目。ヤングライオン時代には圧倒的な力の差に屈していた藤田が、ついにジュニアの象徴ともいえる存在とシングルで対峙する機会を得た。
凱旋帰国から約7カ月。藤田はTMDKの一員として急成長を遂げ、ジュニア戦線の中でも異彩を放つ存在となった。この日は因縁深いヒロムとの初シングルに臨み、満場の観衆からは両者への熱いコールが交錯する。
試合は序盤から互いに譲らぬ攻防が展開された。ロックアップから始まった一進一退の流れは、感情が乗るごとに激しさを増していく。藤田は空中殺法も辞さぬ攻めを見せ、場外戦でも躍動。だが、ヒロムも冷静に流れを見極め、場外での変則的な攻撃や変幻自在の関節技で主導権を握ろうとする。
両者が放つ逆水平チョップは、単なる肉体的衝突を超えた意地と意志のぶつかり合いであった。ヒロムが何度も挑発し、「立て、藤田!」「どうした! こんなもんか!?」と叫べば、藤田は痛みに耐えながらも反撃を止めない。その姿は、過去に圧倒された少年の姿とはまったく異なっていた。
試合終盤、ヒロムは得意のTIME BOMB IIや派生技で決定打を狙うも、藤田は驚異的な粘りを見せ、何度もカウント2で跳ね返す。そしてラスト、あらゆる読み合いと技の攻防を経て、藤田が渾身の「Thrill Ride」でヒロムをリングに沈めた。
<試合結果>
▼メインイベント(第10試合)『BEST OF THE SUPER Jr.32』 Aブロック公式戦
高橋ヒロム ×(1勝1敗=2点)
vs
藤田 晃生 〇(2勝=4点)
16分53秒 Thrill Ride→体固め
激闘の末、勝ち名乗りを受けた藤田はその場に膝をつき、力尽きたように大の字に倒れ込む。だが、立ち上がると満員の観衆から「藤田」コールが響く中、静かにマイクを手に取った。
「俺がデビューして一番初めに、プロレスの痛さ、怖さ、厳しさを教えてくれたのが、高橋ヒロムだった」
かつて師のように存在していた相手へのリスペクトを語りながらも、「アンタに勝てたことは、いままでの人生の中で一番うれしいぞ!」と叫ぶ声には、これまでの道のりと、そこに注いできた覚悟がにじむ。
「今日のメインイベント、勝ったのは俺だ! 期待しとけよ! 俺が必ず、優勝する! The Mighty Don’t Kneel!!」
試合後、バックステージで記者に「これで優勝ですか? 今もう優勝しましたか?」と冗談交じりに語った藤田。記者から「まだ2勝です」と返されると、満足そうに笑みをこぼした。
この勝利が最終結果にどう結びつくかはまだ先の話である。しかし、ジュニアの象徴から勝利を挙げた事実、そして何より観客の心を動かした試合内容は、確かに今シリーズのハイライトであり、藤田晃生のプロレス人生にとっての大きな分岐点となったことは間違いない。
■試合後バックステージコメント
ヒロム「(※会場の藤田コールを聞きながら)チクショー、この藤田コールが全てだ。あんだけデカいこと言ったのに情けない。ダサいな。もっと大きな壁として、大きな壁として、もっとあいつにいろいろと叩き込んでやろうと思ったけど、いろんな壁のあるうちの一番越えられちゃいけない壁、越えられちゃったな。藤田、オメー、凄ぇよ」
<写真提供:新日本プロレス>
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