【新日本】『BOSJ』アキラ、新技“グラン・タランチュラ”でヒロムを窒息タップ「プロレス、本当に最高だよ」

新日本プロレスは5月15日、東京・後楽園ホールにて『BEST OF THE SUPER Jr.32』第4戦を開催した。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年05月15日 (木) 17:30開場18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,365人(満員)
メインイベントでは、Aブロック公式戦として高橋ヒロムとフランシスコ・アキラが対戦。両者とも1勝1敗で迎えた3戦目であり、今後の順位を占う上でも重要な一戦であった。
この一戦は、昨年実現するはずだった因縁の対決である。2023年の同大会で両者は公式戦で対峙する予定だったが、アキラが膝を負傷し欠場。ヒロムの不戦勝に終わった経緯がある。アキラにとっては、この試合はリベンジであり、初めてのヒロム超えをかけた大きな挑戦となった。
開始のゴングと同時にアキラは鋭い攻撃で流れを作る。序盤から場外戦に持ち込むと、観客席をも巻き込んだ荒々しい展開でヒロムを追い詰めていく。エプロンでの首4の字固めに続き、観客席にヒロムを叩き込みながら日本語で「みなさん、いま写真タ~イム!」と挑発する姿には、あえてヒロムの土俵で勝負を仕掛ける大胆さがあった。
しかしヒロムも負けじと応戦する。逆水平チョップの連打、コーナーを使った反撃などでアキラを押し返し、主導権を奪い返す。まるで「BOSJ」の顔としての意地を示すかのように、観客席への投げ返しやエプロンを使った絞め技で試合を掌握していった。
それでもアキラの反発力は衰えない。ロープやコーナーを巧みに使った空中戦に加え、得意のスピードファイヤー、ファイヤーボールといった連撃で幾度もヒロムを追い詰めた。終盤にはファイヤープレックスホールドやカサドーラといった畳みかけを見せ、勝利まであと一歩の場面をつくり出す。
一方のヒロムも反撃に転じると、代名詞であるTIME BOMBやヒロムちゃんボンバーなどを繰り出し、アキラを何度もギリギリまで追い詰めた。勝負を決するのはわずかな判断の差、ミスの有無であることを感じさせるシーソーゲームであった。
試合は最後、アキラがヒロムのTIME BOMB IIを回避すると、スリーパーで捕らえて締め上げる。逃れようとするヒロムをがっちりと押さえ込み、ついにギブアップを奪取。アキラが初のヒロム越えを達成し、Aブロック戦線において大きな一勝を挙げた。
<試合結果>
▼メインイベント(第10試合) 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.32』Aブロック公式戦
高橋 ヒロム ×(1勝2敗=2点)
vs
フランシスコ・アキラ 〇(2勝1敗=4点)
18分17秒 グラン・タランチュラ
勝利後、アキラはマイクを手にし、笑顔を見せながら日本語で語りかけた。
「ヒロムさん! ちょっとちょっと待って! ちょっと待ってください! ヒロムさん、いま無所属なんだって? じゃあ、UNITED EMPIREも最近、メンバー減ってるし、ちょっとちょっと、考えてみたら、どう?」
リングを後にするヒロムの背に「アキラ」コールが響く中、アキラは改めてプロレスの魅力を語った。
「疲れたけど、楽しかったね! プロレス、最高だー!」
続いて英語でも語りかけ、「俺は過去を振り返らない、未来しか見ないと言った」と語る姿には、今大会を通じて自身の進化とUNITED EMPIREの未来を見据える意思がにじんでいた。
この勝利によりアキラは2勝1敗。今後のブロック争いで大きな意味を持つ勝利であり、自身の成長と存在感を大きくアピールする一戦となった。
試合後のバックステージでアキラは「ヒロム、お前は俺にとってレジェンドのような存在」と語り、3年前の仙台大会での初メイン戦で敗れた因縁を回想。「あの時はお前が勝った。でも今夜、俺は全身全霊でぶつかり、勝つことができた」と胸を張った。
さらに、「ファイヤーボールには準備できていなかったけど、グラン・タランチュラには驚いただろう? TAJIRIに教わった新技だ」と新兵器の威力を強調。「ドキュメンタリー『NEW HEROES』を見ていれば対策できたはずだが、どうやら観ていなかったようだね」と笑みも見せた。
今後については「次は金丸さん。今夜はイチゴ大福を食べて休む」と余裕を見せ、最後は「プロレス、本当に最高だよ」と日本語で締めた。
一方、敗れたヒロムは悔しさを露わにし、「チクショー! 35歳、これからが旬だと思ってた。でもいよいよ追い詰められたな」と言葉を絞り出し、「頭が回らない…クソッ!」と拳を握り締めた。ジュニアの象徴が、思わぬ壁にぶつかった夜だった。
<写真提供:新日本プロレス>
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