【新日本】『BOSJ』ROH世界TV王者ニック・ウェインがIWGPジュニア王者デスペラード撃破「王座を賭けて俺と対戦したければ、いつでも歓迎する」

新日本プロレスは5月14日、東京・後楽園ホールで『BEST OF THE SUPER Jr.32』第3戦を開催した。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年5月14日 (水) 17:30開場18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,470人(札止め)
Bブロック公式戦では、ROH世界TV王者のニック・ウェインがIWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードを下し、今シリーズ最大級の波乱を巻き起こした。
若干19歳のウェインは、昨年8月の『All Star Jr. Festival U.S.A.』でのタッグ対戦を通じて、すでにデスペラードにその才能を高く評価されていた逸材である。だが、今回の一戦はその「評価」の枠を超えた。新日本ジュニアの象徴とも言える現王者に土をつけ、文字通り自らの価値を証明してみせた。
序盤は静かな探り合いから始まり、ウェインの反射神経とスピードが際立つ場面も見られたが、試合を掌握したのはデスペラードだった。徹底した左足攻めで主導権を握ると、膝をキャンバスに叩きつけ、メキシコ仕込みの関節技でウェインを痛めつけた。
だが、この日ウェインの芯は折れなかった。何度も足を取られながらも冷静に対応し、場外へのムーンサルトアタック、そしてフロッグスプラッシュで反撃。さらに終盤にはプロディジープレックスを繰り出すも、王者はこれを返す粘りを見せた。
クライマックスは、両者が意地を張り合ったエルボー合戦から始まった。連発するウェインの攻撃に対し、デスペラードもスピアーで応戦。ピンチェ・ロコを狙ったものの、最後はウェインが機を逃さず、ウェインズ・ワールドからのカナディアンデストロイヤーで3カウントを奪った。
<試合結果>
第9試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.32』Bブロック公式戦
エル・デスペラード ×(1勝1敗=2点)
vs
ニック・ウェイン 〇(2勝=4点)
15分01秒 タイガーデストロイヤー→体固め
この勝利で、ウェインは開幕2連勝。勝点を4とし、初出場ながら優勝争いに名乗りを上げた。試合後のコメントではその自信と覚悟がにじみ出ていた。
「言うことが現実になるような気がしてきた。俺は最初から良い成績を残すと言った。そして実際、良い調子だ。ここ新日本で未だ無敗、勝点4だ。デスペに勝つチャンスがあると言った。そして現実になった」
ウェインにとってデスペラードは、憧れであり、目標であり、そして越えるべき壁だった。試合後も「デスペサン、俺がここに来た大きな理由はあなたです」「俺にとってベストバウトの一つを与えてくれた」と感謝の言葉を口にしつつ、「でも、俺が勝ったのは事実」と自らの成果をはっきりと主張した。
「この試合が王座戦だったら? 今ここにROH世界TV王座と一緒にIWGPジュニアヘビー級王座を持っているはず。時がきたら……俺が日本に帰ってくるか、あなたがアメリカに来て、IWGPジュニアを賭けて俺と対戦したければ、いつでも歓迎する。なぜなら、ここはウェインの世界で皆ただそこに住んでるだけ。イクゾ!」
一方で、敗れたデスペラードもリングを降りてすぐには気持ちを整理できなかった様子だった。コメントブースで床に仰向けに寝転びながら、何度も「クソ…チクショー…」と悔しさをあらわにした。
だが、すぐに立ち上がり「まだだ。始まったばっかだ! ニック・ウェイン、俺は忘れねぇぞ」と力強く叫び、リーグ戦での巻き返しと、将来的な再戦を誓った。
ジュニアヘビーの象徴であるデスペラードと、世界規模の注目を集めつつある新星ニック・ウェイン。その邂逅は、単なるリーグ戦の一試合にはとどまらない。王座戦線、そして新日本プロレスの未来を大きく左右する、象徴的な闘いであった。
<写真提供:新日本プロレス>
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