【新日本】『BOSJ』KUSHIDAが藤田晃生の連勝を止める「新日本プロレスの匂いがした」

新日本プロレスは5月17日、東京・国立代々木競技場第二体育館で『BEST OF THE SUPER Jr.32』第5戦を開催した。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年5月17日 (土) 16:00開場17:00開始
会場:東京・国立代々木競技場・第二体育館
観衆:1,857人
Aブロック公式戦として行われた第7試合では、KUSHIDAと藤田晃生が初の一騎打ちを迎えた。
ジュニア戦線の第一線を長く支えてきたKUSHIDAと、開幕から無傷の3連勝を飾って勢いづく藤田。世代を超えた対決に注目が集まる中、試合は互いの技術と意地がせめぎ合う、濃密な時間となった。
入場時から象徴的なやりとりがあった。素足で登場した藤田に呼応するように、KUSHIDAもリングシューズを脱いで臨戦態勢を整えた。これは、スタイルへの敬意であると同時に、真っ向から受けて立つという意思表示でもあった。
試合開始直後から、両者はクラシカルなグラウンドの攻防を繰り広げた。互いに寝技や関節技で主導権を奪い合い、ロープ際の駆け引きにまで緊張感が走る。ロープブレイク、切り返し、フェイントといった一つ一つの動きが、観る者に濃厚な技術戦を印象づけた。
藤田は、TMDKで磨いたスタイルを軸に、アグレッシブなスリーパーや逆エビでペースをつかみにかかる。対するKUSHIDAは、世界中のマットで吸収した経験を武器に、オモプラッタやアームロックで流れを制御。互いのレスリング観が、ぶつかり合うというより、溶け合いながら高め合っていく様があった。
終盤、技の応酬が徐々に激しさを増す中でも、KUSHIDAは冷静だった。相手のスキを見逃さず、ついに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を決めて勝負を決めた。
藤田の開幕連勝を止めたKUSHIDAの勝利には、場内から大きな拍手が起こった。
<試合結果>
▼第7試合 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.32』Aブロック公式戦
KUSHIDA 〇(2勝2敗=4点)
vs
藤田 晃生 ×(3勝1敗=6点)
14分06秒 バック・トゥ・ザ・フューチャー
試合後、KUSHIDAは藤田に何かを語りかけ、静かにリングを去った。
KUSHIDAは試合後、「紛れもなくKUSHIDAと藤田晃生しかできない試合だったな」と振り返る。自らのキャリアを「匂いを嗅ぎながら世界を渡り歩いた変態」と語る独特の言葉で表現しつつ、「藤田晃生、新日本プロレスの匂いがしました。最高」と高く評価。「今までの新日本プロレス生え抜きとは違うものを感じた。正直、初めてだった」と明かした。
さらに、「俺は生え抜きじゃないけど、世界を渡り歩いてきたプライドがある」と語り、「今日を経てモチベーションが増えた。藤田晃生と、もう一回タイトルマッチがしたい」と再戦への意欲も口にした。
一方、敗れた藤田は、「強ぇな。当たり前だけど強ぇな」と率直な感想を述べつつも、「あの人言ってたな。仲間じゃねぇし、腹立つし、ムカつくし、プライドあるけど、今日アンタの試合で学べたもんがある」とKUSHIDAへの複雑な感情と敬意をにじませた。
そして、「次やった時はアンタを食ってやる。俺にはTMDKのプライドがあんだ」と、強い言葉でリベンジを誓った。
この試合は、単なる勝敗に留まらず、世代とスタイル、そして志のぶつかり合いとして強く記憶される一戦となった。ジュニアヘビー級の未来を占ううえでも、今後の再戦は避けられぬ道である。
<写真提供:新日本プロレス>